このところ地方選では自民党及び同党系の候補者の苦戦が目立っている。その一方で、維新が2012年の全盛期には全く及ばないし、昨年の小ブーム時からも退潮しているとはいえ一定の「善戦」を見せることがある。それと、立民と共産を軸とした「野党共闘」の三つ巴となったのが先の宝塚市長選だった。この選挙についての見方はネットでも分かれている。
たとえば「維新侮れず」との見方。
関西であるということを差し引いても維新に勢いがあると思う。やべーな。イソジン雨合羽都構想阻止で勢い消えたと思ったが甘いか。イソジン雨合羽あたりはTwitterのタコツボで世間は「吉村はん、ようやっとる」なんだろうな
— 軍畑先輩 (@ixabata) 2021年4月11日
いや、維新の勢いがあるとは思わないとの見方。
勢いが落ちてはいないものの、あるとは思わないかなあ。維新の支持についてはかなり岩盤となる支持層がいるものの、その外に広がっておらず、投票率が上がるとむしろ勝てない様子がある。 https://t.co/DLej2WpqxG
— ツイッター政治おじいちゃんお化け (@micha_soso) 2021年4月11日
「野党共闘」の側から見ると、現職後継ではあっても無名の新人が当選したことは大きいとする見方がある。
宝塚市長選 実績ある現職の後継に維新がここまで迫ったということに危機感を抱く人も多いけど見方をを変えれば、実績と地盤のある現職県議二人相手にいくら現職の後継とはいえ無名の新人が表立って政党の支援を受けずに差し切ったとも言える
— /しらたき\ (@sirataki_kokkai) 2021年4月12日
中川市長結構応援演説についていたけど選挙前の2連ポスターは中川市長とじゃなくて秋葉元広島市長とだったしポスターとか見ると市政継承や後継候補であることをそこまでアピールするわけでもなかった。それで自民金沢系と維新の県知事選の代理戦争みたいな構図になって勝ち切れたのは凄い
— /しらたき\ (@sirataki_kokkai) 2021年4月12日
やはり現職と新人の得票力には大差があるということだろう。その意味では、与党の前職が多い衆院選の小選挙区で勝つのはなかなかハードルが高いといえる。
なお、兵庫県では次期知事選で自民党が現職後継の金沢和夫副知事を推す方針を決めているが、維新が全大阪府財政課長の斎藤元彦なる人物を出馬させる方針で、自民党の兵庫県議の中に維新側に立つ者が少なからずいて、県議11人が自民党を除名される騒ぎになっている。以下神戸新聞より。
兵庫県議会 自民党、離脱県議11人除名へ 知事選・斎藤氏を支援で
兵庫県知事選(7月1日告示、同18日投開票)に絡み、県議会(定数86)の最大会派の自民党は1日、会派の決定に反し、総務省出身で前大阪府財政課長の斎藤元彦氏(43)を支援する県議11人を除名処分にする方針を決めた。2日の議員団総会で正式決定する見通し。11人は自民を離党せず、県議会で新会派「自民党兵庫」を結成する。従来の自民会派は44人から33人になり、県議会で過半数を大きく割り込むことになる。
知事選を巡っては昨年12月、5期目の井戸敏三知事(75)が今期限りでの退任を表明。自民会派は井戸県政の継承を求め、前副知事金沢和夫氏(64)の支援を決めたが、反発する県議11人が会派に退団届を提出し、斎藤氏を擁立した。
これまで自民会派は退団届を受理していなかったが、斎藤氏が3月31日に立候補表明したのを受け、4月1日に開いた会派の綱紀委員会で除名処分の方針を決めた。自民会派の藤本百男幹事長(67)は「残念の一言。知事選だけでなく、衆院選などへの影響も大きい」と会派分裂の影響を懸念した。
(2021/4/1 19:20 神戸新聞NEXT)
出典:https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202104/0014203577.shtml
維新は一時勢力をかなり盛り返していたので、兵庫県を切り崩しにかかっているわけだ。それでなくても阪神間では以前から維新が強い。それは、阪神間には中間層やそれ以上の階級の人間が多いことにもよると思われる。また阪神間では「リベラル」もそれなりに強い。一方で兵庫県全体では自民党が強い。その三すくみが宝塚市長選の結果に反映されたものだろう。しかし県知事選は兵庫県全体なので、維新がリベラルに敗れたものの自民を圧倒した宝塚市長選のようにはならないと思われる。
最近の世論調査では維新の政党支持率は一時と比較してかなり下がってきたことも事実だ。ましてや2012年当時の勢いには全く及ばない。
なお「野党共闘」に関しては下記平河エリ氏の一連のツイートが的を射ていると思う。
「野党共闘」なるものの大枠は民主系左派と共産党の協力関係であって、民主系が割れたとしてもこの大枠が崩れることはない。
— 平河エリ Eri Hirakawa | 読む国会 (@yomu_kokkai) 2021年4月11日
民主系の内紛には多数の争点があるし、ずっと揉めているといえば揉めている。共産党との協力関係はひとつの争点に過ぎない(選挙の現場でどう調整するかはまた別)
野党共闘の是非そのものが争点になったのは、民主系右派が民主・民進で一定のイニシアチブを取れたときまでであって、細野さんも長島さんも消えちゃった今野党共闘そのものが争点になることはない。
— 平河エリ Eri Hirakawa | 読む国会 (@yomu_kokkai) 2021年4月11日
争点は民主系右派の身の振り方であって、それはどちらかといえば議員個人の問題。
コップの中の嵐は、コップが弱いか嵐が強いかではないとコップが倒れるような話にはならない。
— 平河エリ Eri Hirakawa | 読む国会 (@yomu_kokkai) 2021年4月11日
かつては自誓会も国軸の会も凌雲会も民社協会も大きな勢力だったけど、すでに面影がない以上、コップそのものがどうにかなる話にはならない。
自民党における石破さんの立場と同じ。
— 平河エリ Eri Hirakawa | 読む国会 (@yomu_kokkai) 2021年4月11日
かつてとは違い、「石破さんは今後どうするか」という以上の話にはならない。自民党というコップが弱くなっていけばまた変わってくるかもしれませんが。
逆説的に言うんですが、玉木さんくらい選挙に強くて発信力があって華のある政治家が代表でなければ、国民民主党が合流せずに残ることはなかったんじゃないかと思っています。
— 平河エリ Eri Hirakawa | 読む国会 (@yomu_kokkai) 2021年4月11日
玉木さんにせよ石破さんにせよ、本質的な意味が変わってもその動向が注目されているのはそういうこと。
「自民党というコップが弱くなっていけば」という話については、本当に弱くなるまでにはまだまだ時間がかかるだろうが、コップには既に最初の罅は入っていると思う。
それは、石川県の野々市市で選択的夫婦別姓制度に賛成した自民党市議が除名された騒ぎに表れている。
自民党除名になりましたが、私の判断は間違えてないと自信を持っていえる。あのとき選択的夫婦別姓に賛成したこと、1ミリも後悔していません😊
— 梅野智恵子 (@Umegumi0414) 2021年4月6日
石川県というのは、全国的にも稀な極右の県紙を擁しているせいもあってか、隣の福井県や山口県などと並んで全国でももっとも極右色が強い自治体だと私は認識している。なにしろ、あの辻政信の銅像が建っているというとんでもない土地柄だ。その石川県ならではの特異性なのかもしれないが、選択的夫婦別姓に賛成しただけで市議を除名するような組織は硬直しきっているとしかいいようがない。これは組織というコップに罅を生じさせるものであり、今回の除名騒動はその「罅」にほかならないと思われる。