kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

沖縄は「鳩山由紀夫」を信頼しているか?

タイトルは「反語」ではない。純粋な疑問文である。沖縄の人間ではないどころか、沖縄に足を踏み入れたこともない私にはわからないのである。

まず、安倍政権と植草一秀による翁長知事誹謗中傷の試みに怒る - kojitakenの日記(2015年4月18日)に white noiseさん(id:whitenoisekun)よりいただいたコメントを紹介する。

http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20150418/1429335550

whitenoisekun 2015/04/19 00:02
今こんなこと言ってどうすんの?というレベルの話なんですけどね。
結局は「壊憲」発議はいたし方のないことだから「粛々と」受け入れましょう、ということを糊塗するためのマスターベーション
それを正当化するための道具立てが「押し付け憲法論」なので、倒錯しているのも甚だしいというか。

それと、鳩山由紀夫は昨年12月に矢部本読んだ感想として、こんなツイートしてるんですよね。

https://twitter.com/hatoyamayukio/status/546945199516053506

“矢部宏さんが書かれた「日本はなぜ『基地』と『原発』を止められないのか」を読んで、目からうろこが何枚落ちたか分からない。その一つが日米合同委員会の組織体制である。 この60年以上続く米軍と日本の高級官僚から成る同委員会が決めた内容は非公開である。誠に恥ずかしい限りではあるが、”


https://twitter.com/hatoyamayukio/status/546945483898245120

“誠に恥ずかしい限りではあるが、総理時代に米国と官僚の厚い壁に歯が立たなかった所以がここにある。日本がアメリカに従属している構図は極めて強固であり、霞が関には従属の完成系が存在している。こんな情けない日本を自立させ、対米従属からの脱却の旅に出る政治家は現れてないのであろうか。”


勝手に日米合同委員会が日米安保関連のすべてを決定している、ということもにわかには信じがたいのですが、それを矢部本で知りましたってのもねぇ。
というか、非公開だったとしても政権交代直前の右派メディアの「日米の信頼を損なう」攻勢はすさまじかったわけで、少なくとも日米合同委員会については認知もしていないで、いったいどうやって基地問題解決しようとしていたのか?要するに何も考えてなかったんでしょと。
だって、官僚主導の打破を言っておきながら、グズグズといつまでたっても沖縄訪問しなかったから、追い込まれていったわけですし。

沖縄の方々が鳩山を信頼するのも他があまりにひどいからであって、そこをネグって彼を持ち上げるリベラルってのも信用できないんですよね。

ここで紹介された鳩山由紀夫Twitterは、矢部宏治の名前をtypoしていることは御愛嬌としても、内容が実にひどい。鳩山なら、世の「小沢信者」同様、孫崎享トンデモ本『戦後史の正体』を読んでも同様に「目からうろこが何枚落ちたか分からない」ていたらくに違いあるまいと思う。

しかし、white noiseさんのコメントに一点だけ疑義を差し挟ませていただくと、果たして本当に鳩山由紀夫は沖縄で「信頼されて」いるのだろうか。

次に、きまぐれな日々 ブログ開設10年目のぼやき(2015年4月20日)に杉山真大さんからいただいたコメントを紹介する。勝手ながら、本記事の論旨に沿って強調箇所を変更させていただいた。

http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1387.html#comment18708

ここ最近、はてなダイアリーの方で取り上げられている矢部宏治の例の本 http://amzn.to/1pWRXUS への批判に絡んで、(そのコメントで紹介されていた)シノドスでの太田昌秀・元沖縄県知事へのインタビュー http://synodos.jp/society/13644 を昨晩読んだのですけど、太田知事の言を読んで先月の朝日新聞に載っていた目取真俊へのインタビュー http://www.asahi.com/articles/DA3S11647075.html を想起したんですよね。つまり日本のみならず平和憲法への敵意みたいなものがなぜ沖縄で受け入れられているのか、その背景をお二方の言から思うのですよ。

佐高信氏の有名な言に憲法は会社と基地の前で立ち止まるというものがあったんですけど、その意味では県全体が米軍ないしは自衛隊の基地だったりする沖縄県は"番外地"の様なもので、日本では平和の理想の様に語られる第9条でさえ沖縄県民の眼からしてみれば自分たちに負担と犠牲を負わせる元凶じゃないかって思いが復帰後40年で醸成されてきたって感があるんですよね。そこへ孫崎享や矢部宏治らの様な平和憲法こそ元凶だ・憲法を変えて軍備で自主独立しようという"右翼"的な主張に付け入られる隙が生まれてしまうし、本来なら保守政権に対峙する筈の「革新」ですら、対案が観光とかFTZとか本土辺りなら保守政権が口にして尚且つ既に一部が実施されていながらも地元経済への寄与に殆ど役立っていないのでは、結局「オール沖縄」的なものに回収されてしまうのがオチだったりするんですよね。

はてなダイアリーでは、翁長知事が中国の手先であるかの如く中傷されている http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20150418/1429293574 ことが取り上げられてましたけど、寧ろ自分は同じエントリで取り上げられていた植草一秀(植草支持じゃないですよ、念のため)や菅野完(noiehoie)や大田元知事の言を見ていると、土壇場で何らかの決着がついてしまう可能性って少なくないんじゃないかと思うんですよね。鳩山が政権に就いていた頃から「辺野古の基地は自衛隊仕様になってる」って噂されていましたし、鳩山の"腹案"も沖縄の自衛隊化ってことではないかって推察するんですよ。そして現在の安倍政権が、尖閣諸島絡みで既に先島諸島への自衛隊進駐を推進していますから。

また、ここへきて盛んになっている沖縄独立論にしても自分は懸念を抱いています。というのも、仮に独立するとなれば米軍基地を残し駐留を認めるかか・そして沖縄自身が「国軍」を持つか、という問題に直面しなければならない訳ですから。そして現在の翁長知事の施政下で独立するとなると、前者に関しては(ある程度ながら縮小を認めるものの)基地を残して米軍も駐留し米と同盟条約も結ぶ・後者に関しては「国軍」を持つという、今の日本から第9条が無くなった状態そのまんまの事態になる可能性が大って気がするんですよね。これを、今まで例えば反基地とか米軍撤退とかで長らく闘ってきた沖縄の「革新」や「リベラル」は、到底受け入れられることが出来ないでしょう。それこそデモやストなど激しい紛争になるどころか、下手すれば(中国・台湾やASEAN諸国、更には日本など周辺諸国の利害も絡んで)内戦状態もまる可能性だって決して小さくない気がします。

今の沖縄の状況で、自分が想像するのはアイルランドなんですよね。アイルランド連合王国下で一種の"番外地"扱いされて、19世紀ごろから独立運動が盛んになり流血の事態も幾度か起きましたけど、折角独立を認められても今度は「完全な独立じゃない!」と以前の独立派同士が骨肉相争う内戦を引き起こしてしまうのです。「オール沖縄」が、このアイルランドの二の轍を踏まぬとは絶対に言い切れないし、前述した様に周辺諸国との利害が絡んで下手すればレバノン内戦の様な(沖縄戦以上の)凄惨な結果になるって嫌な予感しかしないのですが・・・・・

2015.04.20 09:43 杉山真大


赤字ボールドにした部分について、確かに「沖縄には憲法9条は適用されてこなかった」という指摘はよく聞かれる。しかし、矢部宏治や孫崎享鳩山由紀夫らが発する「平和憲法への敵意みたいなもの」が本当に「沖縄で受け入れられている」かどうかを私は疑っている。「沖縄にも憲法9条を適用せよ」というのならわかるけれども。

なぜこんなことを書くかというと、昨年の沖縄県知事選に、あまりにも鮮やかに沖縄の民意が示されたと思うからだ。

昨年12月9日に行われた沖縄県知事選は、下記のような結果だった。

翁長雄志   63  無新  360,820票  51.7%  (支持)日本共産党・生活の党・社会民主党沖縄社会大衆党・「新風会」
仲井眞弘多  75  無現  261,076票  37.3%  (推薦)自由民主党・次世代の党

下地幹郎   53  無新   69,447票   9.9%  (支持)そうぞう・「維新の党」沖縄県本部
喜納昌吉   66  無新   7,821票   1.1%


立候補者4人のうち、喜納は参議院議員時代、民主党鳩山グループに籍を置いていた。そして、民主党沖縄県連代表だった喜納は、鳩山由紀夫に立候補を打診したが断られ、代わりに自らが立候補したものの、民主党本部(当時の代表は海江田万里)の怒りを買って民主党を除名されたいきさつがある。つまり、喜納昌吉は純然たる鳩山由紀夫系列の候補者だった。喜納の応援のために、やはり鳩山由紀夫一派の人間である植草一秀は、沖縄に出向いて喜納を応援するための講演会を行った。これに神経を尖らせたさる「小沢信者」のブログ(彼は翁長雄志氏を応援していた)は、記事で植草の行為を仲井眞弘多を利するものであるとして激しく植草を批判し、それまで張っていた植草のブログへのリンクを切った。

その喜納が惨敗した。得票率わずか1.1%だった。仲井眞を利するも何も、喜納はお話にならない泡沫候補に過ぎなかったのである。喜納の訴えに、沖縄県民は耳を傾けなかった。喜納の惨敗がいかにひどいものであったかどうかは、前回、2010年に行われた沖縄県知事選において幸福実現党から立候補した金城竜郎の得票数13,116票、得票率2.0%にも及ばなかった事実を知れば実感できるだろう。

要するに沖縄県民の大多数は喜納昌吉だの鳩山由紀夫だの矢部宏治だの孫崎享だのの言説を相手にしていないのではないかというのが私の推測である。

そもそも鳩山由紀夫とは、「辺野古現行案回帰」を決定した時の内閣総理大臣にして民主党代表である。「辺野古現行案回帰」を決定したのは菅直人でも野田佳彦でもなく鳩山由紀夫なのである。その鳩山が「被害者面」していることほど腹が立つことはない。「お前が言うな」の極致である。