kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「自立奪った電源三法」(朝日新聞)

朝日新聞3面に随時連載されている原発シリーズは、現在、原発を大きく推進した政治家の一人である田中角栄を扱っている。3回シリーズの最終回の今朝(8/17)は、「自立奪った電源三法」という大見出し。飯田哲也氏のTwitter*1から引用すると、

自立奪った電源三法原発国家〉田中角栄編(朝日デジタル8月17日)この人を抜きに原発開発は語れない。角栄の飢えたような貧しさが電源三法を生み、その土建的な開発によって「21世紀の貧しさ」をもたらした http://p.tl/8th6

となる。リンク先が『朝日新聞DIGITAL』だから、asahi.comには掲載されていないのだろう。私は、田中角栄もそうだけれど、当時通産相を務めていた中曽根康弘の役割も大きかったと考えている。「電源三法」とは「田中曽根政治」の精髄ともいえるものだ。


とはいえ、東京電力の柏崎・刈羽原発田中角栄の故郷の近くに立地されていることから、角栄原発に果たした役割の大きさはもちろん否定できない。角栄の著書『日本列島改造論』(1972年)から朝日新聞記事が引用している部分を孫引きすると、角栄の持論は下記のようなものだった。

地元は潤すものが少なくて、公害だけが残るというのが言い分だ。地域社会の福祉に貢献するような発電所づくりを考えないといけない

現実には「放射能だけが残る」ことを福島第一原発の事故は示したのだが、ともあれこうした角栄の持論をもとに作られたからくりが「電源三法」だった。朝日新聞記事によると、柏崎刈羽原発の1号機が着工した1978年から30年余、柏崎市原発関連収入は約2300億円に上り、図書館、体育館や道路が整備され、消雪パイプが設置されて車で初詣に行けるようになった。

しかし、柏崎市の人口は1995年をピークに減少に転じ、交付金は減るし、減価償却が進むから固定資産税の収入も激減する。原発以外の産業は停滞し、市が使える財源はほとんどないとのことだ。記事は、かつて自民党青年部青年部幹部として「列島改造論」の旗振り役を演じていた青木太一郎氏(73)の下記の述懐を紹介している。

今となってみれば、原発から抜け出せない、自立できない体質になってしまった

これこそ電源三法の弊害だ。電源三法は「田中曽根」最大の悪政だった。記事は、3月の東電福島第一原発事故によって、福島県では現在4万8千人余が故郷を追われている事実を紹介して結ばれている。だから叫ばなければならない。

いる? 電源三法
きる! 電源三法