http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20171214/1513184056#c1513216211 より
id:Khg4750 2017/12/14 10:50
エリントン氏は小選挙区肯定派のようですね。
いわゆる非自民的スタンスでかつ小沢信者ではない方でも
小選挙区肯定派は結構多くいるような気がします。
このような人達はよく中選挙区よりマシという言い方をしますが、
2005年の郵政選挙以降の結果を見てどうしてそのような考えになるのか
どうにもよく分かりません。
エリントン氏は確かに小選挙区制について
中選挙区時代と比較すれば遥かにましです。
と言っていますが*1、その後のツイートで
とも言っています*2。これを見逃してはいけません。
要するに氏は「小選挙区制の方が中選挙区制よりも良いけれども、比例代表で当選者の総枠を決める制度がもっと良い」と言っているわけです。小選挙区制比例代表併用制は、90年代の政治改革の議論で社会党が推していた制度で、事実上の比例代表制であって現行の小選挙区制比例代表並立制とは似て非なるものです。
私は氏とは違って「中選挙区制は小選挙区制よりはまだマシだが、中選挙区制も望ましい選挙制度からはほど遠い。比例代表で当選者の総枠を決める方法こそもっとも望ましい」という意見を持っています。つまり中選挙区制と小選挙区制との比較において意見は違いますが、「比例代表で当選者の総枠を決める方法が最善」という点では意見が一致していると思っています。
現在のリベラル界隈で私が不満なのは、「誰それは小選挙区制擁護論者だ」とレッテルを貼っておしまいにしてしまい、その結果小選挙区制を中心とした衆議院選挙が解散権を濫用する悪弊が何度も繰り返され、選挙が終わった時だけ「小選挙区制の弊害」を口にするだけで何もしないという悪弊が延々と繰り返されていていっこうに改められないことです。いくらなんでも工夫がなさ過ぎるでしょう。
いくらなんでも今回くらいは選挙制度の議論が盛り上がるだろうと思いましたが、実際はそういう方向には進まず、昔からの小選挙区制や「政治改革」批判派の論者だったはずの人間までもが「小選挙区制に責任を転嫁して八つ当たりする」など書く始末でした。当該の記事で批判された内田樹に対しては私も強い批判を持っていますが、「小選挙区制に責任を転嫁する」という書き方はないだろう、と腹が立ったものです。この記事を書いた人間は、
09年に小選挙区制を批判してこそ、本物の左派小選挙区廃止論者でしょう。09年の時には左派の皆が小選挙区制を賛美したはずです。
などとうそぶいていましたが、同じく2009年に小選挙区制を批判していた私から見ると、これほど腹立たしい物言いはありません。「何イキがってるんだよ、この馬鹿は」としか思えませんでしたね。ああいう記事こそが小選挙区制の固定に貢献してしまうのです。
そんなことを思っているタイミングで、先の衆院選に立憲民主党公認で当選した元みんなの党の山内康一衆院議員の下記ブログ記事を知りました。
- 枝野代表と私のめざす方向 | 山内康一(2017年12月13日)
以下引用します。
ロイターの枝野さんのインタビュー記事を「そうそう!」と激しくうなづきながら読みました。一部を抜粋させていただきます。
Q.今後、どうやって党を拡大させていくか。小さくても政策重視か、それともある程度幅を持たせるか。
A.明確に前者。これまで一定の幅が必要だと思っていたが、それは国民に受け入れられないというのが今回の選挙。広げるために理念政策をあいまいにしてはいけない。
私もまったく同感です。民進党の左右バラバラ感は問題でした。極右団体の日本会議に所属する議員が民進党には何人(何十人?)もいましたが、立憲民主党にはいません。それだけでも気分がいいです。少なくとも歴史認識、分配政策、原発政策では、党内で一致する必要があると思います。
他の野党と選挙協力したり、選挙区をすみ分けたりするのは、安倍政権を倒すために必要なことです。しかし、選挙協力のためにひとつの政党にまとまる必要はありません。ヨーロッパでは連立政権が常態化しています。自公政権も長いこと続いていますが、自民党と公明党がまったく同じ政策や理念を持っているわけではありません。
政策や理念の一致を重視して、小さくてもまとまりのよい政党がよいと思います。無理やり複数の政党を束ねて、図体を大きくする必要はありません。
言っていることはその通りだと思いますが、上記のように主張するなら「小さくてもまとまりのよい政党」に適合的な選挙制度の提案をする必要があるのではないでしょうか。
しかも、この日記で何度か言及した通り、山内議員はみんなの党時代に同党の「一人一票比例代表制」をブログ記事でアピールしたことがあります。
みんなの党の「一人一票比例代表制」には、ドラスティックな定数削減という看過できない大問題があり、それは絶対に改めてもらわなければならないと当時から思ってましたが、選挙制度自体は全国一区の比例代表で当選者の大枠を定めたあと、ブロックごとに当選者の割り振りを候補者の得票数に応じて行う方法でした。つまり、「当選者の総枠を比例代表で決める」方式です。
私自身、各政党が名簿登載順位を決めた比例名簿によって当選者を決める方法は、現在安倍晋三、小池百合子、前原誠司らを例に挙げてその弊害が強く指摘されている党首による独裁の弊害から免れられないと思っているので、いわゆる完全比例代表制ではなく、当選者の決定にも有権者の意思は反映される選挙制度が好ましいと考えています。
そう考える私としては、今は「当選者の総枠を全国一区の比例代表制で決める」選挙制度への賛同者を増やす方向性を目指すべきだと考えています。だから山内康一議員に限らず、また立憲民主党に限らず「小さくてもまとまりのよい政党」に適合的な選挙制度を提案及び議論してほしいと強く願う次第です。