kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「第九」と「文化大革命」と橋下徹と

そういや「第九」の季節だ。昔、高校生の頃の冬休みに、東京に出てきて日比谷公会堂で行なわれた小澤征爾指揮の「第九」のコンサートを聴いたことがある。あれが、私が生涯で最初に行ったクラシックのコンサートだった。

当ダイアリーの記事にいただいたnesskoさんのコメントが引用されていることで知った 本場の毛沢東とか - Living, Loving, Thinking, Again *1 を読んだのをきっかけに、nesskoさんにコメントいただいた オーケストラの楽団員はもともと薄給。そこから切るのは「弱者から切る」「切りやすいところから切る」典型的な「橋下流」だ - kojitakenの日記 に、いつの間にか多数の「はてなブックマーク*2がついていたことを知るとともに、当ダイアリーに書こうと思っていながらついつい忘れていたことを思い出した。


それは、「第九」と中国の「文化大革命」の関係についてである。


私が小学生の頃、1971年4月まで家で朝日新聞をとっていたが、同年5月から毎日新聞に切り替えた。だから、朝日、毎日のどちらに載っていた記事なのか記憶がさだかではないが、たぶん毎日だったと思う。中国でベートーベンの「第九」が「ブルジョア芸術」だとして批判されたという記事が出ていたのだった。

この件は、もうネットで検索しても当ダイアリーや『きまぐれな日々』に過去に書いた私の記事が引っかかるだけで、いつ、どの新聞に掲載された記事かも正確に知ることは未だにできずにいる。朝日にせよ毎日にせよ東京と大阪で紙面が違い、私が子供の頃に読んだのは大阪本社版だから、最悪縮刷版にも載っていない可能性がある*3


で、なぜこのことをまた思い出したかというと、2008年、この年は橋下徹がテレビの討論会で大阪の私立高校に通う女子高校生を泣かせた件が話題になった年だが、「文革2008」というタグが話題になったことがあった。最近、これを思い出すことが多いのである。


「スイーツ(笑)が政治を語る」だって - kojitakenの日記


この記事には、あの「喜八」がコメントをつけていることなど、思い出すと笑えてくる。関連する「はてなブックマーク」として下記を挙げておこう。


はてなブックマーク - 世の中を騒がすNewsとOLの考察


残念なことに、ブクマされた元記事は削除されていて今では読めないのだが、「【政治のことを語る自由】は国民全員にある!」と題されたこの記事こそ「文革2008」の最たるものだった。その翌年に仙谷由人が放った「政治の文化大革命が始まった」という名言(迷言)も忘れがたい。

当時の「政治ブログ」の世界は、まさにこの「文革2008」の全盛期だった。関連するキーワードとしては「野党共闘」、「水伝騒動」などが挙げられる。『喜八ログ』などその典型だが、あの当時「野党共闘」の旗を振ったブログの多くは「トンデモ」や「陰謀論」との親和性が強く、私は2007年末以来それらを批判し続けていた。

ちなみに、「野党共闘」の行き着いた先がどんなものだったかというと、このフレーズの旗を振った人間は、「政権交代」が実現した直後、なんと下記のように書いていた。

連立を組む社民党国民新党も、あんまり新政権の邪魔すんなよ。
今は民主党を勝たせた国民のことを第一に考えるべき。
細かい事でちゃちなプライド出してたら、参院選前後で消えちゃうぞ。
連立の最適な方法を、もっと考えて無駄な時間を新政権に使わせない様に。
社民も国民も、自党のマニフェストの一つか二つを使ってくれたらそれで十分でしょ^^
それが連立の仁義では?獲得票数に比例して自党の政策が使用されるのが民主主義だ^^
連立の邪魔するようなら、斬ってもいいんだから。 それくらいの覚悟の連立をせよ!

人数もいないのに偉そうに権利を主張するのもまた、みっともない事と知るがよい。
次の参院選に向けて、どんな態度で連立政権に臨むと国民受けするか位、考えてください。
国民受け というのは すなわち 庶民を助ける政治をする事だよ。
そこら辺がわかってないから、亀井久興さんや、保坂展人さんらが落ちるんだよ。
次の参院選であんたらがいなくなったら、二大政党が始まるよ! いいのか〜〜??


野党共闘」とは何のことはない、「民主党小沢一郎)の独裁」に過ぎなかったのである。上記のブログに賛同して、「政権交代総選挙」に圧勝した民主党にケチをつけた私を含む人間に対して「おまえらはなんでいつも世の中の少数派なん?」と書いて、民主党の大勝に酔いしれるブログもあった。その時からまだ2年と少ししか経っていない。

彼らが当時熱狂的に支持した小沢一郎も、民主党内で「反小沢」の筆頭にして「政治の文化大革命が始まった」と言い放った仙谷由人も、根は同じではないかと私は思う。彼らこそ「文化大革命」の担い手なのではないか。

そして、大阪のオーケストラを切り捨てようという橋下徹にもまた、小沢一郎仙谷由人と同じ匂いを私は感じるのである。いや、小沢、仙谷、橋下らだけではない。前記の「はてなブックマーク」に下記のブクマコメントをつけたid:HSEも同類だ。

HSE リベラルの愚劣さがよく出た文章。オーケストラが好きなら金を払って聞きに行けよ。それが一番の支援。税を強制的に収奪し、権力様が認定した「高尚な文化」活動につぎ込むという図は何を根拠に正当化できるのかね? 2011/12/05


こういう文章を読んでつくづく思うのは、「新自由主義文化大革命の親和性」である。毛沢東小沢一郎仙谷由人橋下徹といった人たちの相互の距離は意外なほど近いのではあるまいか。

*1:はてな」の自動トラックバック機能は本当に便利だと思う。

*2:http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/kojitaken/20111204/1322972843

*3:朝日も毎日も縮刷版には東京本社版を収録している。