安倍政権と植草一秀が、沖縄県の翁長雄志知事を陥れようと、汚い工作を行っているようだ。
まず安倍政権の悪行について。年初の自称「イスラム国」(IS)による日本人人質事件以来、安倍政権批判のスタンスをとっている『週刊ポストセブン』より。
安倍政権 「翁長沖縄知事は中国の手先」との情報工作進める│NEWSポストセブン
安倍政権 「翁長沖縄知事は中国の手先」との情報工作進める
2015.04.17 16:00
普天間飛行場の辺野古移設に反対する翁長雄志(おなが・たけし)・沖縄県知事に対し、徹底した会談拒否方針を貫いてきた安倍政権だったが、急遽、方針を一転させて菅義偉・官房長官が沖縄を訪問。翁長知事と会談した。基地移設について「粛々と進めていく」と語る菅官房長官に対し、翁長知事が「上から目線」だと批判をすると、菅氏はすぐに「粛々と」は封印すると語った。
宥和姿勢を装う裏で、政府側は翁長知事に対する情報工作を進めている。本誌が昨年12月、沖縄知事選の情勢を取材していると、複数の公安や内閣情報調査室(内調)の関係者から「翁長の疑惑を何か掴んでいないか」という探りが入った。同時期、別の情報機関の関係者が沖縄県に入り、翁長氏の当選を阻むためのスキャンダルを探し回っていたという証言もある。
結局、翁長氏は仲井眞弘多(なかいま・ひろかず)氏に大差をつけて勝利したが、辺野古移設問題が暗礁に乗り上げるやいなや、虚実ないまぜのネガティブキャンペーンが展開された。「翁長は中国と近すぎる危険人物」という情報である。
一つが、那覇市の若狭緑地に建設中の中国風のモニュメント「龍柱」をめぐるものだ。市の都市計画マスタープランでは、那覇西地域で「中国とのゆかりが深い歴史性を生かしたまちづくり」を推進。
福建省・福州市との友好都市締結30年を記念し、「那覇の新しい玄関口としての魅力を高めたい」と龍柱建設を計画した。それは翁長市長時代に決められたプランであり、「翁長氏に中国側から賄賂が流れた」という怪情報が地元で流されているのである。加えて「龍柱が完成したら、龍の目は上海を向く」というイチャモンのような話も広められた。
菅官房長官の沖縄入りと前後して、情報工作はさらに熱を帯びた。
「翁長知事の娘は長く中国に留学していた」
「娘は、上海市政府に勤める中国人と結婚している。相手は習近平人脈に連なるエリート共産党員だ。中国に行ったままなかなか帰国を認めてもらえない。人質に取られているも同然だから、基地問題で中国寄りの姿勢をとらざるを得ない」そんな内容で、一部のネットメディアにリークされ、同じタイミングで自民党議員や番記者たちも噂を広めていた。それがネトウヨたちに転載されて一気に広がった。
しかし実際は、娘は結婚も留学もしていない。「龍の目が上海を向く」も、単に空港からの車の流れや港に着く船からの人の動線を考慮して「海側に向けられただけ」だった。
さらに、翁長知事が福州市から「名誉市民賞」を受けているとする情報も広がっている。だから「中国寄り」というわけで、やはりこれもネットで「売国奴だ」と批判の対象になった。名誉市民賞は事実だが、実態は友好都市として歴代那覇市長と福州市幹部が「名誉市民」の称号を交換してきた歴史があるだけだ。
安倍政権は「情報収集能力強化」を謳うが、この程度のお粗末な情報工作に手を染めているようなら、児童会選挙のスパイごっこレベルである。何より、沖縄の市民感情も日本の国防も本気で考えていない証左になる。
※週刊ポスト2015年4月24日号
これを「児童会選挙のスパイごっこレベル」と言っては、子どもたちに失礼だろう。2ちゃんねらーに代表されるネトウヨのレベルだ。総理大臣自身がネトウヨだから、工作もこのレベルになるのであろう。
一方の植草一秀も、安倍晋三に負けず劣らずひどい。植草は、いかにも「陰謀論の大家」らしい下記のクソ記事をひり出している。
予想通り翁長安倍会談物別れでお茶濁す極秘シナリオ: 植草一秀の『知られざる真実』
2015年4月17日 (金)
予想通り翁長安倍会談物別れでお茶濁す極秘シナリオ
辺野古の米軍基地建設は、
「粛々と進める」
のでなければ容認されるのか。
4月5日に菅義偉官房長官と翁長雄志沖縄県知事との会談が行われた。
菅官房長官が辺野古米軍基地建設を
「粛々と進める」
と発言すると、翁長雄志氏は
「上から目線の「粛々と」という言葉を使えば使うほど、県民の心は離れて、怒りは増幅していくのではないか」
と述べた。
メディアは翁長氏の
「上から目線」発言をトップニュースで報道した。
沖縄の街では、
「翁長知事がんばれ」
の幟(のぼり)がはためいた。
翁長氏を英雄のように報道する姿が目立っている。
菅義偉氏は帰京して、
「「粛々と」という言葉を使わない」
と述べたが、その直後に安倍晋三氏が国会答弁で
「粛々と進める」と発言して批判を浴びて、「粛々と」という言葉をあえて使う必要はないと弁解した。
しかし、この会談での菅義偉氏と翁長雄志氏の
「粛々と」
発言の部分は、両者がともに用意した原稿を読んだものである。
二人の発言がともに台本に用意されていた疑いが濃厚である。
両者は、どこかの脚本家が用意した台詞(セリフ)を読み上げただけに過ぎなかった疑いが強い。
この「芝居」を通じて浮かび上がることは、
翁長雄志氏が政府に注文をつけたのは、辺野古米軍基地建設を「粛々と」進めることに対してだけであって、基地建設そのものを何が何でも阻止するとの意志はまったく感じられないものだった。
翁長雄志氏は
「辺野古に基地を造らせない」
ことを公約に掲げて知事選を戦い、沖縄県民はこの公約を信用して翁長氏を知事に選出した。
したがって、翁長氏が
「辺野古に基地を造らせない」
という公約を実現できなければ、翁長氏の知事再選はあり得ない、
と考えるべきである。
その前に、翁長氏の県政の下で、辺野古基地建設が進行するなら、沖縄県民が翁長雄志氏の知事リコールに進むというのが、正道ということになるだろう。
沖縄には
「翁長タブー」
がある。
辺野古基地建設を阻止しようとする県民が、翁長雄志氏を批判することがタブーとされる空気が昨年夏からずっと広がっているのだ。
私は、沖縄県知事選に際して、このタブーを破った。
その理由は、ただひとつ。
「辺野古に基地を造らせない」
為である。
「辺野古に基地を造らせない」
という目標を実現するうえで、現在、もっとも有効な手法は、
沖縄県知事が埋め立て承認を撤回し、さらに、取り消すことである。
これ以上に有効な方法はない。
だから、知事選に際して、辺野古基地建設反対を求める人々は、翁長氏の選挙支援をするなら、翁長氏から、
間違いなく「埋め立て承認の撤回、取消」に進む確約を取るべきであると主張し続けた。
その理由は、翁長氏が「腹六分腹八分」を前面に掲げて、頑なに「埋め立て承認の撤回、取消の確約」を拒絶したからである
現在の沖縄の状況を見る限り、私が提起した懸念は、間違いなく現実のものになる。
4月17日には、翁長氏が安倍晋三氏と会談することになったが、翁長氏は安倍首相に、はっきりと、
「埋め立て承認撤回および取消の方針」を伝えるべきである。
それが、沖縄県民に対して、
「辺野古に基地を造らせない」
と約束したことに見合う唯一の方策である。
4月4日付メルマガ記事
「翁長・安倍会談物別れでお茶を濁す極秘シナリオ」
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-7019.html
に記述したシナリオが現実化しつつあることを見落としてはならない。
植草の下劣な根性を全開にしたと思われる卑劣な記事である。
余談だが、おそらくこの記事を読んで激怒したと思われる人間が、ブログ『世に倦む日日』のコメント欄で、植草一秀になりすまして(と私は確信している)、下記のコメントを書いた。
http://critic20.exblog.jp/23927708/(コメント欄)
Commented by 植草一秀 at 2015-04-17 18:26 x
私は小選挙区制を否定しない。小沢氏のやることは絶対なのだ。
翁長タブーを破ることは健全だが、民主主義のために小沢タブーを犯すことは万死に値する。
たとえ自民党が少数の得票で多数の議席を得られても、
たとえ主権者サイドの立場から小選挙区制度を批判する者が現れても、私は聞く耳を持たない。
世に倦む日日氏は、現行の制度のままではマスゴミが風を吹かせて結果を容易く左右させることが出来ると言ってるが、それは詭弁と言わざるをえない。
不正選挙の可能性を峻拒して一方的に決め付けるのは如何な者か。経済分野は私が言うべきと仰ったが、何も専門バカに堕す必要性は強制されるものでもなかろう。
実際には植草一秀は鳩山由紀夫一派に属する人間である。小沢との関係においては「おつきあい小沢シンパ(信者)」に過ぎない*1。だから、上記のようなコメントを植草一秀が書くはずがない、「なりすまし」に違いない、と確信した次第。文面も、植草に対する強烈な皮肉を次々と繰り出している。私もコメント主と同じ「反植草」の人間だからよくわかるばかりか、爆笑してしまった。
もちろん、「なりすまし」の投稿自体は批判されるべき行為ではあるが、この「なりすまし」コメントによって、植草の醜悪なブログ記事を知ることができたのだった。
安倍晋三を支持している(ネトウヨを含む)右翼どもも、かつて小沢一郎や鳩山由紀夫を支持し、その「伝道者」である植草一秀を「理論的支柱」としようとした「リベラル」たちも、ともに猛省すべきであろう。
*1:植草のブログは最近、筋金入りの「小沢信者」のブログからリンクを切られるなどしている。植草が沖縄県知事選で翁長雄志氏を批判して、喜納昌吉を推したためである。なお知事選で喜納昌吉がお話にならない惨敗を喫したことは記憶に新しい。現在植草がつるんでいるのは、孫崎享や矢部宏治らである。孫崎や矢部らは、1999年に「小沢一郎の改憲構想より危険」と酷評された鳩山由紀夫の改憲案の方向へと「リベラル」を誘導しようとしている。先日それに呼応して転向したのが池澤夏樹であった。もう日付が変わって昨日になったが、宇野常寛をゲストに迎えた「報道ステーション」で、9常改憲論者だという宇野に対して司会の古舘伊知郎は「リベラルの改憲?」と念を押していた。だが錯覚してはならない。「左折の改憲」だの「リベラルの改憲」だのは、必ずや安倍晋三の「極右の改憲」に回収されてしまうのだ。今の政治状況からみて、それ以外の成り行きは考えられない。