kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「陛下の御宸襟を悩ませた」山本太郎は「二重橋に行っておわび申し上げている」のだそうな

山本太郎という人間は、よほど天皇(制)がお好きと見える。
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2013/11/06/kiji/K20131106006956470.html より。

(前略)ボクが陛下にお手紙をお渡ししたことによって、大きな騒ぎになってしまった。陛下の御宸襟(しんきん)を悩ませることになってしまったことは猛省する」と神妙な表情で陳謝。(後略)
スポーツニッポン 2013年11月6日 06:00)

山本の口から「御宸襟」などという言葉が出てきたことに驚いた。こんな言葉は私のボキャブラリーにはないし、「しんきん」などと言われても心筋梗塞しか連想しない。ATOKも「しんきん」と打っても「心筋」以外に「親近」「信金」「伸筋」「真菌」の変換候補しか出してくれない*1


そんな山本太郎に、参議院から意味不明の処分が下った。
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2013/11/09/kiji/K20131109006975190.html

 秋の園遊会天皇陛下に手紙を手渡した無所属の山本太郎参院議員が8日の本会議後、参院議長室に呼び出され、山崎正昭参院議長から厳重注意を受けた。参院議院運営委員会は、山本氏に対し任期中の皇室行事への出席を禁止する処分を決めた。(後略)
スポーツニッポン 2013年11月9日 06:00)

参議院山本太郎に対して「任期中の皇室行事への出席を禁止する処分を決めた」とのことだが、あたかも国民なら誰でも参加できる行事への参加を参議院が禁止したかのようだ。園遊会なる行事はそのようなものではない。おそらく、天皇が「国政に関する機能を有しない」という憲法の規定があるからこんなバカバカしい処分にしたのだろうが、ナンセンスである。もちろん私は山本の処分など不要だと考えている。


同じ記事より、この「処分」に対する山本の発言。

(前略)「できることならば(陛下に)直接お会いして、今回の非礼についておわび申し上げたいが、それはかなわないようなので、すでに二重橋に行って、時間があるときは陛下におわび申し上げている」と発言。(後略)
スポーツニッポン 2013年11月9日 06:00)

まさに「臣・太郎」そのもの。そんなに天皇(制)が好きなのかあんたは。そう思ってしまった。


そんな山本太郎の言葉の数々から連想したのが下記の言葉である。

陛下吾々同志程国を思ひ 陛下の事をおもふ者は日本中どこをさがしても決しておりません その忠義者をなぜいぢめるのでありますか

いうまでもなく、「2・26」事件を起こして処刑された青年将校の一人・磯部浅一の『獄中日記』に書かれた、怨念のこもった言葉である。


山本太郎を「青年将校」にたとえる指摘は既になされている。http://d.hatena.ne.jp/vanacoral/20131031(2013年10月31日)で紹介されている住友陽文氏による批判が代表的なものだが、他にもネットで拾える。たとえば下記のTwitter

https://twitter.com/augustoparty/status/395829154270048256

党首(球技ライター大島)
@augustoparty

原発を反対しようという目的意識は、国民の平和と安全を望む方向性のはずなのだが、山本太郎氏のプロセスを無視する、天皇を直接に動かして問題を解決しようというマインドは、丸っきり戦前の青年将校。彼らの心根に潜んだ無自覚な懐古趣味、伝統への依存を露わにする行動だと思う。

2013年10月31日 - 1:26

いたって健全な反応だと思うが、今回の件で私が驚いたのは、普段天皇制廃止を強硬に求めている新左翼の一部が山本太郎擁護に走ったことだ。もちろん「小沢信者」もこれに含まれるが、小沢一郎にはなびかなかった新左翼にも、同様の反応を示した者が少なくなかった。今回の山本の行動が、象徴天皇制を規定した現在の日本国憲法の精神(主権在民国民主権)にも十分反するものであるにもかかわらずである。これは信じられない光景であった。

右翼(極右)的な言説の広がりとともに、山本太郎の「青年将校」的気質むき出しの言説に対する一部新左翼の無批判は、「戦前回帰」の流れに棹さす以外の何物でもないと思う今日この頃である。

*1:さらに、「ごしんきん」と打つと、「誤審金」と変換された。先の日本シリーズ第2戦における楽天有利の誤審を思い出し、プロ野球機構が読売に金を送って謝罪する場面を想像してしまった。