kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「政府『報道の自由』勧告を拒否 国連人権理審査で」(共同通信)

「リベラル」たちの間に小沢一郎の威光がもっとも強かった民主党政権時代の2010〜12年頃、一部「リベラル」たちの間には、「55年体制の『保守』対『革新』に代わる新しい対立構図は『官僚主導』対『政治主導』だ」という俗説が流れていた*1。また、2012年に山本七平賞受賞歴のある保守の(というより民族主義派右翼に近いかもしれない)元外務官僚・孫崎享がその稀代のトンデモ本『戦後史の正体』で政治家を「自主独立派」対「対米従属派」に分け、岸信介佐藤栄作鳩山由紀夫小沢一郎らを「自主独立派」に分類して、「小沢信者」系「リベラル」に馬鹿受けしたこともあった。

「リベラル」は今、当時のツケを安倍政権下で払わされているのではなかろうか。以下、『広島瀬戸内新聞ニュース』から2件の記事を引用する。

「安倍政治」とは「政治主導」悪用によるいわゆる「田舎政治」の国政版でもある : 広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)(2018年3月3日)

安倍政権による国政の私物化は、残念ながら、地方自治では日常茶飯事である。

いわゆる「田舎政治」だ。地方自治では国政よりは「政治主導」色が濃い。

それによって、先進的な改革がなされることもある。
他方で私物化が横行することもある。首長や、首長以上に権力を持つ議長による横車など良くある。そのほかにも社福法人を私物化する議員とか、「職員の給料が高い!」と叩きながら、利権あさりまくりの議員とか、枚挙にいとまがない。

良いか悪いかは別として、国政では重厚な官僚制がそこまでひどくなるのをブロックしてきた側面もあったと思う。

しかし、これは皮肉な話だが、民主党政権やリベラル派がつくった「脱官僚」の雰囲気を、安倍一派が政権を奪還した際に「私物化」に悪用したのは間違いないだろう。

いわゆる「田舎政治」では、3期12年とか、そういうレベルでかなりひどい議長等が権力を振るう場合もある。

安倍政権がなかなか倒れないのも、いわゆる「田舎政治」において、横暴な首長や議長がなかなか打倒されないのに似てきたとも思う。

それだけ、安倍一派が人事権や補助金などを通じ、いろいろなところに手を回して、権力を掌握しているということでもある。

それにしても、安倍政権を見ると、軽々しく「政治主導」というのもパンドラの箱をあけてしまうものだ、と思わされる。

「政治主導」云々より憲法を全ての公務員に遵守させる。このあたりまえのことが大事なのだと言うことを確認させられる。


危ない方向で「反米化」する安倍ジャパンーーメディアの独立性強化を求める米豪の要求を蹴る : 広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)(2018年3月8日)

安倍ジャパンは、国連人権委員会報道の自由に関する勧告を拒否した。アメリカやオーストラリアがメディアの独立性を強化するよう求めたのを蹴った。
アメリカ従属」と言われてきた日本だが、実は、最近の安倍ジャパンは「危ない方向」で「反米化」しつつある。
アメリカべったり」といえば、どちらかと言えば、1990年代における小沢一郎さんや小池百合子さんら旧新進党系(小沢さんは2003年の民主党入党時に社民主義寄りに転向)、さらには2001年から5年半、総理を務めた小泉純一郎さんらのほうがよほどアメリカにストレートにべったりだったと思う。
少し前の安倍さんは米豪などと連携して中国を包囲する「価値観外交」などと言っていたが、米豪の要求は蹴っている。朝鮮半島情勢では、対話もにおわせるトランプとも距離を置いて圧力一辺倒だった。
ふと、頭によぎるのは、第二次世界大戦の時のことである。開国以来、主にイギリスにくっついてきた日本が、第一次世界大戦以降の世界の多極化(英国の没落と米ソの台頭、民族自決の動きの勃興)の中でそれに対応できずに、とち狂ってナチスと組んでしまったことである。
今も、アメリカの力が後退し、世界は多極化している。国民国家だけでなく、NGOなども外交主体となっており(環境や軍縮関連の条約はとくにそうだ)多極化が進み、独自判断が求められる中で、大丈夫なのか?
左翼も「安倍はアメリカ一辺倒で怪しからん」だけでは、安倍の危うさの本質を十分に捉えているとは言えないと思う。
事ここに至っては、むしろ「アメリカ本体すらより危うい安倍」と見るべきだろう。
アメリカはまだ、三権分立が機能し、行政府内でもティラーソンやマティスらが「殿、ご乱心を」とばかりにトランプを抑えるなどしているわけだから。

日本は、アメリカの良い部分は見習い、悪い部分は改めれば良いのだ。
乱暴に言えば

  • 民主主義、権力へのチェックの強さは見習う
  • 新自由主義や「空爆しまくり」は反面教師とする

でいいのだ。

しかるに、安倍晋三はまったく逆を突き進もうとしているから最悪なのだ。
しかも、アメリカ本体が、力を落とす中で、覇権国を辞めようとしている。それなのにアメリカの袖に必死ですがりついている。アメリカさえも対話をにおわしているのに、アメリカと韓国に朝鮮と対決するよう煽る。

これは、戦時中と似てなくもない。
戦時中の日本も民主主義を否定しつつ、アジア解放と称しながら現実には、東南アジアでも多くの現地住民を殺しているのだから、米英帝国主義の「良いところは見習わず、悪いところを突き進む」最悪のハイブリッドに落ち込んだと言える。

政府「報道の自由」勧告を拒否 国連人権理審査で - 共同通信


リンクされた共同通信の記事を以下に引用する。

政府「報道の自由」勧告を拒否
国連人権理審査で

 【ジュネーブ共同】国連人権理事会による日本の人権状況の審査について、日本政府は7日までに、特定秘密保護法などで萎縮が指摘される「報道の自由」に関する勧告を拒否した。米国オーストリアなどが放送法4条の改正などでメディアの独立性を一層確保するよう求めていた。

 昨年11月の作業部会で各国から出された217項目の勧告を受諾するかどうか、項目ごとに見解を公表した。従軍慰安婦問題では、中国などが要求した元慰安婦への誠意ある謝罪と補償の勧告も拒否した。

 人権理は今月16日の会合で日本の見解を反映した報告書を最終的な勧告として採択する予定。勧告に法的拘束力はない。

共同通信 2018/3/7 21:26)


なるほど、安倍政権はアメリカの要求を「蹴って」いる。

朝鮮半島の南北対話に対しても、トランプ政権の方が安倍政権よりもよほど柔軟だ。

日本が「世界の孤児」になってしまうリスクが、安倍政権の長年の悪政によって高まってきた。一刻も早い安倍内閣総辞職を求める。

*1:実際には小沢一郎は「10年に一度の大物次官」と呼ばれた斎藤次郎なる「剛腕」の大蔵省(当時)事務次官とべったり癒着していた過去を持つのだが。