トランプが新型コロナウイルスの対策として減税をぶち上げたところ、10日のニューヨークの株式市場が爆上げしたが、翌11日にはそれを上回る反落を記録した。
ところが日本でも、安倍政権閣僚(麻生太郎)や自民党の中でも右派で安倍晋三に近い連中、それに経済政策と政治思想の両面において極右新自由主義者とみなされるべき高橋洋一らが一斉に消費税減税を唱え、それにヤマシン(「山本太郎信者」)やら日刊ゲンダイやらテレビ朝日記者の玉川徹やら立憲民主党の石垣のり子参院議員らが同調する動きを見せている。トランプや麻生や自民党右派議員や高橋らはネオリベだから不思議はないのだが、後者の連中の主張はまことに奇異だ。
たとえば石垣議員は下記ツイートを発信している。
コロナウイルス感染拡大への懸念から株価が乱高下し始めたとたん、アメリカは、大規模な減税措置を行いました(ペイロールタックスも減税ですから日本だと源泉徴収が減税になったる感じ)
— 石垣のりこ (@norinotes) 2020年3月11日
経済が縮小傾向にある中、大規模減税策を採用することは経済政策の王道。
ポピュリズムでもなんでもありません https://t.co/udvNOzHVtJ
この石垣氏のツイートには同意できない。下記「広島瀬戸内新聞ニュース」(運営者のさとうしゅういちさんは、現在では共産党支持で山本太郎の政党のシンパでもあると認識している)の下記記事(3/10)の方が説得力がある。
以下引用する。
新自由主義の天皇竹中平蔵さんが今さら安倍批判を始めた。
だが、そもそも、竹中平蔵さんが主導する小泉政権のもと、市町村合併、保健所統廃合が進んだ。広島県がその好例だ。
昔は庄原などにも保健所があったが廃止されてしまった。
そして今回の新型コロナウイルス騒ぎで、体制が追い付かない有り様だ。
もちろん、今回の批判の中身も新自由主義方向からである。
安倍総理は無能だが、竹中平蔵さんは今日の状況をつくったA級戦犯だ。
いまは竹中平蔵さんとは逆の財政運営が必要だろう。
どうしても凄まじい財政支出圧力が高まるので、現時点では超大金持ちや超大手企業増税が必須だろう。
生産力も落ちている=供給サイドも新型コロナ騒ぎで劣化しているので、消費減税はやると物価が2パーセントを超えて上がる恐れがある。改めてシミュレーション、再検討は必要だろう。
共産党や新選組の政策で優先すべきは危機管理や医療、福祉などの現場公務員を増やすとかそういうことだと思う。
もちろん消費税が悪税であるし、将来的には廃止すべきとは思うが、いまは非常時だ。
平時と非常時とでとるべき政策は違う。誰がどう考えたって、巨額の財政支出が必要なのは明らかであって、歴史的にもそういう時には大金持ちや儲けている大企業に負担を求めてきた。ネット検索で調べると、アメリカのニューディール政策でも内部留保税が導入された(5年で廃止になったとのことだが)*1。日本でも戦時中に物資の供出が求められたほか、所得税の累進制が極限にまで強められた。
そんな時に消費税減税をやったら富裕層や大企業に負担を求めにくくなるではないか。山本太郎も、消費税減税をカードとした野党内での駆け引きを、一時棚上げしなければならない時だろう。ヤマシンはどうせ山本太郎の言動には反対しないのだから、棚上げで山本氏が損をすることなど一つもない。
一方、棚上げしなければ、今後どんどん自民党がすり寄ってくる。これなど当然予想された動きだ。既にそれを揶揄するツイートも、木下ちがや(こたつぬこ)氏を中心に多く発信されている。一例を挙げる。
昨年末の週刊文春に、安倍さんと官邸キャップ会の中華料理屋での会合の記事がでましたよね。あのなかで安倍さんがれいわを高く評価し、共産党が野党共闘の鍵と話していたことがでてました。つまり安倍さん周辺は、れいわに共産と立憲を分断する役割を期待しているということ。 https://t.co/5ysS1fzNgM
— こたつぬこ (@sangituyama) 2020年3月11日
— gunswake (@gunswake) 2020年3月11日
そういうことだ。
それにしても、自民党から玉川徹まで「減税、減税」となんとかの一つ覚えで大合唱するのはなんとも異様な光景だ。10年前に私は河村たかしを「減税真理教」と揶揄したが、今の彼らは当時の河村と全く変わらないように見える。
そう、彼らは全員、新自由主義経済思想に汚染され切っているのだ。
最後に昔話を付け加えておくと、下記の向川まさひで・日本共産党大和高田市議会議員のツイートも、10年前によくやった議論を思い出させてくれる。
70年代、物価上昇に対し賃金が追い付かず国民生活が苦しいとして、社会党などが所得減税を求め、自民党もサラリーマン層の支持を狙って所得減税が繰り返された。結果的には、それが社会保障充実のブレーキとなり、後に学費や社会保険料上昇、給付切り下げに道を開いた。その轍は踏むべきではない。
— 向川まさひで (@muka_jcptakada) 2020年3月11日
10年前に向川議員と同様の主張を私が持ち出した時には、いや、70年代当時には減税の要求にはそれなりの意味があったのだとの部分的反論を受けたものだ*2。
ところで、70年代に減税を要求していたのは社会党だけではなくて、共産党も加わっていたんじゃなかったでしたっけ。記憶違いだったらごめんなさいですけど。