kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「リベラル」よ敵を知れ、現実を直視せよ。長谷川幸洋の記事くらい読んでおけ

橋下、「軽減税率」で公明党に「譲歩」した安倍晋三の「決断」(=猿芝居)を「凄すぎる」と絶賛 (呆)(呆)(呆) - kojitakenの日記(2015年12月11日)で、産経新聞の記事 【軽減税率】橋下市長、安倍政権の決断「凄すぎる」と絶賛 公明に譲歩で「いよいよ憲法改正」 - 産経ニュース(同12月10日)を引用した時、私はもちろんこの記事についた「はてなブックマーク」を見て(これはいつもの習慣だ)、下記のブクマコメントを確認した。

Umekosan 産経なのにw 安倍政治を絶賛しているのはどう見ても嫌味だろ。 橋下市長が安倍政権をこき下ろしているのに絶賛しているような記事は偏向報道だろう。 2015/12/10

私は、ふーん、そんな解釈もあるんだ、と思いつつ、とは言っても橋下がくっつく相手はいつだって石原慎太郎であったり安倍晋三であったりの極右政治家だからなあ、と思いながら強引に記事を書き上げたのだった。

ところが、上記ブコメと同様の解釈にさっそく「リベラル」氏が飛びついてきた。大阪ダブル選で一時は橋下を「安物のヒットラー」とこき下ろしながらも、まだ未練があるのかと呆れた。

 でも、○○○はこのツイートを読んだ時、橋下氏は安倍首相をヨイショしながら(持ち上げているように見せかけながら)、実際には半ば批判的な視点で、茶化してバカにしているんじゃないかと感じたんだよね。(・・)

 だって、「恐るべしの政治。これが政治か」っていうのは、これは「まっとうな、ふつうの政治ではない」ってことでしょ。(~_~;)

 「軽減税率でここまで妥協するとは」「目的達成のための妥協。凄すぎる。僕はケツが青すぎる」っていうのも、しかりで。
 (真偽のほどはさておき)僕みたいに若くて青い政治家は、ちゃんと道理や現状を考えて、税金なら税収や財源のことを考えて、どこまで妥協すべきか判断するのだけど。安倍官邸のように国の財政や国民のことは二の次で、憲法改正という自分たちの目標実現しか考えていない&(汚い?)オトナのタヌキ政治家たちは、ここまで妥協しちゃうんだと。(++)

 でもって、この「凄すぎる」という言葉には、大事な国政においても、目標のためなら手段を選ばず、自己実現をしようとする安倍官邸の執念に驚きを示すと共に、それを揶揄(さらに言えば、嘲弄、蔑視?)しているような気持ちも込めているように○○○には見えたんだよね。(@@)

ああ、でもねえ、その「まっとうな、ふつうの政治ではない」、「目標のためなら手段を選ばず、自己実現をしようとする」ってのは、ほかならぬ橋下自身がいつもやってることじゃん。それが仮に安倍晋三に対する揶揄だとしても、「お前が言うな」以上の言葉は出てこないよね。

それにそもそも、軽減税率云々以前に、消費税が予定通り2017年4月に引き上げられる可能性が果たしてどのくらいあるのか、それを先に考えた方が良いと思うよ。

もうすっかり対立する論陣を張る立場になった私が、あえて「リベラル」氏に助言するとしたら、もっと敵を知ろうとする努力をした方が良いってことかな。サンデー毎日週刊現代夕刊フジ日刊ゲンダイ(笑)によく出てくる鈴木哲夫のような、小沢一郎橋下徹の二股をかけて、2012年の夏頃に日本維新の会衆院選での大躍進を予想したかと思えば、日本未来の党が結成されると、維新と未来とみんなの党などを合わせた「第三極で200議席を超えてくる可能性が出てきた」などと、とんでもない大ボラを吹いたりした人間の書くことを真に受けたりするのを早く止めて、頭の切れる敵方の人間の最たる長谷川幸洋の記事あたりを読んで、どうやったら敵に勝てるかを考えた方が良いと思うよ。

まだ安保法案が可決される前の、安倍政権の支持率が落ちていた今年8月に週刊ポストに載った衆参同日選挙のシミュレーション記事を今頃引用して、「安倍官邸&自民党幹部は、よほど来年の選挙に自信がないのだろう」なんて書くのは、読んでて恥ずかしくなるから止めた方がいいよ。今週号の週刊ポストに、安倍晋三が衆参同日選挙に踏み切って自民党が圧勝するだろうという記事が載ってたことくらい知ってるだろ。8月と今じゃ、安倍内閣の支持率は10ポイントほども違うんだよ。

そんなわけで、にっくき東京新聞中日新聞)論説副主幹・長谷川幸洋が書いた記事を下記に引用する。

騒がれだした衆参ダブル選、その行方を教えよう~政治家にぶら下がるだけの記者には分からない「政局の読み方」(長谷川 幸洋) | 現代ビジネス | 講談社(1/4)(2015年12月4日)

騒がれだした衆参ダブル選、その行方を教えよう〜政治家にぶら下がるだけの記者には分からない「政局の読み方」
2015年12月04日(金) 長谷川 幸洋
長谷川幸洋ニュースの深層

今さら騒いでどうする

新聞各紙に「来年7月は衆参ダブル選挙!?」と思わせる見出しが踊り始めた。自民党幹部が相次いでダブル選の可能性に言及したためだ。「7月はダブル選」説を最初に唱えたコラムニストとして、あらためて、なぜダブル選なのかを書いておこう。

私が「来年7月はダブル選になる」という予想を初めて喋ったのは、いまから5ヵ月前、7月12日放送のテレビ番組「そこまで言って委員会NP」である。

同17日発売の『週刊ポスト』コラム「長谷川幸洋の反主流派宣言」(現在は終了)や8月21日公開の当コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/44837)、ニッポン放送の番組「ザ・ボイス〜そこまで言うか」などでも一貫して同じ見通しを語ってきた。

そんな私からみれば「ようやくか」という感じだが、新聞が一斉に書き出したのは、自民党佐藤勉国会対策委員長谷垣禎一幹事長らが公の席でその可能性を認めたからだ。

べつに自民党幹部の発言を待たなくても、記者自身が自分の見通しを書けばいいのに、そういう記事にお目にかからないのは、だれか責任ある立場の政治家が言ってくれないと怖くて書けないのだろう。

それでは政局取材をしている意味がないと思うが、政治記者の力とはその程度である。ひたすら政治家の背中を追っかけて発言をキャリーする人種と思えばいい。

ここに来てダブル選の憶測が広がった1つの理由は、安倍晋三政権が、来年の通常国会を通例より大幅に前倒しして1月4日に招集すると決めたためだ。

憲法は「解散から40日以内に総選挙をする」と定めているから、国会閉会日の6月1日に衆院を解散すれば、参院選投開票日として有力視されている7月10日に衆院の投開票が間に合う、という理屈である。それは各紙が書いている。

だが、それは日程にすぎない。なぜ政権が来年7月に解散総選挙を断行しようとするのか。そこを説明してくれなければ、読者は話が腹に落ちない。それを説明しようとすれば、経済の見立てが問われる。ところが、政治記者は経済が分からないのだ。

参院選は厳しいが、ダブル選なら与党圧勝

私がなぜ7月時点で「ダブル選あり」とみたかといえば、一番の理由は景気動向である。2014年4月に消費税を8%に引き上げた後、景気は急降下した。だから安倍政権は同11月に10%への増税を先送りして衆院を解散し、大勝したのはご承知の通りだ。

その後、景気が持ち直したかといえば、残念ながら15年7月時点でも相変わらず、ぱっとしなかった。それは、日銀が15年4月に消費者物価上昇率2%達成の目標を「15年度中」から「16年前半ごろ(6月)」まで先送りしたことで証明されている。景気が良くなっていたら、目標を先送りする必要はない。悪いから先送りしたのだ。

消費者物価上昇率2%は単なる日銀の目標ではない。安倍政権の最重要課題である。政権の約束である「デフレ脱却」を、物価の番人である日銀が消費者物価上昇率2%という数字で示している。その目標を達成できないようでは、消費税10%引き上げはできない相談だ。

加えて当時、国会は安全保障関連法案の審議が佳境にさしかかっていた。反対論が勢いを増し、安倍政権の支持率は下がっていた。そんな状況で来年7月に参院選を迎えれば、国民の中には「安倍政権にお灸をすえてやろう」と考える人も出てくるだろう。つまり参院選は旗色が悪い。

だが、参院単独でなく衆参ダブル選となれば、話は別になる。総選挙で安倍政権が敗北すれば政権交代になってしまう。はたして国民は政権交代を望んでいるか。政党支持率をみれば、自民党支持率はだいたい30%台半ばくらいで安定しているから、政権を失うほど衆院選で負けはしないだろう。

それなら景気も悪いのだから増税を再び先送りして、あえてダブル選に打って出る。国民に政権の信を問うことで旗色が悪い参院選をカバーする。政権にとって「それが合理的な判断」と読んだのだ。

念のために言えば、私は安倍政権を支持しているが、だからといって政権を応援するために解散予想を喋ったり書いたりしているわけではまったくない。そういう「邪悪な意図」があると、私自身の判断が歪んでしまう。

あくまで「私が政権を握る最高権力者だったら、どう判断するのがもっとも合理的か」を突き詰めて考えているだけだ。ほとんどの政治記者には、そういう発想がないらしい。「有力政治家のだれがなんと言うか」ばかりに気をとられているから、ピンぼけになるのである。

いまだから明かせる菅長官との会話

はっきり言って、解散するかしないかなんていう話は安倍首相以外はだれにも分からない。幹事長だろうがなんだろうが、いまから決定権がない人の話をいくら報じても意味はないと断言していいくらいである。

そんなに政治家の発言が大事なら、政治記者は安倍首相本人に「解散するんですか」と聞けばいい。「まったく考えていません」と答えるに決っている。

大物政治家に食い込んでいることを得意気に吹聴して、ああでもないこうでもないと論評するのを商売にしている政治評論家もいるが、それはビジネスモデル自体が破綻している。テレビで喋ると分かっている評論家に首相が解散するかどうか、本当の話をするわけがないではないか。

だれか別の政治家が大物ぶって話したところで、ギリギリの直前まで安倍首相本人しか分からないのに、本当の話が分かるわけもない。

私はそういうバカげた取材はいっさいしない。私も政治家に電話くらいできるが、聞かれて相手がシラケるような質問をするほど下品ではない。景気と与野党、マスコミの動向を外から見ているだけだ。

昨年10月はたまたま菅義偉官房長官が「11月中に増税するかどうか判断する」という内容を記者会見で事実上、喋った。それで私は「それなら解散で増税は先送りだ」と確信した。

臨時国会が開会中の11月に増税するかどうかを決めてしまったら、残りの会期は審議どころではなくなる。つまり論理的に「解散するから、もう国会は関係ない」という話になる。

そう考えて、当時のニッポン放送の生番組で「衆院は解散、増税は先送り」と喋ったのである。このあたりの事情は当時の14年10月31日公開コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/40957)や11月14日公開コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/41078)に詳しく書いた。

私としては読者に手の内を明かしたつもりである。

官房長官は後になってから「あの時、私の意図をずばり当てたのは長谷川さんだけだったね。後で官邸の記者さんたちに(解散を)否定するのに大変だったよ」と笑って私に述懐したものだ。終わった話だから書いてもいいだろう。

やっぱりダブル選の可能性は高い

さて、7月以降に何があったか。

まず、やはり景気である。景気は思わしくない。4〜6月期の国内総生産GDP)改定値はマイナス1.2%、7〜9月期速報値はマイナス0.8%だった。2四半期連続のマイナスは経済学の定義により景気後退(リセッション)である。菅官房長官は景気後退と言っていないが、それは学者でなく政治家であるからだ。

なにより見逃せないのは、日銀が消費者物価上昇率2%の目標をまたも「16年後半ごろ」に先送りしたことだ。これでデフレ脱却は来年後半以降に後ズレすることがはっきりした。そんな状況では10%への増税はますます難しい。

加えて、これから中国バブル崩壊の影響がじわじわと効いてくる。爆買いは一段落しつつあるし、製造業の設備投資も慎重になるだろう。1日に発表された法人企業統計では設備投資が前年同期比11.2%増だった。明るい材料もあるが、予断はできない。

来年2月に発表される10〜12月期と来年5月発表の来年1〜3月期のGDPの数字が鍵を握っている。増税するかどうか、最終判断するのは来年5月以降だから、あと2回。GDPの数字が良くないと、増税先送りは決定的になる。

野党の動向もある。

民主党は相変わらず右往左往状態だ。安保政策で党内は分裂、経済政策では格差是正を叫んでいる。だが、どうやって是正するのか。前提になる経済成長をどう実現するのか。そもそも成長を目指しているのかどうかもはっきりしない。小選挙区の候補者もそろわない。維新の党はもう解散まっしぐらだ。

維新と民主の合流話もどうなるか、さっぱり見えてこない。元気なのは日本共産党くらいである。野党がこんな体たらくだから、総選挙をすれば政権交代がないのは明白である。安倍首相がダブル選の誘惑にかられるのも当然だろう。

内閣支持率も回復してきた。「戦争法案」反対で盛り上がった夏の熱狂はどこかに消えてしまった。南シナ海で軍事基地化を進める中国や同時多発テロに襲われたパリを目の当たりにすれば、安倍政権は安保関連法の見直しによく間に合った、と言っていいくらいである。

かくてダブル選の可能性は、私が言い出した7月当時に比べて、ますます高まった。あとは民主党が消費増税にどういう態度をとるか、がオモシロ・ポイントだ。増税言い出しっぺの民主党には、ぜひ「増税こそが日本を救う」と言ってもらいたい。

蛇足ながら、周知のように7-9月度のGDP確定値はプラス成長となり、安倍晋三は「2年連続で景気をリセッション入りさせた戦後初の首相」になる汚名こそ免れたものの、景気は相変わらず低迷している。こんな状況下では、軽減税率云々以前に消費税率の引き上げ自体が困難極まりないのは当たり前だ。だから私は、なんでマスコミはそのことを言わないで、無意味な議論に終わることが火を見るよりも明らかな軽減税率をめぐる自公のプロレスなんかをしたり顔に報じるんだよ、と怒り狂っているのだ。

長谷川幸洋は、今週号の週刊ポストで、安倍晋三は消費税率引き上げ見送りを争点にして来年の衆参同日選挙を戦う腹だともコメントしてる。それは大いにあり得ると私も思う。2017年4月の消費税率引き上げは、ほかならぬ安倍晋三自身が決めたことなのだから、その延期を争点にするなど理不尽な話なのだが、選挙は理よりもムードに左右される。

ラグビー五郎丸歩選手の名前を知って、1981年にプロ野球阪神タイガースからドラフト1位指名をされた源五郎丸洋*1投手を思い出したという「リベラル」氏なら覚えておられることと思うが、1980年の衆参同日選挙は、その選挙戦中に首相の大平正芳が急死し、それは福田派と三木派が「六甲おろし」ならぬ「大平おろし」をやらかしたために大平正芳が憤死したようなものだった。事実上大平氏を殺したも同然と言える自民党の連中が「弔い合戦」を言い出して自民党が圧勝したことに、当時まだ選挙権を持っていなかった私は呆気にとられたものだ。

過去の2度の衆参同日選挙にはいずれも自民党が圧勝し、私から見るといずれも日本を悪くする大きな契機となった。3度目に衆参同日選挙が行われたら、今のままなら間違いなく「アブナイ」日本は止めを刺されることになるだろう。

*1:げんごろうまる・ひろし。新人時代の1982年のキャンプ中に故障して、1勝も挙げられないまま1986年に引退した非運の選手。