kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

山本太郎も「選択制夫婦別姓」に賛成。それどころか公明党にも反対者はいない。野党は「選択制夫婦別姓」を衆院選の争点の一つにすべし

 2月10日過ぎあたり、例の「建国記念の日」とかいうわけのわからない祝日のあとくらいから、また多忙期が続いて、ブログ更新どころか読書にもあまり時間がとれずにきた*1が、このあと週末くらいまでは少し時間がとれるようになった。また来週から再来週初めにかけてはダメだけど。新型コロナの2020年度(2020年4月〜2021年3月)は、収入が減ったのに自由時間も減るという散々な1年だった。ようやく「3月は去る」の3日目になったが、昨夜の暴風はまことにすさまじく、気候変動の影響はここまできたかと思った。少し前まで「地球温暖化懐疑論に靡く人が多く、アメリカの共和党や日本では池田信夫(ノビー)などがそうだったが、2000年代からずっと、なぜかオザシン(「小沢信者」)に地球温暖化陰謀論者が多く、山本太郎にもその影響が若干あったよなあ、などと思い返していた。

 その山本太郎を支持する界隈の一部に、立憲民主党代表の枝野幸男が主導しようとしている「選択的夫婦別姓」推進を牽制しようとする動きがある。下記記事で指摘した「Dr.ナイフ」のツイートなどもその一例だった。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 ナイフ自身は「選択的夫婦別姓」には賛成だが、「選挙を戦うには、あまりにも弱い」という。しかし「選択的夫婦別姓」ほど、自民党とその他の政党(公明党)とのスタンスの差が大きい争点はない。そのことをはっきり示すのが、一昨年の参院選に際して行われた朝日新聞社東京大学谷口研究室の共同研究の結果だ。

 

chinjyo-action.com

 

 朝日と谷口研究室は、参院選候補者たちからアンケートをとった。選択的夫婦別姓に対する賛否を、「賛成」「どちらかといえば賛成」「どちらともいえない」「どちらかといえば反対」「反対」の5つの選択肢から選んでもらい、それに「無回答・その他」を加えた6つのグループに分けて候補者名の一覧を示している。

 その結果だが、共産党の39人と社民党の7人は全員が「賛成」で、その他の選択肢を選んだ候補者は1人もいなかった。

 立憲民主党(旧党)の42人のうち37人が「賛成」、5人がやや日和った「どちらかといえば賛成」だが、この5人のうち当選して現在の新立民にいるのは野田国義ただ1人で、当選者にはもう1人須藤元気がいたが、須藤は新立民には参加せず無所属だ。この須藤は元レスラーのマッチョな人間で、昨年の都知事選では山本太郎を熱心に応援していた。

 また国民民主党(旧党)は、28人のうち16人が「賛成」、6人が「どちらかといえば賛成」、4人が「どちらともいえない」、1人が「どちらかといえば反対」、1人が「無回答・その他」だった。しかし、唯一「どちらかといえば反対」と答えた原谷那美は落選したから、2019年の当選者の中に選択的夫婦別姓に反対する参院議員は1人もいない。かなり怪しげな民民でさえこの通りだ。

 それどころか日本維新の会ですら、22人のうち7人が「賛成」、10人が「どちらかといえば賛成」、2人が「どちらともいえない」、2人が「どちらかといえば反対」、1人が「無回答・その他」だった。「どちらかといえば反対」と答えた2人の中には松沢成文が含まれる。もう1人の奥田真理は落選した。

 N国党になると反対がそれなりに増えるが、それでも51人のうち5人が「賛成」、7人が「どちらかといえば賛成」、25人が「どちらともいえない」、2人が「どちらかといえば反対」、6人が「反対」、「無回答・その他」が6人だ。「賛成」と「どちらかといえば賛成」の合計12人の方が、「反対」と「どちらかといえば反対」の合計8人を上回っている。極右勢力に忖度して自らの立場を明確にしない者が多いが、その玉虫色の解党をした人間のうち、本音が選択的夫婦別姓に反対である人間など、おそらく1人もいないだろう。

 与党でも公明党は24人のうち9人が「賛成」、13人が「どちらかといえば賛成」であって、「どちらともいえない」が2人。それ以外の「どちらかといえば反対」、「反対」、「無回答・その他」は1人もいなかった。

 それでは肝心の(?)某新選組(山本元号党)はどうだっかというと、これはもう立場は明確であって、10人のうち山本太郎を含む9人が「賛成」、ただ1人安冨歩だけが「無回答・その他」だった。かつて、小沢一郎の党が「生活の党と山本太郎となかまたち」と名乗っていた頃、選択的夫婦別姓制度を導入するための民法改正案を衆院に共同提出したことがあることを思えば、当然の回答ではある。

 これらの政党に対して、唯一立場が違うのが自民党だ。ただその自民党も一枚岩ではない。

 自民党の81人の内訳は、「賛成」5人、「どちらかといえば賛成」8人、「どちらともいえない」36人、「どちらかといえば反対」7人、「反対」12人、「無回答・その他」13人だった。「賛成」と「どちらかといえば賛成」の合計13人に対して、「反対」と「どちらかといえば反対」の合計が19人であり、後者が前者を上回る唯一の政党だ。しかし、「どちらともいえない」と「無回答・その他」の合計が49人もいる。N国党の場合と同様に、この49人のうち本音が選択的夫婦別姓に反対である人間など、おそらく1人もいないはずだ。彼らが玉虫色の立場をとったのは、時の総理・総裁が極右の安倍晋三だったことや、「日本会議」などへの忖度があるからだ。

 こうして考えると、枝野幸男が「選択的夫婦別姓」を衆院選の争点の一つに据えようとしていることは正しいとしかいいようがない。なにしろ、総理・総裁の菅義偉自身がかつて選択的夫婦別姓賛成論を積極的に唱えていた時期があったが、現在は安倍晋三の後継者という立場上それを明確に打ち出せない弱味がある。自民党自体も一枚岩ではない。敵の弱みにつけ込んで政治を動かせる大きなチャンスだ。自民党が争点化を嫌がって選択的夫婦別姓への姿勢を改めるならそれも良し。その場合でも明確な野党の得点になる。もっとも枝野幸男の主導でそうなるのが嫌だから、ナイフをはじめとする「某界隈」の連中が懐疑論を言いたがるのだろうが。

 自民党というのは本当に変な政党で、先日も男女共同参画担当大臣の丸川珠代が選択的夫婦別姓制度に反対する姿勢を明確にした。しかしその丸川も、朝日と谷口研究室の共同研究のアンケートに回答した時には「無回答・その他」だった。明らかに、2007年に最初に当選した時に自分を大いに気に入ってくれた安倍晋三や、安倍とつながりの深い「日本会議」への忖度から、ここにきて「反対」を明確化しただけだ。

 こうして考えると、ナイフらの主張は「奇異」の一語に尽きる。

 そういえば、ナイフを朝日の「論座」の執筆者に選ぶ際に暗躍したのではないかと一部で噂されていた鮫島浩が今年5月末にようやく朝日新聞社を退社するらしい。ナイフが今も「論座」に「コラム」を書いているのかどうかは知らないが、奴が執筆陣から外されるのは時間の問題ではなかろうか。

 おまけ。前の記事にいただいたコメントを紹介する。

 

 K-POPファン

彼らが選択的夫婦別姓に反対なのは私はどこかへの忖度とかでなくって、もともとそういう人達の集まりなんだと思います。
あなたを幸せにしたいんだっていうキャッチフレーズもその後に「だから俺についてこい」ってのが続くように感じられ、マッチョ的である印象を受けます。
都知事選で女性からの支持が薄いことが判明しましたが、本体、支持者ともにそのようなムードが感じられることから避けられたのではないかと推測しております。

 

 ははは。確かに山本太郎には強烈な「マッチョ」的イメージがありますね。都知事選で須藤元気の応援を受けた画像を見た時、「マッチョが2人並んだ見苦しい絵だなあ」と正直言って私も思いました。

 「俺についてこい」といえば、1964年の東京五輪で金メダルをとった日本女子バレーボール監督・大松博文(1921-78)の言葉が思い出されますが、大松は1968年の参院選全国区に自民党公認で立候補して当選したんですよね。でも改選時の1974年の参院選には落選し、その4年後には57歳で早世しました。

 マッチョの栄光は長続きしなかったわけです。

 山本太郎は、この記事で見た通り建前上は選択的夫婦別姓に賛成しており、本音でも反対ではまずあり得ないと思われますから、Dr.ナイフのような応援団が変な圧力をかけるのは、百害あって一利なしだと確信します。

*1:東野圭吾を批判して憂さを晴らす、程度の低い状態が続いている。