kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「戦後レジーム」に挑み続ける安倍晋三と「新官房長官談話」を拒否する菅義偉

安倍晋三菅義偉の対照的な言動が報じられている。

まず安倍晋三

http://www.asahi.com/articles/ASG84667RG84UUPI004.html

首相、A級戦犯ら法要に哀悼メッセージ「祖国の礎に」

鈴木拓也、渡辺周


 安倍晋三首相が4月、A級、BC級戦犯として処刑された元日本軍人の追悼法要に自民党総裁名で哀悼メッセージを書面で送っていたことが朝日新聞の調べで分かった。連合国による裁判を「報復」と位置づけ、処刑された全員を「昭和殉難者」として慰霊する法要で、首相は「自らの魂を賭して祖国の礎となられた」と伝えていた。

 メッセージを送ったのは高野山真言宗奥の院和歌山県高野町)にある「昭和殉難者法務死追悼碑」の法要。元将校らが立ち上げた「追悼碑を守る会」と、陸軍士官学校や防衛大のOBで作る「近畿偕行会」が共催で毎年春に営んでいる。

 追悼碑は連合国による戦犯処罰を「歴史上世界に例を見ない過酷で報復的裁判」とし、戦犯の名誉回復と追悼を目的に1994年に建立。戦犯として処刑されたり、収容所内で病死や自殺をしたりした計約1180人の名前が刻まれている。靖国神社に合祀(ごうし)される東条英機元首相らA級戦犯14人も含む。

朝日新聞デジタル 2014年8月27日05時37分)

東条英機といえば、岸信介が商工大臣として入閣させた人間であると同時に、同じ岸信介に叛かれ、「閣内不一致」で内閣を倒された男でもある。戦後、岸が戦犯容疑者として逮捕されながら釈放されたのは、一つには東条に叛いた点が評価されたとの説がある。つまり東条と岸の間には確執があったのだが、そんなことはどこ吹く風の安倍晋三は、ひたすら「戦後レジーム」に挑み続ける。ボンボンの「ネトウヨ宰相」が「アブナイ火遊び」に熱中する呆れたざまだ。

一方の菅義偉

http://www.asahi.com/articles/ASG8W3VDPG8WUTFK004.html

菅長官「河野談話、継承し見直さない」 新談話に否定的

 菅義偉官房長官は27日午前の記者会見で、自民党高市早苗政務調査会長が戦後70年となる2015年に、慰安婦問題をめぐる1993年の河野洋平官房長官談話に代わる新しい官房長官談話を求める文書を提出したことについて「政府の立場は河野談話を継承するものであり、見直すことはない」と述べ、新談話の作成に否定的な姿勢を示した。

 ほかに高市氏が文書で求めた河野談話の検証結果を国際社会に発信することや、教科書検定の厳正実施などについては「強制連行はなかったのだから、しっかり説明することは大事だ」と述べた。

朝日新聞デジタル 2014年8月27日13時39分)

断っておくが、菅義偉を持ち上げる意図など私には毛頭ない。私が感じるのは、菅の冷徹なまでの現実主義者ぶりである。菅は、一方で高市早苗のごとき幼稚な右翼にもリップサービスは欠かさないが、河野談話の見直しはしない、新談話は出さないという線は断じて譲らない。それが、日本が国際社会で生きていくため、というよりもっとはっきり言えば、アメリカに切られないための生命線であることをわきまえているからである。

一方、それを何も知らないのが高市早苗のような軽薄な馬鹿であり、周りから口うるさく言われていて知っているのに納得できず、まるで駄々っ子のように、ことあるたびに本音をちらつかせては「モグラ叩き」されるのが安倍晋三といえるだろう。

菅義偉はそんな安倍晋三の重石になっているといえるわけで、ある意味では安倍ネトウヨ政権を安定させてしまう、たちの悪い存在といえるかもしれない。