朝日(2/15)の読書面を見ていたら、荻上チキ(あの「妙ちきりん」じゃないよ)が岩波から出ている『租税抵抗の財政学』(佐藤滋・古市将人著)の書評を書いている。しかし残念ながら手にとって読んでみたいという気にはならない。
書評には、「本書が重視するのは、逆進性のある消費税ではなく、累進的な所得税だ」と書かれているが、そりゃ所得税が基幹税であるべきことは当たり前だ。問題は、「日本人」であっても富裕層が国籍を他国に移す例が続出していることだ。そういうことが当たり前になっては、基幹税としての所得税は十分に機能しない。だから、ピケティの「国際的な累進的資産課税」の提言が、現実的な世界的課題として受け止められるようになっているのだ。
たとえば元プロサッカーの中田英寿は、タックスヘイブン(租税回避地)として悪名高いモナコの国籍を持つ。それ以前から、プロテニスのクルム伊達公子もモナコ国籍を持っている。ちょっと調べてみたら、クルム伊達は実際にモナコに住んでいるようだが、中田英寿にモナコの居住実態がどの程度あるかはきわめて疑わしい。印象論を言わせてもらうと、クルム伊達の場合は夫君の主導でモナコ在住を決めたのに対し、中田は自らの意思で積極的に「税金逃れ」をやっているように見える。
比較的リベラルな言説の持ち主として知られているらしい中田英寿に、ピケティの『21世紀の資本』を読ませて感想を直撃インタビューをするジャーナリストが現れても良いのではないか。