kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

しょぼい「うどんPR」で思い出した高松の名所・屋島の「廃墟」

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120330-OYT1T00213.htm

市長に怒られ、さぬきうどん駅に「高松」盛る


 香川県の「うどん県」PRに合わせ、JR四国が高松駅の愛称を「さぬきうどん駅」としたことについて、大西秀人・高松市長が「高松の魅力はうどんだけじゃない」と反発。これを受け、同社は29日、愛称を「さぬき高松うどん駅」に変更したと発表した。

 当初、同社はPRに協力し、県と愛称を決めた。しかし、大西市長は事前に相談を受けていなかったとし、「日本一の生産量を誇る松盆栽もある。市民にも意見を聞くべきだ」と指摘した。

 市民から同様の意見があったといい、同社の泉雅文社長と浜田恵造知事が相談し、愛称を変更した。

 同社は29日、高松駅の駅名表示板の「うどん県」の下に「それだけじゃない香川県」、「さぬきうどん駅」の真ん中に「高松」のシールを貼った。立ち会った浜田知事は「市に事前に話しておくべきだった。うどん以外の魅力もPRしたい」とし、大西市長は「あまり変わらないが、配慮はしていただいた」と話した。
(2012年3月30日12時57分 読売新聞)


これはJR四国高松市長がグルになった「町おこし」だろう。


http://b.hatena.ne.jp/entry/www.yomiuri.co.jp/national/news/20120330-OYT1T00213.htm

norton3rd 市長さんと市民には申し訳ないが俺はうどん以外には栗林公園しか思い浮かばん/丸亀の方がまだしも顧客や取引先の工場がある 2012/03/30


ついでにいえば「うどん」も丸亀及びその周辺の方が高松より断然良い。だが、丸亀の商店街のさびれ方は悲惨だ。


私が高松を初めて訪れたのは1980年で、栗林公園高松城跡と屋島を訪れた。のち今世紀に入って7年間高松に住んだが(現在は離れている)、観光地といえばそのくらいしかないと思う。ああ、あと85番札所の八栗寺があるか。

だが八栗寺の手前は「庵治石」の採石場で無残にえぐりとられている。高級墓石の生産やイサム・ノグチの彫刻でも知られる「庵治石」の採石は一概には否定できないのだろうが、気持ちの良い風景ではない。

その八栗寺のある五剣山は屋島の頂上から望むことができる。五剣山という名前だが剣は4本しかない。5本目は1707年の宝永地震によって崩落したのだのだそうだ。瀬戸内といえど地震の安全地帯ではない。そんな瀬戸内海に中国電力は上関原発山口県)を作ろうとしており、安倍晋三がそれを後押ししている。

安倍の悪口はともかくとして、屋島に話を移すと、これがまたひどい廃墟なのだ。前述のように、屋島には1980年に初めて訪れたが、二十数年後に再訪した時に、ホテルが廃墟と化している惨状を目にして愕然とした。2009年に屋島を訪れた地元・香川県の方のブログ記事にリンクを張っておくので、ご参照いただきたい。


第二の軍艦島? - 屋島山頂探索記 詠み人知らずの不定期ブログ/ウェブリブログ


ちなみに、屋島に上るためのケーブルカーがかつて存在したが、2004年に廃止された。かつて利用した時、屋島山上駅を降りたら野犬に吠えかかられて怖い思いをした。廃止後、屋島山上駅の跡を見に行ったこともあるが、この時にはもう野犬に追い回されることはなかった。この屋島ケーブルカーの終幕も悲惨なものだった。約800人の観光客が詰めかけたものの、運行前の試運転時に電気系統にトラブルが発生して車両は駅から約50メートルの位置に停止したまま動かなくなり、結局、終日事故運休となったのだ。

屋島ケーブルカーの廃線跡を探訪したブログ記事はいくつもある。思わず見入ってしまう。

ところで、屋島には84番札所の屋島寺がある。最近は四国八十八ヶ所巡りが盛んなので、お遍路さんの姿は多く見かける。歩き遍路用の上り道はしっかりしていて、すぐ近くに廃墟がある雰囲気など全くない。それだけに、ホテルやケーブルカーの廃墟跡とのコントラストが強烈だ。

香川県は日本一晴天の日が多く、風光明媚で、瀬戸内海を眺望するスポットも多い。対岸の岡山県側からよりもずっと眺望は良いと思うのだが、これといった観光地は少ない。観光地の代表格は「こんぴらさん」(金刀比羅宮)や小豆島だろうと思うが、それに栗林公園を加えても、あとがなかなか続かない。前述のように屋島はもうだめだろう。それよりも「うどん」の吸引力は確かに大きい。

なぜなら、メディアなどで取り上げられて有名になったうどん屋には、全国各地からとまではいわないが、東は東海地方から西は九州まで、各地から観光客が押し寄せてくるからだ。私の住所の比較的近所にもその手のうどん屋があったが、停車してある車を見ると、岡山や関西のほか、名古屋ナンバーなども頻繁に見かけた。特に休日は、香川ナンバーよりも県外ナンバーの方が明らかに多かった。

だが、近年はさしもの「さぬきうどんブーム」もやや下火なのではないだろうか。だから、JR四国高松市が共謀してまで「町おこし」をやろうという気持ちはわからないでもない。