kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

ついにTBSまで正力松太郎の名前を出して読売新聞を批判。一方朝日新聞では若宮啓文が主筆に就任

TBSの「サンデーモーニング」を見ていて驚いたのは、有馬哲夫氏へのインタビューとともに、アメリカの意を受けた正力松太郎が、読売新聞で原発を宣伝する大キャンペーンを行った映像を流したことだ。

正力の犯罪的行為については、既に毎日新聞が夕刊の特集記事で報じていたとはいえ、部数の少ない毎日の夕刊に載った記事がどのくらいの人に読まれているかなあと思っていた。しかし、全国ネットの番組でTBSが報じたことにより、原発推進の読売グループ対「脱原発」の毎日・TBSグループ*1と、今後はマスメディアの系列によってエネルギー政策のスタンスの違いがはっきり色分けされることになるだろう。

一方、両紙の中間的スタンスをとる朝日新聞は、5月1日付で若宮啓文主筆に就任した。

この若宮啓文は、今世紀初め頃まで論説主幹を務めていた佐柄木敏郎が昭和天皇の戦争責任を追及する社説を掲載するなどした左派路線を朝日の経営陣が嫌って、佐柄木の後釜として論説主幹に据えられた人物だ。若宮は「世襲新聞記者」で、父の若宮小太郎は朝日新聞記者から鳩山一郎の秘書官へと転じた経歴を持つ。

若宮の論説は、昨年まで朝日新聞主筆を務めていた船橋洋一のようなゴリゴリの保守・新自由主義路線とは異なり、佐柄木と船橋の中間に位置する。但し、経済政策に関しては佐柄木時代から一貫して朝日はネオリベ的スタンスに立っていて、消費税増税を求める路線は変わらないだろう。もっともこの点に関しては毎日新聞も同じはずだ。

とにかく船橋時代の朝日新聞の右傾化はひどくて、左側の読者が次々と離れて行くと、それにつれて右派色がいっそう強まり、震災前の頃には「勝ち組のための新聞」「ミニ日経」の様相を呈していた。その点は多少改善されるだろう。

だが、若宮で思い出されるのは「反靖国」の一点でナベツネと同盟を結び、2006年に「論座」でナベツネと対談し、それをまとめた本を朝日新聞社から出したことだ。その頃から朝日と読売の接近が始まり、ついには日経を入れた「あらたにす」発足につながった。しかし、若宮ではまだ「右」色が薄く「左」的な匂いがあるとでも思われたのか、朝日は若宮を論説主幹から外した上、船橋洋一主筆に据えた。ただ、誰が見ても朝日の右傾化は激しく、朝日経営陣も「やり過ぎた」と思ったのではないか。

その朝日の主筆若宮啓文が就任したことによって、朝日上層部から見ると「行き過ぎた右バネ」は多少戻されるだろうけれど、読売が推進した原発政策の本質に切り込んだ批判は、相変わらず期待できないように思われる。

まあ、震災前のようなひどい記事は多少減るだろうとは思うけれど、二世記者に似つかわしい微温的な紙面になりそうな予感がする。

*1:但し毎日とTBSには資本関係はなく、単に業務提携しているに過ぎない。