kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

登山家の谷口けいさんが遭難死(朝日)

私はお名前を存じ上げなかったのだが、谷口けいさんは世界的な登山家だったそうだ。

http://www.asahi.com/articles/ASHDP71YJHDPIIPE038.html

登山家の谷口けいさんが遭難か 女性初のピオレドール賞
2015年12月21日22時03分

 21日午後2時50分ごろ、北海道の大雪山系黒岳(標高1984メートル)を登山中の男性から、一緒にいた谷口けいさん(43)=山梨県北杜市=の姿が見えなくなったと道警に通報があった。道警は谷口さんが遭難したとみている。

 谷口さんは、「登山界のアカデミー賞」と呼ばれ優れた登山家に贈られるフランスの「ピオレドール(黄金のピッケル)賞」を女性で初めて受賞した世界的な登山家。

 旭川東署の説明では、一行は男性4人と谷口さんの計5人。20日に登山を始め、21日は岩登りをして午後2時半ごろ、山頂付近に到着した。岩陰に向かった谷口さんが戻ってこないため、仲間が捜しに行ったところ、手袋が残っており、下の斜面には滑り落ちたような跡があったという。男性4人は同日夜に下山した。

 21日は悪天のため、ヘリを飛ばせず、道警は救助隊を現地に派遣した。22日朝から捜索する予定だ。

朝日新聞デジタルより)


http://www.asahi.com/articles/ASHDQ3HH3HDQUTIL00Q.html

登山家・谷口けいさんの死亡確認 北海道・黒岳で発見
2015年12月22日12時01分

 北海道の大雪山系黒岳(標高1984メートル)で21日から行方不明になっていた国際的な登山家の谷口けいさん(43)=山梨県北杜市=を捜索していた道警などの捜索隊は22日午前9時半ごろ、山腹で谷口さんが倒れているのを発見し、ヘリコプターに収容した。間もなく死亡が確認された。

 道警と陸上自衛隊は同日早朝から、地上と上空から捜索を開始。谷口さんと一緒に登山していた男性らも捜索に加わった。谷口さんは雪に埋もれた状態で見つかった。

 谷口さんら5人が登っていたのは、登山道とは離れた「北壁」と呼ばれる急な岩登りのルート。難所を越えて目的の山頂付近にほぼ達したところで、谷口さんは「用を足す」と告げ、安全のため仲間とつないでいたロープを外し、少し離れた岩場の陰に行った。戻らなかったため、仲間が捜しに行くと姿が見えず、両手の手袋が残されていた。斜面の下の標高差で150メートルほど下った場所で滑落時にできるような跡が見つかった。

朝日新聞デジタルより)


昔(前世紀)、一度は旭岳からの縦走の最後の山として、もう一度は縦走の最初の山として二度登ったことがあるが、私は夏山の一般登山道しか行かない人間だ。谷口さんはもちろんそうではなく、冬の急峻な岩登りをしていた。しかし、難所ではなく、「難所を越えて目的の山頂付近にほぼ達したところ」で「用を足」そうとして滑落死した。

「『登山界のアカデミー賞』と呼ばれ優れた登山家に贈られるフランスの『ピオレドール(黄金のピッケル)賞』を女性で初めて受賞した世界的な登山家」がそんな死に方をするなんて。

谷口さんは、「谷口ケイのでこぼこ登山」と題したホームページを作っていた。その中に、2004年3月8日の日付のある「小河原さんへケイより」と題した追悼文がある。その一部を引用する。

小河原さんが死んでしまった。しかも高山病で。納得いかないよ。今更、高山病だなんて、納得いかない。悔し過ぎる。何度も辛い経験して、よく分かっていたハズなのに。雪崩とかは運命かなって思うけど、高山病だなんてさ。死ななくていい死に方をしてしまった気がしてならなかった。自分の身近な人間が高山病でどうにもできなかったっていうのが、居たたまれなかった。死というものは、あまりにも極端な出来事で、実感が湧かない。実感が湧かないから悲しくは無い。ただ、悔しくてたまらない。なんだか無性に、今自分に出来ることは登る事だって気がした。


谷口さんもまた「死ななくていい死に方をしてしまった」のだろう。彼女を知る人には「悔しくてたまらない」に違いない。

人間、いつどんな死に方をするのかわからない。思いもよらないところに死が待ち構えている。

故人のご冥福を心よりお祈りします。