kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

新型コロナで週刊新潮が「専門家『すでにピークアウト』」と書いた「専門家」はやはりあの人

 昨日(7/21)はおよそ4か月ぶりに更新を休んだ。一昨日も更新しないつもりだったが夜遅くに五島勉の訃報を知ったので更新しただけだった。4連休を前に仕事に忙殺されたためだ。昨日で一段落したが帰宅後にブログを更新する気力は起きなかった。

 日本政府(安倍政権)はアメリカに追随するかのように経済を再起動させようと躍起になっているが、経産省政権の悪いところが一気に出ているとしかいいようがない。このままでは、コロナのために衆議院の解散もできないし、もちろん東京五輪の開催など絶対無理、それどころか来年秋の衆議院の任期満了選挙もまともにできるのか。急変する状況に機敏に対応できないのは、少し前にも書いた通り保守政権の特徴だと私は考えているが、歴代保守政権の中でも安倍政権は特にひどい。その理由として、安倍晋三本人が極端に無能であることが挙げられる。安倍は、GOの無茶な決断なら、今回の「GoToキャンペーン」にも見られるようにやりまくるけれども、STOPをかける勇気に乏しい。周りにお膳立てしてもらわなければ(つまり、止める決断が裏目に出た時に周囲に責任を押しつけることができる体制が整わない限り)STOPをかけられない。この「GOは簡単にできるが、STOPは簡単にはできない」のは、多くの組織で見られる現象だろう。この違いは、GOをかける時には惰性力は働いていないが、STOPをかける時には惰性力に抗しなければならないからだ。

 STOPをかけようとすると、それに抗して惰性に任せて物事を進ませようとする動きが出てくる。新型コロナの件でいえば、大阪府が「K値」にこだわっているのもその例ではないか。

 「週刊新潮」の先週号(7/23号)にこんな記事があった。

 

www.dailyshincho.jp

 

 見出しに「専門家『すでにピークアウト』」と書かれているが、その専門家とはあの人のことじゃないかと思ったら案の定だった。この人は別に感染症の専門家でも何でもなく、記事中にも書かれている通り核物理屋だ。以下、週刊新潮の記事から引用する。

 

(前略)山中教授もノーベル医学・生理学賞こそ受賞しているが、感染症やウイルスの専門家ではない。厳しい対策を望む声が日増しに高まるが、大阪大学の核物理研究センター長、中野貴志教授は次のように言い切るのだ。
「今回の感染は7月9日前後にピークを迎えています。いつ感染したかで考えると、推定感染日を2週間前とすれば、6月25日前後にはピークアウトしていたことになります」


自然減の傾向が強い

 

 中野教授の発言は、自身が考案した「K値」の計算にもとづいている。これは大阪府も感染対策に用いている指標で、直近1週間の新規感染者数を、累積感染者数で割って算出する。これまで先にK値で予測を立て、以降の感染者数を見ると、数字はほぼ予測どおりに推移してきたという。
「K値はスピードメーター。感染拡大率が変化する速度を測ります。ボールを投げたとき最も速いのは投げた瞬間で、その先は頂点に向かって上がっている最中でも、勢いはどんどん落ちる。その勢いの落ち方は一定です。新型コロナの感染者数も、同様に感染拡大率が一定の勢いで落ちると仮定すると、感染拡大期の最初の8日間ぐらいを見れば、その後の数が予測できます」
 そう説明する中野教授は、各国の感染状況をK値で予測してきた。その結果、「仮定」は「観測事実」になったと胸を張るが、その目にいまの感染状況はどう映るのだろうか。
「私は中国由来の流行を第1波、欧米由来を第2波と分けており、いまは第3波ですが、前の二つをまとめて第1波とするなら、第2波、または小流行と呼んでもいい。そのスタートは6月22日ごろ、推定感染日だと6月8日ごろで、第1波のくすぶりではなく新たな流行です。東京の新宿のあとを追うように、同時期に全国で感染者が急増しているので、発生源は新宿の可能性が高い。潜伏していたものが表に出てきたのなら同期しません」
 しかし、勢いは落ちる。
「新型コロナの感染者数は、日本をはじめアジア諸国では自然減の傾向が非常に強い。世界中を見渡しても指数関数的に増え続ける国はありません。また日本における感染拡大率の落ち方は、どの地域も同じです。累計感染者数の推移を対数グラフにすると、高さは違っても、形は都市部でも地方でも同じなのです」
 もっとも、東京都の今後の感染者数だけは予測しにくいというのである。
「K値は感染者数をもとに計算するので、検査態勢が大幅に変わると影響を受ける。夜の街への集団検査が混ざると、感染者数の波をとらえるのが難しくなる」

 

7月9日前後にピークアウト

8府県の新規感染者数の推移予測

 

 そこで集団検査が行われていない大都市圏の8府県、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、兵庫、京都、福岡について、K値を使って新規感染者数の推移を予測してみた。すると先述のように、7月9日前後が山の頂になり、ピークアウトしている、という結果が導き出されたわけだ(表参照)。
 そして、東京についてもこう結論づける。
「人口が多く、集団検査を行っていない板橋、練馬、豊島、世田谷、渋谷、大田、港の各区の総計で7月初めまでの累計感染者数の推移を見ると、先の8府県とほぼ同じになります。新宿区からの絶え間ない感染者の流入はあっても無視できる程度で、8府県と同様、7月9日前後にピークを迎えた可能性が高いです」

 

出典:https://www.dailyshincho.jp/article/2020/07220556/?all=1&page=2,https://www.dailyshincho.jp/article/2020/07220556/?all=1&page=3

 

 笑えることに、記事中に張られた「8府県の新規感染者数の推移予測」に示されたグラフ自体に早くも、中野教授が出した「7月9日前後が山の頂になり、ピークアウトしている」という「結果」から外れた生データがプロットされているが、その差がさらに拡大する一方であることは、毎日報道される陽性者の推移で皆様よくご存知の通り。中野教授は、先に発表した予測曲線を大きく後ろに引っ張り直した新たな予測曲線を発表したが、元の曲線とのズレがあまりにも大きいために、信用を急速に失いつつある。しょせんは感染症の門外漢だからといえばそれまでだが。

 ところが、大阪府知事・吉村洋文は、今なお中野教授が出した「K値」に固執しているらしい。その大阪府では、昨日(7/22)新たに確認された陽性者がこれまでで最多の121人になった。先の緊急事態宣言発令中に吉村を散々持ち上げた、大阪の毎日放送毎日新聞を筆頭とするマスメディア*1の申し開きを聞きたいものだ。

 この中野貴志の「K値」、それに吉村洋文など、あっという間にメッキが剥がれる例が目立つのも、非常時の特徴だろう。

 こういう時に、惰性のままに物事を進めようとする行政では困るのだ。吉村もひどいが安倍晋三もひどいし、安倍の方がより責任が重い。安倍には一日も早く政権を投げ出してもらわなければ、今後の日本が苦難から抜け出す日が遠のくばかりだ。

*1:吉村を爆上げしたのは何も毎日系のメディアに限らないが、ことに毎日放送橋下徹の府政・市政に対しては結構批判的だっただけに、最近の掌返しはぶざまの一語に尽きる。