kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

内田正人と日大非常勤講師の「雇い止め」

内田正人は、その暴力だけなら故星野仙一など類似の例はこれまでにもいくらでもあったと思うが、同じ人物が日大という組織を壟断してその人事権によって労働者の生活を圧迫している罪は言語道断だ。まだ星野仙一の場合は自身の力を恃みにしていたが、より組織的である点において内田正人はさらに罪が重い。行政の長にして、現在悪名高い「高プロ」を含む「働かせ方改革法案」を強引に成立させようとしている安倍晋三ともども、絶対に打倒しなければならない人間だ。

日大アメフト問題・内田氏についに「常務理事解任要求」が出された(田中 圭太郎) | 現代ビジネス | 講談社(1/3)

日大アメフト問題・内田氏についに「常務理事解任要求」が出された
「非常勤講師クビきり問題」の責任で
田中 圭太郎

<(アメフト部の)監督を辞任するだけで、人事部長及び人事担当常務理事を継続し強大な権限を握り続けるならば、事実経過の解明と責任の所在を明らかにして、再発防止の有効な措置をとることは困難です>

日大アメフト部の選手が危険極まりないタックルで関西学院大学の選手に大けがを負わせた問題で、内田正人監督は5月19日、監督辞任を表明した。一方で、内田氏は現在勤めている日本大学常務理事の職は辞さないと表明し、学内で波紋を呼んでいる。実は内田氏、アメフト部だけでなく、この職責でも大きな問題を抱えていることはあまり知られていない。

筆者は長らく、各地の大学で進められる「非常勤講師の大量雇い止め問題」を取材してきた。近年、大学改革の名のもとに首を切られる職員・講師が増加していることが社会問題となっているが、日本大学でも今年3月末、非常勤講師の「雇い止め」が実施され、少なくとも6つの学部で数十人に及ぶ講師が職を失った。

さらに近い将来には、日大は約3600人の非常勤講師の多くを雇い止めする見通しで、これに異を唱える首都圏大学非常勤講師組合は、去る2月14日、「手続きが違法だ」として日本大学刑事告発した。

この雇い止め問題の日大側の責任者が、人事担当の常務理事である内田氏なのだ。

冒頭の一文は、5月21日に首都圏大学非常勤講師組合が公表した、日本大学への「緊急要求申入書」だ。この申入書では、非常勤講師の雇用の問題について、責任者である内田氏を解任、解職することを求めている。

日大で働く教員は、「内田氏が日大の常務理事になったころから、法律やルールを守らない強硬な人事・労務政策が始まった」と証言する。複数の教職員から実情を聞いた。

交渉の場には出て来ず

「多くの非常勤講師を雇い止めするという、講師の人生がかかった重大な問題であるにもかかわらず、内田氏は一度もこの問題に関する団体交渉の場に出てきたことがありません。内田さんは人事担当の理事。普通の大学なら、その立場にある人が団交に出席するのは当たり前でしょう」

こう話すのは、首都圏大学非常勤講師組合の副委員長で、日大ユニオン準備会の代表を務める志田慎さんだ。

日本大学では、三軒茶屋キャンパスに2016年に開学した危機管理学部スポーツ科学部の英語非常勤講師15人が、最低でも4年間の勤務を依頼されていたにもかかわらず、「教育課程の再構築」という理由で、わずか2年の2018年3月末で雇い止めされた。

日大ユニオン準備会は本件に関して大学側と団体交渉を行なったが、実質的な責任者である内田正人氏が出席することはなかったという。大学側から出席した人事課長や弁護士は不勉強なのかほとんどユニオン側の質問に答えられないままで、組合の主張を持ち帰っても、ゼロ回答ばかりで交渉は平行線をたどったそうだ。

結局、責任者の内田氏の出席も説明も何もないまま、15人の雇い止めは強行された。

しかもこの4月に入って、雇い止めされたのは15人だけではないことがわかった。経済学部や文理学部など、あわせて6つの学部で数十人の非常勤講師が、合理的な理由もなく雇い止めされていたという。さらに日大は、授業コマ数の2割減と、専任教員が担当する授業の6割増を計画している。その結果、現在3600人以上いる非常勤講師が担当している授業がなくなり、非常勤講師の多くが雇い止めされる、とみられているのだ。

日大は、2016年度以降に新規採用した非常勤講師の契約更新を、上限4回とする就業規則を2017年10月に導入した。非常勤講師は1年契約で毎年更新しているので、たしかにこの就業規則だと、2016年以降に採用された講師全員は、2020年度以降、順次5年目の終了時に雇い止めされてしまう可能性がある。

首都圏大学非常勤講師組合は、日大が就業規則を導入する手続きに違法性があったとして、2018年2月に刑事告発している。(詳細は筆者の以前の記事を参照http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55121)志田さんによると、それでも内田氏が説明に立つことはなかったという。

「2013年に改正された労働契約法によって、同じ職場で5年以上働いた非正規労働者は、無期雇用に転換できる権利が発生するようになりました。にもかかわらず、法律を無視して非常勤講師3600人を雇い止めしようとしているのが日大なのです」(志田慎さん)

労働環境が悪化…?

内田氏については、現在各メディアでアメフト部の経歴を中心に語られている。ここでは、大学を経営する理事会での氏の経歴をみていきたい。

日大は現在、田中英壽理事長の4期目の体制に入っている。1期の任期は3年。内田氏は、田中理事長2期目の2011年に、本部教職員から選出される評議員になり、田中体制3期目の2014年に理事に選ばれ、人事部長に就任。それから3年後の2017年、4期目の体制で人事担当の常務理事に抜擢されている。

日大の常務理事は5人。内田氏は大学職員から経営側の役員に登りつめた。

日大で長年にわたって勤務している非常勤講師の男性は、2014〜15年頃から、日大の労働環境が変化してきたと感じている。

「日大は以前は働きやすい大学で、待遇などにも満足していました。ところが、3、4年前から急にその風潮が変化しました。この頃、定年退職の年齢が引き下げられたのですが、その際に、われわれ非常勤講師に対して何の説明も行われなかったのです。

毎年受け取る採用条件通知書を見て、いつもは通知書面が2枚あるのに、その年は1枚になっていた。今年は裏表で1枚にしたのかなと思いました。ところが裏面をよく見ると、退職年齢引き下げの契約書になっていました。説明もなく退職年齢の引き下げが決まったのです。だまし討ちみたいで……」

労働条件の悪化は、内田氏が理事になった時期と重なっているが、別の職員によると、内田氏が人事担当常務理事に就任した2017年からは、さらにひどいものになったという。

先述の危機管理学部スポーツ科学部の英語の非常勤講師15人の雇い止めが明らかになったのは、内田氏が常務理事に就任した直後のことである。

文部科学省からの学部設置認可を受けた場合、最初の4年間は、カリキュラムや教員の変更は緊急の理由がない限りできないことになっている。ところが日大は緊急の理由がないのに教員を雇い止めしたうえ、この2つの学部の英語の授業を、4月からは語学学校に委託したという。

大学の授業を語学学校へ委託することには、端的に2つの問題がある。

一つは、文部科学省が大学の「民間業者への授業の丸投げ」を禁止していること。日大はさすがに問題があることは分かっているのか、語学学校のネイティブの講師が授業を行うが、大学の専任教員が授業を観察するので「丸投げではない」という姿勢で、この委託を実行した。

しかし、専任教員が授業を観察することで、もう一つの問題が生じる。それは、労働者派遣法に抵触する「偽装請負の疑い」があることだ。派遣法では、同じ部屋で元請け側の人が請負側の人と一緒に働いているだけで、元請け側による指揮や命令が行われるとみなされ、この時点で偽装請負が成立してしまうのだ。

つまり、民間の語学学校への授業の委託は、「丸投げ禁止」の面でも、「労働者派遣法」の面でも認められない可能性が高い、グレーな行為といえるのだ。

フェアプレーを謳っているが……

その他にも日大は、小学校、中学校、高校の教諭や、医療職の給与のカットなども次々と打ち出しているという。

日大は、経営難に苦しんでいるわけではないはずだ。なぜなら2016年には三軒茶屋キャンパスを新設し、歯学部の新病棟が完成予定だ。さらには現在歯学部の新校舎建設も進めている。その一方で、大量雇い止めや人件費削減を推し進めているのだ。そうした人事問題は、繰り返すまでもないが内田氏の管轄である。

アメフト部の問題も、非常勤講師の問題も、共通するのは「十分な説明がなされていない」ということだろう。アメフト部の場合、監督がタックルを指示したのかどうかの説明がなされていない。非常勤講師の雇い止めの問題も、責任ある立場の人間から講師らに対して十分な説明がなされなかったという。冒頭の申入書は、そうした事情を鑑みて日本大学に提出されたもので、はっきりと内田氏の解任を求めている。

日大で働く教員には、大学OBも多い。ある教員は、内田氏のせいで日大がバッシングを受けていることについて、こう嘆く。

「もちろん日大にはまじめに勉強している学生がたくさんいますし、研究と教育に打ち込んでいる教員も当然います。それが、内田氏の教育者と思えない対応によって、大学全体が叩かれているのが残念です。大学が自ら説明し、しかるべき人間が責任を取る姿勢に変わらなければ、学内もさらに混乱するでしょう」

日大の応援歌「花の精鋭」には、「フェアプレイ日大」と繰り返す部分がある。フェアプレイを心掛けたうえで、相手に勝つのが日大精神、と説くものだ。

フェアプレイの精神で、ルールに則った解決をはからない限り、雇い止めもアメフト部の問題も、泥沼化するばかりではないだろうか。

(現代ビジネス 2018年5月22日)


これは、もちろん内田正人本人だけではなく、上からの命令には絶対服従という「体育会体質」が骨の髄までしみこんだ「筋肉脳」の内田を尖兵として利用して、苛烈な労務管理を行わせてきた理事長・田中英壽こそ「諸悪の根源」とみなければならない。

内田を解雇し、日大から追放するのはもちろん必要不可欠だが、そこでとどまってはならない。諸悪の根源・田中英壽の責任をも強く問うて、この人間も同時に日大から追放しなければ日大から「膿を出し切る」ことなど到底できまい。