都議選では自民党と立憲民主党がともに敗北したが、両党以上にどうしようもなかったのが維新・民民と某「組」だった。下記は毎日新聞記事へのリンク。但し有料だし私も読んでいない。どうせ大したことは書いてないだろう。単に見出しに注目しただけだ。
「組」の支持者だか信者だか冷やかしだか知らない人たちが、相変わらずの「不正選挙」を唱えて騒いでいるが、2012年末にオザシンたちの間で「不正選挙」論が燃えに燃えた頃とは全く違い、意識して探してもなかなか見つからないほど下火になった。下記はその絶滅危惧種たちの例。
私もそう思います❗️もう既に不正の証拠も上がっているそうです。これは世田谷区の監視カメラだと聞きました👂許せません😡🔥#東京都議選2021 #自民党を選挙で干そう #れいわ新撰組#不正選挙#東京都議会議員 https://t.co/mEeFQQVoRF pic.twitter.com/DoCQG2KL5S
— 野仲蓮巳/野党連合政権応援‼️/れいわ🐾🐾🏳️🌈🦄🦅🌬 (@realDonuld) 2021年7月4日
日本では今や絶滅危惧種になった「不正選挙論」だが、アメリカでは昨年がピークだった。いや、それが日本のネトウヨたちにも伝染して流行してたっけね。百田尚樹なんか特に。危うく忘れるところだった。
今回の都議選では、都ファの巻き返しという痛恨事の悪印象が強いが、自民党がいよいよ本当の終末期に入ったことを感じさせる選挙でもあった。公明党が得票数を14%も減らしたらしいが、投票率自体も17.3%減っているので、その減り幅と比べれば公明票の歩留まりはまだマシだった。とはいえ、全体の減少幅といい勝負になるくらい票を減らしたのは、公明党にとっても「今までのやり方をいつまでも続けることはできない」ことを知らせるものだった。残念きわまりないのは、それが獲得議席の減少にまで至らなかったことだ。せめて1議席でも減れば、公明党が今までのあり方を変えるきっかけになったかもしれないが。なお公明党が前回の都議選で都ファと野合したことから言えるのは、自民党にとって代わるものが都ファのようないかさま政党であれば何も変わらないということだ。
自民党については、平河エリ氏の一連のツイートが参考になる。かなり若い方のようだが、もう氏のような若い方の見方を参照しなければ政治や社会の動きが把握できなくなってきた。老いを感じる。以下、平河氏のツイートを引用する。
「反共」= 非武装中立、反天皇制、共産主義と相対する概念としての現実主義(保守主義)が長らく自由民主党の思想的結節点になってきたわけだけど、左派のイシューがジェンダーや働き方などになるにつれ、それらのアンチ、つまり排外主義や男尊女卑が自民党を包摂する概念としては無理が生じている。
— 平河エリ | 新刊「25歳からの国会」📕 7/20発売 (@yomu_kokkai) 2021年7月5日
「反共」以外に自民党の結節点があるかというと、地方の隅々まで浸透したネットワークを通じた現実的な利益分配以外には難しく、思想的に自民党のコアが空白になっていて、東京ではその弱みが出た。
— 平河エリ | 新刊「25歳からの国会」📕 7/20発売 (@yomu_kokkai) 2021年7月5日
井出庸生さんから杉田水脈さんまで包摂する思想や方向性が存在しうるかというと、多分ない
自民党の存在意義は利益分配。だから2009年に下野したあと存在意義が消えた。
— 平河エリ | 新刊「25歳からの国会」📕 7/20発売 (@yomu_kokkai) 2021年7月5日
そこで自民党は右に大きくシフトしたわけ。反子ども手当、反外国人、反ジェンダーフリー。
徹底的に反民主で固まって、改憲草案も現実からかけ離れた復古的なものになった。
でも、流石に2021年に同じことは出来ないはず
自民党内に働く右バネは、2009年衆院選の大敗をきっかけに一気に過激化した。当時の自民党総裁が宏池会に属する谷垣禎一であったことをよく覚えておきたい。谷垣が安倍晋三政権の土台を作ったようなものだった。そして2012年末から2020年夏まで、安倍晋三政権が「反動の時代」を築いたが、それは「崩壊の時代」でもあった。今後、再び自民党が国政選挙に負けて下野することがあっても、2009年に下野した時と同じことはできない。確かにその通りだろう。
なお、自民党の今後を担うリーダーは石破茂なんかではない。石破は、2012年の自民党改憲案を特に愛する極右であり、もはや時代遅れの人間になった。石破が最近、小林よしのりと「コロナはただの風邪」論で意気投合していることは象徴的だ。
平河氏のツイートの引用を続ける。
東京においては行政のトップを小池さんに握られていて、さらに今回右派シフトもできず選択的夫婦別姓なども曖昧な回答に終始した結果、東京で自民が埋没した。
— 平河エリ | 新刊「25歳からの国会」📕 7/20発売 (@yomu_kokkai) 2021年7月5日
それは結局、常に「○○よりマシ」で投票されてきた自民の構造的な弱さが表面化したのではないかと思います。
私は、社会党に政権を渡さないということで結党された自由民主党は歴史的意義を終えたと思っているのですが(日本を親ソビエト国家にしないという使命はもうない)、次の自民党の政党としての存在意義みたいなものを党内外の人が考える時期に来ているのではないかと思っています。
— 平河エリ | 新刊「25歳からの国会」📕 7/20発売 (@yomu_kokkai) 2021年7月5日
「自民党は歴史的使命を終えた」とは冷戦が終結した1990年代からずっと言われてきたことで、2009年の下野で「やっとその時がきた」と私なども思ったし、当時さとうしゅういち氏がよく自民党の下野を「超新星の爆発」になぞらえていたことが思い出されるが、その3年後にまさかあの「白色矮星政権」が現れ、それが7年9か月も続くだろうとは誰も予想できなかった。つい去年まで続いたあの長い時期が2020年代以降の日本に大きなダメージを与えることになった。後世の歴史家はそのように断定(断罪)するに違いない。
もちろん政党を政策集団と見るか、利益共同体と見るかによって違うかもしれないし、後者と見る人が多いのは事実でしょうが、次下野したら相当瞑想するんじゃないかなと傍目から見ていると思ったりしますね
— 平河エリ | 新刊「25歳からの国会」📕 7/20発売 (@yomu_kokkai) 2021年7月5日
上記ツイートの「瞑想」はもちろん「迷走」の誤変換だろう。私なんかは「瞑想」の字面から「冥王星」すなわちプルートー(冥界を司る神)を連想したけど。
結局都議選でも、自民党候補のほとんどが「国とのパイプ」を訴えてたりしたわけですよ。
— 平河エリ | 新刊「25歳からの国会」📕 7/20発売 (@yomu_kokkai) 2021年7月5日
じゃあその国とのパイプって、下野したらどうなるのって話なんですよね。無党派の共産党への拒否感が薄まってるから反共演説も効かなくなってるし。
派閥というのは中選挙区制の時代には意味があったけど、現代において政策集団としての意味はほぼない。だってどうせ公認は一人なんだから。要は、中選挙区制の残滓をまだ引きずっているんですよ。
— 平河エリ | 新刊「25歳からの国会」📕 7/20発売 (@yomu_kokkai) 2021年7月5日
長島さんや細野さんなど旧民主の人が「共産党と協力できない」ということで自民党に行ったわけだけど、結局(少なくとも)東京では無党派の受け皿として共産党は自民党や立憲民主党よりも上だったわけです。
— 平河エリ | 新刊「25歳からの国会」📕 7/20発売 (@yomu_kokkai) 2021年7月5日
そうすると、非共産の最大公約数としての自民党の存在意義が無くなってくる。
自民党の存在意義がなくなるのであれば、長島昭久や細野豪志、前原誠司らが属して玉木雄一郎が頂点に立つ国民民主党のような「反自民・非共産(あるいは反共産)の野党」の存在意義などなおのこと全くないわけで、都議選でも民民が某「組」にも劣る大惨敗を喫したことはその表れだろう。
今回の都議選の結果からいえるのは、衆院選の比例ブロックでもおそらく民民が議席を獲得することは極めて難しいことであって、それを察知した山尾志桜里は、「都議選で民民が負けたから逃げ出した」と言われるのを避けるために、先手を打って政界から退くことを表明したに違いない。