kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

新宿の「1250マイクロシーベルト」は「毎時」ではなく「年換算」だった

フジテレビではなく伊藤守教授と平凡社の誤り。あまりにお粗末 - kojitakenの日記 の続き。昨年3月、東京・新宿で観測されたとフジテレビが報じたという「1250マイクロシーベルト」の放射線量の謎が解けた。前回に引き続き、id:zakincoさんに検証いただいた。厚くお礼申し上げる。


続・本の粗製乱造 - ザキンコ(木崎貴幸)の日記@原発反対

kojitakenさんの日記で引き続き原発本の疑問があがっていましたので検証してみました。

 フジテレビではなく伊藤守教授と平凡社の誤り。あまりにお粗末 - http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20120329/1332978612

汲田伸一郎(日本医科大学教授)を迎え、東京新宿区の測定値1250マイクロシーベルトについて

この値ですが、フジテレビの番組のフリップでは、

 東京・新宿区 0.143マイクロSv/時(文科省発表)

 東京に一年間滞在 約1250マイクロシーベルト

と表示されていました。計算すると 0.143 * 365 * 24 = 1252.68 で、約1250マイクロシーベルト/年というのは正しいです。

検証が正しいことを示すために番組の画像を引用します。

(画像引用 フジテレビ 2011年3月17日8:21-8:22の番組)


テレビ番組のキャプチャ画像が引用されているので明らかだが、観測された放射線量は毎時0.143マイクロシーベルトだった。この線量が1年続けば8640倍になるから、4桁数字が大きくなる。「1250マイクロシーベルト」とは「年換算」の数値だったのだ。

駄本『テレビは原発事故をどう伝えたのか』にはこう書かれている。

汲田伸一郎(日本医科大学教授)を迎え、東京新宿区の測定値1250マイクロシーベルトについて

時間あたりとも年換算(1年あたり)とも書かれていない。単に「1250マイクロシーベルト」と書かれているのみである。大学で学生が教官に「ディメンジョン(次元)が間違っている」と大目玉を食らうレベル。そんな誤りを「早稲田大学メディア・シティズンシップ研究所所長」が平然と犯す。これが早稲田大学、いや日本の大学のレベルなのか。

もっとも私も偉そうなことは言えない。単位がおかしいなとは思いながら、勝手に「テレビなどで普通に用いられている『マイクロシーベルト/時間』だろうと勝手に解釈して当ダイアリーで紹介してしまった。普通なら、あまりの数値の大きさに疑問を持って調べるくらいのセンスがなければならなかったところだ。まさか大学教授が年換算の数字を何の断りもなく使っているとは想像もつかなかったのだが、そんなことは言い訳にしかならない。私自身のセンスのなさを露呈してしまった。

そんなわけで、このあと元記事に注釈を付け加えたいと思うが、平凡社新書の伊藤守著『テレビは原発事故をどう伝えたか』は、企画の意図は買えるところもあるけれども、肝心の中身がひど過ぎて、わざわざ金を出して買う価値は全くない本であることを強調しておきたい。