昨日、柳田稔前法相が事実上更迭された。当然だろう。そもそも菅直人首相が柳田を法務大臣に据えたこと自体が間違っていた。
ところが、ちょっと前まで柳田の辞任を求めていたはずの小沢信者が、柳田の更迭が確実な情勢になると、いきなり柳田擁護論を声高にぶち始めた。岩上安身あたりの影響が大きかったようだ。これに慌てたか、急遽柳田にエールを送った小沢信者の有力ブログがあった。なんと、柳田の問題発言は、菅−仙谷が「辞任ドミノ」を恐れて自らの首を切れないことを計算しながら、これまで自民党の歴代法務大臣に「問題」発言の通りの答弁をさせてきた法務官僚に対する皮肉をかました高等戦術だという珍解釈を披露していたが、彼が記事を公開した途端に、柳田の辞任が報じられた。しかも、明らかに菅−仙谷の主導による辞任劇であり、小沢信者氏はとんだ赤っ恥をかく羽目になった(笑)。
柳田を菅直人が法相に据えたいきさつについて、今朝(23日)の朝日新聞一面に星浩の署名記事が出ている。星は、菅直人の側近が、
「旧民社党系グループと輿石東民主党参院議員に強く迫られて、断り切れなかった。適任とは言えなかった。内閣の弱いところが突かれてしまった」
と内幕を明かしたと書いている*1。
案の定だった。柳田稔は旧民社であり、旧民社といえば鳩山由紀夫に近い。そして、輿石東といえば小沢一郎の盟友である。要するに、鳩山・小沢ラインがゴリ押ししたのが柳田の入閣劇だった。
後任には、菅グループの法務副大臣・小川敏夫の昇格が当初伝えられていたが、おそらく鳩山・小沢一派の反発があって決まらず、それで仙谷由人の兼務になったものだろう。
昨夜のテレビ朝日「報ステ」では、参院民主党(というより小沢・鳩山一派)が、「仲間も守れないのか」と、柳田稔を更迭した菅−仙谷ラインへの反発をあからさまにしていたが、大部分の国民は、「あいつら何言ってるんだ」と呆れたことだろう。そもそも、あんな発言をする人物を法相にしたこと自体が間違っている。仮に百万歩譲って、法務官僚に対する皮肉だとしても、国民に真意が伝わらない皮肉を言う政治家はバカだとしかいいようがない。
もちろん、あんな柳田なんかを法務大臣にした菅直人の任命責任は重いが、菅直人に圧力をかけた輿石東、ひいてはその盟友である小沢一郎も責めを免れないと私は考える。
柳田稔は、鳩山政権発足以来ずっと政権を蝕んできた「旧民社の害毒」の一人であり、辞任は遅すぎたし、任命自体が誤りだったとはいえ、それでも辞めさせないよりは辞めさせる方がずっと良かったのであり、その意味で柳田の更迭は間違ってはいない。