kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

東京・北区長選で音喜多駿が落選、衆院大阪12区補選では宮本岳志が供託金没収の大惨敗

 統一地方選後半戦で一番喜ばしい結果は、東京都北区長選で音喜多駿が落選したことだ。音喜多は、小池百合子一派から上田令子らともども分裂したが、その上田とも分裂して「あたらしい党」*1とかいう馬鹿げた名前の地方政党を立ち上げていた。その音喜多の手前勝手な野望が打ち砕かれた選挙として今回の区長選は記憶されよう。もちろん音喜多自身は北区長になってハクをつけ、名物区長として目立つことによって国政進出を狙っていたに違いない。85歳の多選区長がいる北区で立候補したのも、老多選区長が「勝てる相手」だと思ったからではないかと想像するが、結局その老多選区長に10ポイント近い大差をつけられた音喜多は終わった、そう思った。なお、私はこの音喜多と斎藤美奈子が小池人気全盛時に対談して意気投合していたことを執念深く覚えており、以後斎藤という人の言説に全く信を置いていないことを付言しておく。

 兵庫県芦屋市長選では非自民・非維新の伊藤舞氏(元芦屋市議)が「新人で自民党の推薦を受けた幣原氏を抑えて、初めての当選を果たし」た*2とのこと。調べてみると幣原氏のフルネームは幣原都(しではら・みや)とのことで、大阪出身の元首相・幣原喜重郎と縁戚関係に当たる人かと想像される。お二方のプロフィール*3を見ると、土地柄から類推してもお二方とも富裕層の方かと思われるが、非自民・非維新で当選するには、何もせっかく比例代表で当選した衆議院議員をわざわざ辞職させてまで「野党共闘」を有権者に押しつける愚策など何も必要ないことを示した選挙といえるかもしれない。女性同士が争ったこの選挙が「『阪神間モダニズム』が時代を先取りした」ことになるどうか、それは今後にかかっている。

 最悪だったのはいまさら言うまでもなく衆院大阪12区補選で、維新候補が圧勝し、一時2位もあり得るかとも言われた樽床伸二は結局3位に終わったものの、「野党共闘」の元共産党衆院議員・宮本岳志は樽床の半分にも満たない得票で最下位の惨敗に終わり、なんと供託金没収の憂き目を見た。小沢一郎宮本岳志を熱心に口説いて実現させたという「共産党議員を辞めさせて無所属にして『野党共闘』が担ぐ」という戦術が愚の骨頂以外の何物でもなかったことが証明された。

 メディアが伝える出口調査の結果がまた酷くて、立民支持層の6割近くと共産支持層の2割近くが樽床に流れ、無党派層の支持は樽床と当選した維新の藤田が二分していて自民の「弔い合戦候補」北川は引き離され、その北川の半分にも満たなかった宮本は完全に埋没していた*4。予想外の樽床の善戦によって、早ければ3か月後にも参院選との同日選が予想される次の衆院選本選で、北川は自民公認を外され、代わって樽床が自民党公認候補になる可能性がきわめて濃厚になったと私は考えているのだがどうだろうか。

 一方、共産党はこの選挙での敗因を精査し、「共産党議員を辞めさせて無所属にして『野党共闘』が担ぐ」という戦術の誤りを認めてこれを自己批判するとともに、小沢一郎(や小沢とつながっている学者連中や「しばき隊」など)と絶縁することが求められる。彼らとの腐れ縁を続ければ続けるほど、共産党が衰退の一途をたどることは絶対に間違いない。

 なお沖縄3区ではその小沢系の「野党共闘」候補が当選したが、これは先の沖縄県知事選の余勢を駆ったことと、かつて沖縄・北方担当相でありながら「歯舞」を読めない醜態を晒した宮城県出身の島尻安伊子を衆院議員に復活させようとした面の皮の厚い自民党の自滅という2つの要因があったためだ。しかし、この選挙もまた「縮小する一途の『野党共闘』のパイの取り分を小沢一派だけが増やす」という現在の「野党共闘」の馬鹿馬鹿しさを示すものだといえる。

 小沢は、今回宮本岳志を口説くのに成功したことからもわかるように直接接触した人の心を掴む才能に長けていることは認めざるを得ないが、不特定多数の人心を得ることは、2011年の東日本大震災・東電原発事故の混乱期に民主党内の権力抗争を仕掛けた時以来、全くできなくなっている。今回の統一地方選でも、自由党が得た議席は全国合わせて1議席たりともなかった。そんな政党の党首が「野党共闘」を牛耳っている。なんたる不条理。

 大阪ではもはや「維新に投票する」ことが有権者の投票行動の惰性と化しているが、10年前の政権交代選挙の頃から維新に秋波を送り続け、2012年の衆院選の前には「私の考えは橋下市長と同じだ」というのを口癖にしていて、つい最近も前原誠司に仲介を命じて橋下徹と面会したのが小沢だった。小沢はまた、2010年6月の民主党代表選で、どう見てもゴリゴリの新自由主義者である樽床伸二を担いだ。維新も樽床も、みな小沢が育てたとは言わぬまでも育つのに小沢が手を貸したモンスターだった。

 そんな人間が差配する「野党共闘」が人心を得られないのはあまりにも当たり前だ。

*1:その「あたらしい党」から音喜多夫人にして現職の江東区議・三次由梨香が江東区議選に立候補しているが、翌日開票なので当落はまだわからない。

*2:https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20190422/2020003668.html

*3:伊藤舞氏:http://www.ito-mai.com/profile/、幣原都氏http://www.shidehara.jp/profile.html

*4:朝日新聞デジタルの有料記事(https://www.asahi.com/articles/ASM4P65CSM4PUZPS006.html)の無料部部分で出口調査での無党派層の投票先が確認できるが、樽床35%、藤田34%、北川22%、宮本9%となっている。