kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「コロナ検査、世界に後れ 1日2000件弱で独の17分の1」(日経)

 早朝の民放テレビでは各紙の記事を紹介するコーナーを設けている番組が多いが、今朝(4/2)は、日経が日本の新型コロナウイルスの検査数が少ないとの記事を出しているとのことだったので、日経のサイトを見に行ったら、トップページの一番上に下記記事へのリンクが大きく掲示されていた。但し記事は有料なので、冒頭部分しか読めない。

 

www.nikkei.com

 

 テレビで言っていたのは、新聞に載っているらしいグラフを見ながら、日本の検査数は人口当たりでドイツの17分の1で、もちろん韓国などよりもずっと少なく、ベトナム南アフリカと同程度ということだった。

 そんな検査体制でも新型コロナウイルスの蔓延を抑え込むことができれば「結果オーライ」だったのだろうが、現実は甘くなかった。東京都ではPCR陽性率検査の陽性率が3月23日以来9日連続*1で20%を超え、26日と31日には50%をも超えた。しかもその約半数は感染経路不明で、少なくとも東京都ではPCR検査が間に合わなくなっていることは、もはや誰の目にも明らかなのだ。

 昨夜(4/1)公開した下記記事のコメント欄より。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 urinarazuke

そういえば、ノーベル生理学医学賞受賞者の山中伸弥・京大教授が、新型コロナウイルス対策に関して「5つの提言」を発表したことが話題になっている。

山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信:5つの提言”
https://www.covid19-yamanaka.com/cont6/main.html

J-CASTニュース“山中教授が「批判を恐れず」5提案 コロナ対応「ペースダウン」に危機感”
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200401-00000007-jct-soci

その中で、提言3では「徹底的な検査」を掲げ、諸外国で行われているドライブスルー検査などでPCR検査体制を現行の10倍・20倍に拡充することを提唱している。
山中教授は医学者とはいえど感染症は本来専門外だが、まともな科学者なら分野の別を問わずこの結論に帰着するのは当然といえよう。
Yahooのコメント欄でも、日頃喧しい「検査で医療崩壊ガー」の有象無象どもは、科学的論理性では山中教授に到底太刀打ちできないと悟ったのか、ここでは見る影もない。

ところで、山中教授は元々は整形外科の臨床医だったが、手術がヘタクソで「じゃまなか」と馬鹿にされ、自分が臨床に向かないと悟って研究者の道に転身したエピソードは有名。
新型コロナ問題でもそうだが、科学的真理の追求よりも「忖度」を優先する曲学阿世が罷り通る日本の科学・医学界の体質は絶望的ではあるが、そんな日本医学界の数少ない長所として、研究者と臨床家の垣根が低く相互の転身が容易であることは挙げてよいだろう。
日本では臨床医が診療の片手間に実験などの基礎研究を行うのはごく普通のことだが、米国では一般的に基礎医学研究者と臨床医のコースは厳然と区別され、一旦コースに乗ると途中で降りて転身することは容易でないし、欧州諸国も米国ほどソリッドではないが日本ほど柔軟でもない。
大谷翔平が大リーグでキャリアを開始したら決して許されなかったであろう「二刀流」を日本プロ野球が育んだように、山中教授のような臨床マインドを持つ基礎医学研究者という「二刀流」は、日本医学界の(ある面での)懐の深さの賜物といえるし、日本もまだまだ捨てたもんじゃないと思い直させてくれる。

 

 余計なことを書くと、大谷翔平の「二刀流」は栗山英樹が監督を務める北海道日本ハムファイターズでなければできなかったと思われるし、「二刀流」に賛意を表したプロ野球関係者といえば落合博満くらいしか思い出せないが、それはともかく。

 最初にリンクを張った日経記事の、ネットの無料部分には書かれていない部分をアナウンサーが読み上げた部分から推測すると、「検査数を増やしたら医療崩壊ガー」とネトウヨが連呼している元凶は、どうやら厚生労働省のようだ。

 厚労省といえば、最近すっかり名前を聞かなくなった審議官の「コネクト」大坪寛子が山中教授のiPS細胞予算を95%削除すると通告したことが思い出される。大坪の名前は最近聞かないが、クルーズ船でマスクもつけずに蠢いていた様子を写真に撮られた大坪は今何をしているのだろうか。そういえば大坪と親密な首相補佐官和泉洋人菅義偉の「懐刀」らしい)の名前も最近聞かなくなった。

 

 山中教授の下記「5つの提言」が政策に取り入れられる日は来るだろうか。

http://www.covid19-yamanaka.com/cont6/main.html

 

[追記](2020.4.2 8:30)

 記事の公開を終えてコメント欄を見に行ったら、昨夜の記事に下記のコメントを頂いていたのを知りました。入れ違いの形でした。

 

 id:redkitty

本日(4月2日)の日経1面トップです。

いまごろになって・・・
この事態を前に研究欲の出ない研究者はいない、調査したくてうずうずだろうと思ってましたが、日本の研究者の多くは違ってたらしい、ですね。これまで、検査しろ、調査させろ、の声はいっこうに高まらず聞こえてきませんでした、国を動かすほどには。

>コロナ検査、世界に後れ 1日2000件弱で独の17分の1
新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、日本が検査で後れをとっている。検査数は1日2千件を切っており、100万人あたりの検査数はドイツの17分の1だ。感染の実態を正確につかみ、きちんとした対応策を打ち出すには、検査の拡充が欠かせない。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57517460R00C20A4MM8000/

 

 

*1:4月1日の検査実施人数はこの記事を書いている時点では未公開。