kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「与党で3分の2『多すぎる』51% 朝日新聞世論調査」

小選挙区制は政権交代を起こしやすくする」という神話があるが、これは疑ってかからなければならない。現に1993年に、1955年以降では初めての政権交代が起きた時の衆院総選挙は中選挙区制で行われた。その衆院選では自民党は今回と同じように議席をほとんど減らさなかったが、小沢一郎が剛腕を発揮したからかどうか、七党が連立を組む細川護煕政権が成立した(これは新自由主義的な方向性を持った政権だったと考えているが)。第一党が過半数に満たず、かつ第一党への批判が強まっている状況においては、第二党以下の政党が連立を組むことで政権交代はできる。むしろ、比例代表制の方が政権交代を起こしやすくできる制度と言えるのではないだろうか。

昨日紹介したツイートのほかに、毎日新聞記者が表計算ソフトを使って全国統一の比例代表制だった場合の議席配分を計算したツイートを発信していた。

https://twitter.com/k_oomura/status/922457095651414016

大村 健一
@k_oomura

「もし465議席がすべて比例だったら」を総務省の資料をもとに趣味で割り出した表です。暇つぶしの手計算で正確性の担保はありませんが笑。誤解してほしくないのは「だから今回の結果はおかしい」などというつもりは全くなく、伝えたいのは制度が変わるだけで結果ががらっと変わる面白さと怖さです。

6:38 - 2017年10月23日 場所: 東京 千代田区


下記は、このツイートを受けた毎日の同僚記者のツイート。

https://twitter.com/masudah9988/status/922659966338469888

増田博樹
@masudah9988

当センターの大村記者、選挙期間中は比例分析を担当しました。そこで、「もし全議席が比例だったら」と集計してみたところ、自公は過半数割れ、立憲が100近くとまったく違った結果に。大勝にも笑顔のなかった安倍さん、心情としてはこちらの結果に近かったのかもしれません。

20:04 - 2017年10月23日

自民党比例代表の得票率は前回も今回も33%で変わっていない。安倍晋三が失望した最大の理由は、改憲に協力してくれるはずだった希望の党がもっと議席を獲って、希望に排除された民主党の「中間派及びリベラル派」を片っ端から追い落としてもらい、そうすれば公明党の顔色をうかがわずとも自民・希望・維新の三党で安倍の思いのままの改憲ができるだろうと皮算用していたあてが外れてしまった。

しかも、せっかく「『安倍政権下での』改憲には反対」と言っていた民進党の束縛を脱して結成された希望の党の中から、選挙中から造反して「私は9条改悪には反対だ」と言い出す候補が現れ、同党は2012年衆院選後の「日本未来の党」同様、発足早々解党の危機に晒されている。しかも日本維新の会までもが大惨敗を喫してしまった。

つまり、自民党議席は変わらず、定数が減っただけ議席占有率はむしろ高まったのに、安倍の野望である壊憲を助けてくれるはずの野党の仲間が減ってしまった。しかもこの結果を受けて公明党も9条改憲に慎重な口ぶりになった。もちろん安倍としては改憲をゴリ押ししようとするに違いないが、その場合内閣支持率の低下が懸念(もちろん安倍から見ての話。こちらから言えば期待)される。勝つには勝ったがめでたさも中くらい、というのが安倍の心境だろう。

その内閣支持率だが、朝日新聞世論調査では38%から42%へと4ポイント増えている。朝日は政党支持率も調査しているが、自民党支持率が増えたものの、野党では立憲民主党が17%、希望の党が3%と、安倍晋三頼みの希望の党は早くも虫の息だ。以下朝日の記事を引用する。

http://www.asahi.com/articles/ASKBS3PWGKBSUZPS001.html

与党で3分の2「多すぎる」51% 朝日新聞世論調査
2017年10月24日22時39分

 衆院選の結果を受け、朝日新聞社は23、24日、全国世論調査(電話)を実施した。自民党公明党合わせて定数の3分の2を超える議席を得たことについて尋ねると、「多すぎる」が51%で、「ちょうどよい」32%を上回った。

 自民大勝の理由については「安倍首相の政策が評価されたから」は26%で、「そうは思わない」の65%を下回った。自民支持層でも「評価」45%、「そうは思わない」48%だった。立憲支持層では「評価」9%に対し、「そうは思わない」が89%に達した。

 自公で「3分の2」については、比例区で自民、公明に投じた人も、それぞれ3割が「多すぎる」と答えた。年代別では、18〜29歳で「ちょうどよい」56%が「多すぎる」23%を上回ったが、他の年代は、いずれも「多すぎる」の方が多かった。60代は、69%が「多すぎる」と答えた。

 今後、安倍晋三首相の進める政策に対しては「期待の方が大きい」29%に対し、「不安の方が大きい」は54%にのぼった。自民支持層は「期待」58%、「不安」24%だったが、無党派層では「期待」11%、「不安」69%と逆の傾向になった。安倍首相に今後も首相を「続けてほしい」は全体で37%で、「そうは思わない」47%の方が多かった。

 野党第1党になった立憲民主党には49%が「期待する」と答え、「期待しない」41%を上回った。「期待する」は内閣支持層でも44%、内閣不支持層では63%に達した。年代別では、60代の期待が高く、62%が「期待する」と答えた。

 政党支持率は自民39%に次いで立憲17%。ほかは公明4%、希望3%、共産3%、維新2%、社民1%などだった。調査方法などが異なるため、単純に比較できないが、前回14年の衆院選直後の調査で、野党第1党の民主の支持率は7%だった。

 内閣支持率は42%(17、18日実施の前回調査は38%)、不支持率は39%(同40%)だった。

朝日新聞デジタルより)

「与党で3分の2」を「多すぎる」と感じる人が51%もいることは、小選挙区制の弊害そのものだ。野党共闘側は、一刻も早く小選挙区制の廃止を打ち出し、それに代わる選挙制度の議論を始めなければならないと私は強く思う。

政局の話をすると、民進党では前原誠司の代表辞任または解任、希望の党では小池百合子の代表辞任または解任をめぐって騒ぎになり、またぞろ希望の党公認で当選してしまった旧民進党の政治家を中心に騒ぎになるのだろう。

ところで今回無所属で立候補した民進党自由党の政治家は、別に民進や自由を離党したわけではないから、それぞれ民進党衆院議員(前原誠司岡田克也野田佳彦ら)、自由党衆院議員(小沢一郎玉城デニー)ということになるんだろうか。素朴な疑問なのだが。