小説もそうだけれど、メートル法というと国際単位系(SI)の話につながっちゃうんですよね。
以下、上記リンク先「はてなブログ」記事から引用。
実は世界で頑なにメートル法に抵抗している国がある。英国や米国。長さは、cmやkmじゃなくてインチやフィートやマイルだし、重さはgやkgじゃなくてオンスやポンド*2だし。
インチやフィートやマイルは誰でも聞き覚えはあるでしょうけど、昔、1960年頃のアメリカの企業が日本に出願した特許公告公報で「ミル」という表記を見かけた時には、最初「ミリメートル」の間違いかと思いました。ところがミリメートルだとすると辻褄が合わないので調べてみたら、1 mil = 0.001 inch = 0.0254 mm だったのでした。
一方で、1マイルが約1.6キロメートル(正確には 1.60934 km)であるのは四半世紀ほど前に2か月間アメリカにいる時に、長期出張の相棒が運転する車のメーターを見ながら、「80マイルか。ってことは144km/hだな」などと換算していた記憶があるので頭に入っていますが、1.60934を0.0254で割り算してもキリの良い数にならないので、いったい米英の単位系はどうなっているのかなどと思ったものです。もっとも、日本や中国の伝統的な単位系でも同様の例はあったような気がしますが。
メートル法の本家本元のフランスも自国へのこだわりが強い国とのイメージですが、長さの単位では国際標準になりました。ただアメリカという国は、特許制度でも国際標準への対応が遅れたどうしようもない後進国で、公開制度に移行したのが2000年頃だったかと思います。1991年頃にNHKスペシャルで放送された『電子立国 日本の自画像』で、アメリカのサブマリン特許に悩まされる日本企業の姿が描き出されていた印象を強く持たれる方も少なくなかろうと思いますが(数年前に「鍋ブログ」で知り合った技術系会社員の方とリアルでお話しした時にもそういう話が出たことを思い出します)、今ではあんなことはもうありません。でもアメリカがああいう傍迷惑な制度を長年続けていたせいで、特許の世界ではヨーロッパ(特にドイツ)が権威とされていて、欧州特許庁の権威の前には日本の特許庁もひれ伏す一方、アメリカの特許庁は今でも日欧から見下されているようです。アメリカは単位系と特許の世界では、和製英語でいうところの「グローバル・スタンダード」から大きく立ち後れた後進国だってことです。
なお日本の特許庁は、城山三郎の小説『官僚たちの夏』の主人公のモデルになった佐橋滋が特許庁長官を務めた頃*1に日本の特許庁が近代化されたことを、『官僚たちの夏』及び同書を読み終えたあとにかけたネット検索で知りました。確か、アメリカより30年早く始まった日本の公開特許制度の導入にも佐橋がかかわったのではなかったかと。あと特許庁に人も金も引っ張ってくる剛腕もあったらしく、今でも特許庁では佐橋滋は伝説的人物とされてるんじゃないかと想像しています。ってことで、1950年代後半の小説中に尺貫法の単位が出てきた城山三郎の小説に話をつなげて、今日のエントリはここまでにします。