悪趣味カルチャーは80年代のオシャレやモテや電通文化に対する怒りだった。カーディガンを肩にかけ、ポロシャツの襟を立ててテニスやスキーしてホイチョイの「ヤレる店」読んでナンパして人を「ちゃん付けで呼ぶ」奴らにゲロや死体で嫌がらせしたかった。当時を知らない人にはわからないだろうけど。
— 町山智浩 (@TomoMachi) 2021年7月20日
それって、自民党に対する怒りから維新を支持するようになった(=維新に回収されてしまった)、特に大阪に多い人たちの心性と何も変わらないのでは?
自民党は、1980年の衆参同日選挙を境に、それまでの「国民政党」の仮面(それ以前から仮面でしかなかったわけだが)をかなぐり捨てて現在に至るパワハラ政党としてのあり方を露骨に示すようになった。1970年代末の「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の虚飾を背にしてパワハラを売り物にするようになったわけだ*1。
それに対して、成り上がり者あるいは叩き上げの人間が権力を握ってパワハラをやるようになったのが橋下徹であり、松井一郎や吉村洋文以下、大阪維新の会の政治家たちだった。橋下が大阪府知事選に初当選したのは2008年だったが、政治の動きは文化のアーリーアダプターよりもずっと遅れる。小山田圭吾や「渋谷系」とやらはサブカルの橋下、サブカルの維新だったのではなかろうか。彼らは橋下や維新を10年以上も先取りした。彼らに対し、自民党に相当するメジャーな芸人としては1980年にブレイクしたビートたけし*2がいたし、フジテレビだの電通だのがたけしを重用していた。メジャーどころだって既に露悪を売り物にしていたわけだ。それで思い出したが、ビートたけしと並んで80年代に私が大嫌いだったのはフジテレビだった。あと松田聖子も嫌いだったな。
電通やフジテレビも糞なら、小山田圭吾も糞だったんだよとしか私には思えない*3。
「90年代に悪趣味や鬼畜やってたのはお前だろう」と言われたら「はい、そうです」としか言えないが、それは電通フジテレビでセゾンでトレンディで一言でいえばSuntoryThinkingAboutTheEarthビール的なオシャレでバブルで偽善的で反吐が出るようなクソ文化への反抗だったんだけど、わかんねえだろうな。 https://t.co/LdyWQuE6cb
— 町山智浩 (@TomoMachi) 2021年7月20日
橋下徹や松井一郎や吉村洋文や大阪維新の会の支持者あるいは「信者」たちが似たようなことを言ってそうだな。彼らは自らが昔からの大阪の反骨精神を持ち続けていると信じて疑っていないに違いない。