kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

新型コロナウイルス感染症の新規陽性者数、今週は先週より1万人前後減少か。「GoTo停止」が効いた蓋然性が高い

 新型コロナウイルス感染症の新規陽性者だが、毎週土曜日から翌週金曜日までの集計をとって公開するブログ記事のためにとっているデータを見ると、今日と明日で合計2万人以上の新規陽性者が出ない限り、今週の陽性者数は先週を大きく下回る。たとえば今日と明日が2日続けて5千人だと、今週は先週より約1万人減るし、昨日と同じように約4千人ずつだとすると1万2千人減る。昨年末のGoToキャンペーン停止と、年初間もなくからの緊急事態宣言、特に前者が大きな効果を発揮した蓋然性が高い。

 一方、死亡者数は先週と同じくらいのペースで推移している。どういうわけか、死亡者数の発表も木曜・金曜が多く、先週はそれで先々週と比べて大きく増加したので、今週も16週連続増加を記録してしまう可能性がある。しかし死亡者数は約1か月からそれ以上前の感染状況を反映し、かつ高止まりする性質を持っているから「覆水盆に返らず」というものだ。

 何が言いたいかというと、結局「人と人との接触を抑えることが一番効く」といういつもの決まり文句だ。GoToキャンペーンなどもってのほかだった。

 昨日は、自民党幹事長・二階俊博の一派が和歌山県で感染クラスタを発生させた一件が文春に暴かれた。

 

bunshun.jp

 

 二階一派は、和歌山県は緊急事態宣言の対象ではないなどと開き直っているという。そして二階は「GoToキャンペーン」推進を菅義偉に強いた元凶でもある。さきの石原伸晃といい、自粛をお願いしている側の人間が平気でこんなことをやっている。

 先日発表された、GoToと感染の相関関係に関する西浦博ら京大グループの発表は、旅行と感染との間に「相関はあるが因果関係はあるとまでは言い切れない」という結論だそうだが、調査時期が昨年5〜8月だったことを考えればそりゃそうだろうと思う。当時はまだ東京がGoToの対象から外れていた。第2波はその東京から始まったのであって、その東京の人々がGoToの対象から外れていたのだから、当時の感染に与えるGoToキャンペーンの影響が限定的だったのは当然だ。因果関係云々まではいえるはずがないとは、私も直感的にもそう思う。しかし、京大グループの発表によって相関関係は示された。つまり、GoToキャンペーンを行ったことによって感染が増えたのではないかとの合理的疑いがある。また、GoToが感染に影響しなかったエビデンスは全くないともいえる。つまり、GoToが感染に大きな影響を与えなかった時期においても、GoToは「黒に近いグレー」だった。しかし、GoTo利用者が感染者の多い東京都在住でなかったことによって、東京都を対象に含める以前のGoToキャンペーンは新型コロナウイルス感染症の流行全体に影響を与えるには至らなかった*1と推測するのがもっとも合理的な考え方だろう。

 実際、新型コロナウイルス感染症の第3波の兆しが見え始めたのは、東京都をGoToの対象に含めた10月以降だった。もちろんこの時期からの感染拡大は全世界的なものであって、GoToだけの影響であろうはずはないが、GoToの影響がかなりあったであろうことは、GoToを止めた2週間後から新規陽性者が減り始めたことからも強く疑われる。

 とはいえ現段階に至ってもなおGoToは「限りなく黒に近いグレー」でしかない。それは私も認める。しかし、ここで想起すべきは地球温暖化でよく言われる「予防原則」だ。

 

予防原則

 

ヨボウゲンソク   【英】Precautionary Principle / Precautionary Approach  [同義]予防的措置 

 

解説

 

欧米を中心に取り入れらてきている概念で、化学物質や遺伝子組換えなどの新技術などに対して、人の健康や環境に重大かつ不可逆的な影響を及ぼす恐れがある場合、科学的に因果関係が十分証明されない状況でも、規制措置を可能にする制度や考え方のこと。

この概念は、因果関係が科学的に証明されるリスクに関して、被害を避けるために未然に規制を行なうという「未然防止(Prevention Principle)」とは意味的に異なると解釈される。

1992年の国連環境開発会議(UNCED)リオ宣言は、原則15で予防原則について以下のように記している。「環境を保護するため、予防的方策(Precautionary Approach)は、各国により、その能力に応じて広く適用されなければならない。深刻な、あるいは不可逆的な被害のおそれがある場合には、完全な科学的確実性の欠如が、環境悪化を防止するための費用対効果の大きい対策を延期する理由として使われてはならない」。

これは、地球温暖化対策などで、科学的な不確実性を口実に対策を拒否または遅らせる動きの牽制とする意味合いもある。(2015年2月確認)

 

 これを「GoTo」に当てはめれば、人の健康に重大かつ不可逆な影響を及ぼす恐れがあると以前から指摘されてきた「GoToキャンペーン」は、科学的に因果関係が十分証明されない状況(現状は確かにその通りだ)でも行ってはならないことになる。

 それなのに、菅義偉は「GoToキャンペーンが感染に影響したというエビデンスがない」と答弁し、GoToキャンペーンに固執し続けた。

 その結果が年末年始にみられた新規陽性者数の激増だ。そして、GoToを停止してから、テレビなどで専門家たちが口を酸っぱくして言い続けている「2週間」が経過した時点で、あれほど激しかった新規陽性者の増加が止まり、それ以降は一転して急激な減少を見せている。もちろんこれはGoToだけではなく、陽性者激増に震え上がった人々が行動様式を変え、外食を含む外出をあまりしなくなったことの影響も大きい、というかそちらの方が主な理由だろうと私は思う。しかしGoTo停止も影響した蓋然性が高い。何より、GoToキャンペーンには、「もう出掛けても大丈夫ですよ」という行政からのメッセージだった。これが人々に与えた心理的な影響は非常に大きかった。なんと罪深い行政だったことか。

 なお緊急事態宣言発出の影響は、今週になってようやく出始めた程度だろう。先週後半に宣言発出後ようやく2週間に達した段階に過ぎないからだ。

 どう考えても、菅義偉が感染を拡大させた蓋然性が高い。いつも同じ結論で申し訳ないが、菅は、緊急事態宣言を終えるタイミングで内閣総辞職すべきだ。

*1:実際、昨年8月や9月にはGoToキャンペーンが東京都を対象から除外してとはいえ行われていたのに新規陽性者は減っていた。