kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

日本国内のCOVID-19致死率が2.8%に/姜尚中、「日本は国家が実は強くなく、社会も弱い」と指摘

 昨日(26日)、日本国内で新型コロナウイルス感染症により新たに確認された陽性者数は210人、死亡者は12人で、NHKの報道によれば陽性者累計は13341人、死亡者は372人となった(横浜港のクルーズ船を除く)。

 

www3.nhk.or.jp

 

 日本国内での致死率は2.79%(四捨五入では2.8%)で、韓国の2.26%(四捨五入では2.3%)との差はまた広がった。ドイツは3.77%。韓国とドイツの数字は下記ジョンズ・ホプキンス大のサイトによる。

 

coronavirus.jhu.edu

 

 人口当たりの死者数では日本は韓国の63%で、この比率もまた上がった。

 

 毎週日曜日放送のTBSテレビ「サンデーモーニング」では、どうやらテレビ朝日の「モーニングショー」に倣ってか、岡田晴恵氏を新型コロナウイルスのコメンテーターとして固定した気配があるが、岡田氏が出ていた前半で陽性率の話をしていた。

 そこで岡田氏は陽性率7%以下が目安だとして、東京は民間の検査分を除いて39.4%だが民間の分を考慮すれば半分くらいだろうと言っていた。実際には医療機関による保険適用の検査分は3分の2近くを占めるようになったから、東京都内の検査での陽性率は15%くらいなのだが、依然として「非常に高い」レベルにあることには、岡田氏が言う通り間違いない。要するに東京都では「検査が足りていない」状態が続いている。

 また、岡田氏の発言で一番納得できたのは、今後連休に入って検査が少なくなり、それに伴って発表される陽性患者数も少なく出るだろうから、その数字を根拠に警戒を緩めると、また感染が拡大するだろうとの指摘だ。

 昨日の日本全国の数字など、「これだけ人の流れを止めて検査件数も少なかったであろうに、それでもこの数字なのか」と思わなければならないところだ。

 なお、昨日の番組でもっとも興味深かったのは、最後の「風を読む」のコーナーであって、韓国で新型コロナウイルス対策が早期終息の成果を挙げつつあるのはIT技術を利用した監視体制の寄与が大きいとしたことだ。「コロナ禍」後に来るのは独裁政権による監視国家ではないのか、と問題がテーマだ。

 これに関する姜尚中のコメントは大略下記の通りだ。韓国やドイツは「国家が強いが社会も強い」から成果を挙げた*1。中国では国家は強いが社会が弱い*2。日本はというと、国家は実は強くなく、社会も弱い。

 一方、かつて張本勲によって番組を追われた江川紹子は日本のあり方を称賛している。

 

 

 江川氏は上記を含む「連ツイ」を発している。

 

 私は、台湾、ニュージーランド、オーストラリア、韓国と比較すると成績が良いとは決して言えない日本の新型コロナウイルス対策に江川氏ほど高評価を与えることには賛同できないが、今後もますます発展していくであろうIT技術とプライバシーの問題、あるいは政府の強さに関する問題から目を背けてはならないとも思う。

 日本は幸か不幸かこれまで「IT後進国」だった。日本の製造力の全盛期から、ソフトウェア面が占める比率が高いIT技術では日本は後れを取るのではないかと言われていたし、それが現実になったのがここ30年ほどのことだったと考えている。

 だからこそ、安倍晋三のような低劣極まりない人間が総理大臣になって、「都合の悪いことはもみ消せば良い」と考えて我が世の春を謳歌し続けることができたわけだ。安倍には、ターゲットにした人間を徹底的に調査してパージする程度のことはできても、不特定多数をターゲットにした管理社会を統治するなどという発想まではない。安倍の思考は呆れるほど幼稚なのだ。「担ぐ神輿は軽くてパーがいい」と言った某「剛腕」政治家がいたが(いや、今でもいるんだっけw)、日本国民の多くは某「剛腕」と同じことを考えて政権を与え続けていたのではないか。

 安倍や某剛腕の悪口を書くとわき道にそれてしまいそうだから、昨日から考えていたことを書くと、重要なことは2つあって、まずは姜尚中が指摘した通りの、国家に対抗できるだけの「強い社会」を個人個人の協働で作り上げていくことが必要だし、それとともに「立憲主義のIT版」とでもいうべき、個人情報を権力に悪用させないためのシステムの構築が必要だろうということだ。それによって「強い国家」の暴走に歯止めをかけなければならない。

 現に疫病の感染を抑えることに関して韓国と日本の差をここまで見せつけられた以上*3、このままの姿を守っていけば良いとは到底私には思えない。だから江川紹子氏の意見には同意できないのだ。

 これまであまりにも脆弱だった日本の社会をいかに強くするか、またIT技術の発達の負の側面をいかに制御するシステムを作り上げていくか。それらが今後の日本の課題になってしかるべきだと思う。

 最悪なのは、そんな面倒なことは嫌だと言わんばかりに、日本でも特に感染の脅威の大きな2つの自治体の首長のような、低劣きわなりない右翼新自由主義者に人気が集まることだ。既にその脅威は日に日に増しているとしか思えない。

*1:私見ではドイツでは早期からの検査体制拡充の努力にもかかわらず感染拡大を抑えきれていないが、これには地理的要因が大きいと思われる。

*2:だから中国は独裁政権による監視国家になっていると言いたかったのだろう。

*3:現時点では人口当たりの死亡率は韓国の方が日本よりも高いが、それは韓国が中国と地続きという地理的な要因と、感染初期の段階で宗教団体の集団感染という脅威に見舞われた2つの要因によるところが大きいと私は考えている。