朝日とハフィントンポスト、というか“WEBRONZA”、よくこんなくだらない野郎のインタビューを三回に分けて垂れ流したのか、と怒り心頭に発した。くだらない野郎とは、安倍晋三支持を公言する右翼(私は「極右」と決めつけても良いと思っているが)の論者・古谷経衡である。
- 「安倍首相は現実主義者だ」(上) 古谷経衡氏に聞く | ハフポスト NEWS(2016年4月7日)
- 「安倍首相は現実主義者だ」(中) 古谷経衡氏に聞く | ハフポスト NEWS(2016年4月9日)
- 「安倍首相は現実主義者だ」(下) 古谷経衡氏に聞く | ハフポスト NEWS(2016年4月11日)
最初に目に入って神経に障ったのは、3件目の「(下)」にある下記のくだりだ。
良くも悪くも“ふつう”の人
――ただ、安倍首相は国会で野党議員に「早く質問しろよ」とやじを飛ばすなど、最高権力者に似つかわしくない言動が見られます。「正直な話、安倍首相の本を読んでも、教養はあまり感じられません。映画も本もあまり観ても読んでもいないのだと思います。
秘書時代や、あるいは選挙活動で忙しかったのか、単に怠惰だったのかわかりませんが、基礎教養の水準がちょっと危ぶまれます。ただしそれは、良くも悪くも“ふつう”の人だとも思う根拠です。基本的には温和なお坊ちゃまなのでしょう。
逆に言えば無害とも言えます。『ALWAYS 三丁目の夕日』を見て感動したという彼の心象は、平凡ですが素直で優しいものだと思います。一方で、彼が言う1億総活躍社会なんてバカバカしいと感じています。あなたに言われなくても日本人は活躍しているだろう、と思っていますけれど。
東京大空襲を受けても“家財を焼かれたくらいでは、精神力の強い日本国民は、かえって敵愾心が激高するだけである”などと嘯(うそぶ)いた小磯国昭よりはいくぶん常識的でしょう」
私が腹を立てたのは赤字ボールドの部分だ。その前にある青字ボールドにした、安倍晋三に「教養はあまり感じられません」(「あまり」ではなく「全然」だが)、「基礎教養の水準がちょっと危ぶまれます」(「ちょっと」ではなく「大いに」だが)、「良くも悪くも“ふつう”の人だ」(ちっとも「良く」なんかないが)、という3点には、甘過ぎる点を除いて同意する。
だが、そこから「逆に言えば無害」などという結論がどうして導き出されるのか。無知で無教養な「普通の人」がたまたま戦犯だった元首相の孫に生まれつき、「お坊っちゃん」として育てられ、その生まれだけによって宰相に登りつめた。それこそ「有害極まりない」ことなのではないか。無知で無教養だから、「どうして憲法なんかに権力が縛られ名伽ならないの、ボクが正しいんだよ、だってボクは総理大臣なんだもの。だから立憲主義なんて止めちゃえよ」などと平気で考えることができ、そんな安倍晋三を止められないのが今の日本なのだ。
古谷はインタビューの初回で、
リベラルは、安倍首相に対して『独裁者だ』と攻撃しますが、根拠が薄弱です。
などとほざいているが、無知で無教養な総理大臣が、人間社会(主に西欧だが)が過去数世紀の間に築いてきたものを自分の政権の一代で破壊しようとしているのが安倍晋三の姿だ。これを「独裁者」と言わずして何と言うのだ。ふざけるな。
安倍晋三は無知で無教養な「『フツーの』お坊っちゃま」だから危険なのだ。あんな無能力者が、戦犯、もとい元首相の孫だというだけの理由で総理大臣にのし上がれたことが問題なのだ。
悪口ばかりではなんなので、今朝(4/14)の朝日新聞4面に掲載された「憲法を考える 自民改憲草案 公の秩序(下)」(「少数派を守るのが立憲主義」との見出しがつけられている)から、共感した文章を以下に抜き書きする。書いたのは朝日新聞編集委員の豊秀一記者。
歴史は教える。憲法を真に必要とするのは、多数派に異論を唱えたり、社会的に少数派だったり、要は「変人」だということを。憲法の教科書のページをめくれば、自らの尊厳や権利を守るために裁判で闘ってきた人がいて、幾多の判例の積み重ねが、単なる文字の羅列に過ぎなかった憲法に内実を与え、その蓄積の上に、私たちが立っていることに気づかされる。
自分は少数派にはくみしない、多数派の流れに沿っていくという選択も、当然あるだろう。そのような人はおそらく憲法なんて意識せずとも生きていける。幸せな人生に違いない。
憲法を考える。それは、国家権力から私たちの自由や権利がちゃんと守られているかどうかを点検する作業だ。憲法は権力を縛るためのものだという立憲主義の考え方が、安全保障法の審議を通じて広く一般に知られるようになったことは、立憲主義が危うくなっていることの裏返しでもある。
この70年、多くの人は、立憲主義なんか意識せずに生きてこられた。振り返ってみれば、幸福な時代だったと言えるのかもしれない。
(朝日新聞 2016年4月14日付4面掲載 豊秀一編集委員署名記事「憲法を考える 自民改憲草案 公の秩序(下) 少数派を守るのが立憲主義」より)
その立憲主義という保守思想に基づく日本の政治のあり方までをも土台からぶっ壊そうとしている極右政治家が安倍晋三であり、極右政党が自民党である。その極右政治家や極右政党が自らの思うがままに日本をぶっ壊そうとしているのを止められるかどうか、今はその瀬戸際だ。