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古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

赤木智弘のネトウヨ&「反原発サヨク」(三宅洋平信者)批判は正論そのもの

今頃やっと知ったが、下記赤木智弘のブログ記事は文句のつけようのない正論だ。


【赤木智弘の眼光紙背】非拘束名簿方式をめぐる2つの嘘

赤木智弘の眼光紙背】非拘束名簿方式をめぐる2つの嘘

赤木智弘

2013年07月27日 08:24


 先日、2013年の参議院選挙が行われた。
 選挙の結果そのものについて、ここで書くことはしない。まぁ「予想通りでガッカリした」とは書いておく。予想外のこととしては山本太郎が当選したことで、東京都民として心底、福島の人たちに申し訳ないと思い、自民党圧勝という結果以上に落ち込んでしまった。


 それはそうと、今回はネット選挙が解禁されたせいか、選挙活動以外の選挙に関する書き込みも活発になっていたように思う。中でも気になったのは、非拘束名簿方式に対するいい加減な発言だ。
 選挙期間中によく見かけたのは、いわゆる「ネトウヨ」による「比例に入れるときに、自民党から出ている候補者名を書けば、ワタミに入れたことにはならない」というインチキ選挙攻略法である。


 「ワタミ」こと、渡邉美樹氏は、労働者を人とも思わないような破廉恥な言動から、左派はもちろん、右派やネトウヨにも嫌われている。今回の参院選では、この渡邉美樹が自民党総裁である安倍晋三から要請を受けて、参議院選比例区自民党から立候補したことが「自民党は大好きだけど、ワタミは大嫌い」な人たちにとって、問題となった。これに対して、前述の嘘がネット上で流布されていた。
 しかし、これが嘘なのは比例区選挙制度を知っていれば、すぐに分かることである。「ワタミに入れたくないから」と自民党比例区から出馬している他の候補の名前を書いて投票しようと、その一票は自民党への投票としてカウントされ、ワタミ議席獲得を助けることになる。


 ここで、改めて非拘束名簿方式の説明をしておこう。
 非拘束名簿方式は、参議院比例区において、2001年から導入されている選挙制度である。
 比例区の基本は「政党の得票数ごとに議席を均等に割り振る選挙区」であるということである。議席数は政党への投票数を元に算出されて、各政党に割り振られる。これは2001年以前の拘束名簿方式も、それ以降の非拘束名簿方式も、全く変わらない。


 では、何が変わるかと言えば、各政党に議席が割り振られたあとに、その政党の中で誰が当選し、誰が落選するかという基準が大きく変わる。
 2001年以前の拘束名簿方式では、当選者はあらかじめ各政党が提出した名簿の上位順から決まっていった。これにより、党の大物は当たり前のように名簿上位に位置し、確実に当選する状況が生まれていた。


 しかし、これでは民意が尊重されないとして、政党への投票であっても、特に推薦したい立候補者の名前を書いて、名簿順が投票によって決定されるようにしたのが、非拘束名簿方式である。
 非拘束名簿方式の投票は、政党名か、比例区に出馬している個人名を書いて行わる。議席の割り振りは「政党名への投票+その政党から出馬している個人への投票」の数によって決定され、その後に各政党で個人名での得票数によって、上位から個人の当選が決まっていく。


 さて、選挙が終わり、ネトウヨの嘘も虚しくワタミが当選すると、今度は反原発サヨクのなかから、新たな嘘が湧き出てきた。  曰く「緑の党三宅洋平が、比例区で17万票も取ったのに落選した。自民党ワタミは10万票でも当選したのにおかしいではないか!」という声だ。


 一見、17万票が落選して、10万票が当選したと、数字だけを比べるとおかしく見えるかもしれないが、これはなにもおかしくない。先ほどの説明の最後を読み返して欲しいのだが、比例区での議席の割り振りは「政党名への投票+その政党から出馬している個人への投票」の数によって決定される。自民党比例区で1846万票を獲得しており、緑の党は45万票しか獲得していない。  今回の選挙においては、ほぼ100万票につき1議席が各政党に割り振られており、100万票の半分もとれていない緑の党から、当選者が出ないのは当たり前の話である。


 また、個人への票数は、あくまでもその政党内での他立候補者との順位確定に使われるのであり、政党を超えて比較する性格の数字ではない。故に「比例で17万票も取ったのに当選しないのはおかしい!」という声は、選挙制度に対する理解不足にほかならないのである。


 と、この声も少しすればまともに理解する人が増えて、なくなっていくかなと思ったが、意外とこの声がなくならない。そしてついに東京新聞がその理解不足をそのまま記事にしてしまった。
 ネットで素人が騒いでいるだけならまだしも、新聞社がこんなことを書いているようでは、世も末である。


 記事には恥ずかしげもなく「参院選比例代表の個人得票数の比較」などとして、さも三宅洋平氏が1位であるかのように見せている。しかし、先ほども述べたように、党を超えての個人得票数を比較しても無意味である。
 また、個人得票数での比較には大きな問題がある。それは「政党名で投票した人たちの票を、完全に無視していること」である。


 例えば、自民党であれば実に8割近い1450万人が、個人名を書かずに「自民党」に投票してる。自民党から比例区に立候補した議員の当選は、これらの人たちにも支えられているのである。また緑の党も半数近くの24万人が「緑の党」に投票している。個人得票数のみを比較して云々主張することは、これら政党への票を完全に無視することである。


 東京新聞は「ネット上では非拘束名簿式に対し「民意が反映されていない」「制度がおかしい」といった意見が噴出」と書くが、本当に民意を無視しているのは東京新聞のように、これらの意見に与する側である。


 今回の選挙では、ネトウヨも反原発サヨクも、非拘束名簿方式という選挙制度を自分勝手に利用した。
 どっちも酷いことは言うまでもないが、僕としては下手な屁理屈を並べて民意を否定する反原発サヨクに対しての方が、より腹立たしく感じている。
 都議選での「不正選挙」もそうだが、納得する結果にならなかったからといって、選挙制度のせいにしたり、民意を捻じ曲げるような恥知らずな言動は、今すぐにでも辞めるべきである。


ほぼ非の打ち所のない正論だが、あえてつけ加えることがあるとすれば、「その理解不足をそのまま記事にしてしまった」のは東京新聞に限らず『週刊金曜日』も同じだし、先週のTBSテレビ『サンデーモーニング』にもそのきらいが感じられたことと、「不正選挙」の件に関しては、「小沢信者」ヲチャなら誰でも知っている通り、都議選どころか昨年暮の衆院選の頃からローカルな馬鹿騒ぎが展開されていたことくらいだろうか。


とはいえ、

都議選での「不正選挙」もそうだが、納得する結果にならなかったからといって、選挙制度のせいにしたり、民意を捻じ曲げるような恥知らずな言動は、今すぐにでも辞めるべきである。

というのはあまりにもまっとう過ぎる正論であって、こんなことを恥ずかしげもなくほざき続ける「小沢信者」は、自らも「B層」でありながら同じ「B層」を見下すという、滅多にお目にかかれない珍種といえる。いや、「珍種」という言葉から想像されるような人畜無害で人心を和ませるポジティブな存在ではなく、大多数の人にとっては馬鹿馬鹿しいトンデモに過ぎないけれども、ひとたび当人が本当にはまってしまった場合に周囲に撒き散らす実害がはなはだしく、有害きわまりない存在であるだけにきわめてたちが悪い。


この赤木智弘の論考がほどんど注目されず、田中龍作のブログ記事が歓呼をもって迎えられていることは、真夏の寝苦しい夜にさえ背筋を凍り付かせるに十分な、とんでもない現実である。