kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

日本ハムが4年ぶりリーグ優勝

北海道日本ハムファイターズの4年ぶりのパ・リーグ優勝は、打席に立たずに投球に専念した大谷翔平が、パ・リーグ屈指の強打戦を誇る西武ライオンズの打線(今季それまで大谷は西武戦0勝2敗と唯一苦手にしていた)を被安打1、15奪三振でねじ伏せ、レアードが西武先発の菊池雄星(大谷の高校の先輩で、今季大谷を上回る12勝をマークしていた)から打ったソロ本塁打による1点を守り切って完封で決めた。

脱帽するほかない。

西武の岸孝之に抑えられて完敗した前日、大谷の予告先発が発表されたが、報ステで解説していた日ハムOB(私としてはヤクルトOBの印象の方が強いが)の稲葉篤紀は、大谷は打席に立たせた方が良いとコメントしたし、私もそうだよなあと思ったが、大谷が打席に立っていたらあそこまでの好投はできなかったかもしれない。日ハム監督の栗山英樹の方が稲葉より一枚上手だった。

栗山、稲葉とともに報ステの解説経験者である工藤公康が今年の敗者だ。傍目にも気の緩みを感じさせた工藤の采配の失敗が目立った年だったと思う。7月3日に、本拠地・福岡ヤフオクドームで大谷に先頭打者本塁打を浴びたあげくに8イニングを零封されて日本ハムに3タテを食った試合があったが、私はなんで日ハムとの首位攻防戦に中田賢一(2013年まで中日に在籍)なんかを先発させるかなあと思った。中田は、神宮球場で行われた昨年の日本シリーズ第3戦で、ヤクルトの山田哲人に連続本塁打を浴びた投手だ。中田をリリーフした千賀滉大も山田に3発目を打たれたため、昨年の日本シリーズにおけるヤクルト唯一の見せ場が生まれた。山田が千賀から打った3本目の本塁打は内角の難しい球で、それを詰まりながらもレフトスタンド前列に持って行った山田を称えるべき場面だったが、それに先立つ2発は、ソフトバンク側から見れば中田が責められてしかるべき投球だったように思う。その中田が大谷に先頭打者本塁打を浴びた試合をスポーツニュースで見て、これでパ・リーグはわからなくなったなと思ったが、その通りの結果になった。折悪しく、ソフトバンクには終盤戦で柳田悠岐和田毅という投打の主力選手の戦線離脱もあったが、中盤戦で工藤監督が気の緩みを感じさせる采配を見せなければ、ソフトバンクが逃げ切れていたと思う。

それにしても11.5ゲームからの逆転劇はたいしたものではある。日本プロ野球では1963年に西鉄ライオンズ南海ホークスにつけられた14.5ゲーム差を逆転したのが最大で、今回はそれには及ばないが、1958年に同じ西鉄が南海につけられた11ゲームを逆転した*1ケースは上回った。セ・リーグでは、あまり言及したくないが、2008年に読売が阪神につけられた13ゲーム差を逆転し、同じ読売が1996年に広島につけられた11.5ゲーム差を逆転した例がある。もっと言及したくないケースとして、2011年のヤクルトがある(小声)。

今年のソフトバンクと2008年の阪神に共通するのは、巨大戦力のチームが崩れる時は思いのほか脆いということだろうか。もっとも、巨大戦力というならかつての読売はもっと極端な球団だったが、(許しがたいことに)同様の大逆転負けを喫したことがない*2

負けた方への言及はこれくらいにして、勝った日本ハムについて言えば、最大の驚きはやはり大谷の投打にわたる活躍だろう。投手成績は昨年よりかなり劣るが、その分を打撃でカバーした。春先には5試合連続本塁打を記録し、昨日までで104安打、22本塁打の成績を残しているが、8月の日本ハムの追い上げは、打者・大谷の活躍によるところが大きかった。投手成績、打撃成績単独ではあり得ないMVPも、合わせ技とみることによって大谷がパ・リーグのMVPを獲得する可能性が高い。

また大谷の活躍を可能ならしめたのは、前例にこだわらない栗山監督の采配だったことは認めざるを得ない。正直に言って私は、報ステ解説者当時の栗山の解説にはあまり感心しなかったし、監督就任後も斎藤佑樹を起用したがったことに見られるような奇をてらった采配(そういう試合は今年もあった)によって、従来は栗山をあまり買っていなかったのだが、大谷を投球に専念させて1対0の完封で優勝を決めた昨夜の試合結果を見ると、さすがに認めざるを得ないと思う次第だ。新聞を見ると、増井の先発転向などもほめられている*3

それにしても、日本シリーズは、すんなり広島と日本ハムの試合を見たいものである。まさかの読売対ソフトバンクで読売の日本一などという悪夢が脳裏をかすめてしまうのだが、そんなわけのわからない心配をしてしまうクライマックスシリーズなんて早く廃止してしまえと思う今日この頃なのである。

*1:この年の西鉄は、日本シリーズでも読売を相手に3連敗後4連勝の大逆転劇を記録した。

*2:しかし読売も、2010年に阪神と競り合いながら阪神ともども崩れ、中日に逆転優勝をさらわれたことがある。この年も、試合の消化ペースや残り試合に占めるホームゲームの比率などから考えて、中日の逆転優勝はあり得ないと私はみていたのだが、読売と阪神がともに自滅するという予想外の展開となった。この年ほど極端ではないが、昨年の読売も阪神ともども決め手を欠いてヤクルトの逆転優勝を助けた。

*3:私は吉井理人投手コーチの功績に帰したくなってしまう人間ではあるが。