kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「想定外」とか「千年に一度」とか

1995年の神戸の大地震は、それ以前の過去千年の間には起きたことはないが、千数百年前には起きたことがあるという。しかし、稀な災害には違いなく、それよりもむしろ阪神間は芦屋川や住吉川などが昭和に入ってからも氾濫した水害の多い地域で、水害対策は十分なされていたが、地震への備えは弱かった。

だが、地震が起きてから悟ったのだが、そもそも海岸近くまで六甲山系が迫っている阪神間地震が起きにくいと考える方がおかしい。阪神間ばかりではなく、京都も歴史的には決して地震の少なくない場所で、豊臣秀吉晩年の1596年には慶長伏見地震で新築したばかりの伏見城が倒壊し、多くの死者を出したが秀吉は難を逃れたという史実もある。

ましてや三陸海岸沿いは地震の多いところ。そんなところによく東京電力原発を建てたなあと思うが、同じことは関西電力もやっていて、1948年に大震災を起こした福井県に多数の原発を建てた。

原子力というと、1945年の広島と長崎に原子爆弾が投下されたのが、その利用というか悪用の始まりだろうが、それから10年も経たずして原発を日本に導入しようとしたのが中曽根康弘正力松太郎だ。残念なことに、正力はとうの昔に世を去っているが、中曽根は幸い健在だから、中曽根が生きているうちに日本政府は原発政策を転換し、中曽根には歯ぎしりしながら逝ってもらいたいものだ。

日本のどこにも安全な土地などありはしないが、原発は特に危険な場所に建っていることが多い。そもそも、原発のような危険な設備を、よりにもよって災害の多い地域ばかりをえり抜いたかのように選んで建てるという無茶を、やはり無謀としか思えない戦争に突っ込んでいって負けてからさほど日も経たないうちにやるとは、この日本というのはなんという国なのだろうかと思わずにはいられない。

神戸の例のように、ある土地があのような大地震に見舞われるのは「千年に一度」であっても、ある年に日本の54基の原発のどれかが「千年に一度」クラスの災害に見舞われる確率は、54基の所在がランダムにばらついている場合、ほぼ5%になる。要するに、20年に一度は電力会社が「想定外」と称するような大地震が起きても不思議はない*1

ましてや、今回の地震は決して「想定外」などではなかった。それが証拠に、東電自体がきっちり想定していた。


http://www.asahi.com/national/update/0423/OSK201104230072.html


「想定外」という言い逃れは、東電には許されない。

*1:実際には、福島県のある地域に10基の原発が集中しているように、所在はばらついてはいないし、どの土地でも大地震が起きる確率は「千年に一度」ではないけれど。