昨日(7/31)の国内新型コロナウイルス感染症新規陽性者数もすさまじかった。NHK*1によると日本全国で12,341人を数え(うち東京都が4,058人)、グラフは2日連続でスケールが書き換わった。面倒なので今日は載せないが、対数グラフのスケールも間もなく書き換わる。
昨日などは、新規陽性者数の7日間移動平均値が前週比122%増、つまり2.22倍に増えるという異常な数字を記録した。もちろんこれは、東京五輪の開催前日と開催日に東京都がPCR検査数を抑え込んだ暴挙によって水増しされているが、一方でNHKの下記報道によれば東京都のPCR検査での陽性率は実に31%に達している。つまり「検査が足りていない」という第1波の頃を思い出させる事態がまたしても生じており、それによって実際より少ない数字になっていることはほぼ間違いない。
以下、都のPCR検査の陽性率に触れた部分のみ引用する。
PCR検査の陽性率も上昇しています。
今月下旬の平均はおよそ31%と、上旬を19ポイント上回っているということです。
出典:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210731/k10013172891000.html
また、イギリス在住の方のツイートによると、沖縄県と東京都の新規陽性者の発生率は、「欧米の基準でさえロックダウンが視野に入ってくるレベル」だそうだ。
1週間の10万人あたりの感染者、沖縄が130人、東京が125人か。。。検査数の絶望的な少なさを考えると、欧州基準でさえロックダウンが視野に入ってくるレベルである。
— kazukazu88 (@kazukazu881) 2021年7月31日
普通は、検査のキャパを超えたらロックダウンだよな。実態が分からないスピードと規模で感染が広がると、リスクが高すぎなので。
— kazukazu88 (@kazukazu881) 2021年7月31日
ところが現在、東京都のPCR検査数は、あの悪名高い大阪府よりも少ないらしい。
しかし今東京のほうが大阪よりPCR検査人数少ないってすごいな。
— Jun Makino (@jun_makino) 2021年7月31日
東京都のPCR検査数が足りない一因としてすぐに思い浮かぶのが、東京五輪関係者に対するPCR検査によって、医療関係者のリソースが割かれていることだ。事実、前記のNHKニュースについた「はてなブックマーク」の人気第1位のコメントもそのことを指摘している。
東京都内のクリニック 患者増加に危機感 陽性率も上昇 | 新型コロナウイルス | NHKニュース
ちょい前にも貼ったけど、東京の検査数は68,000件/日まで拡充されてるはず( <a href="https://www.nhk.or.jp/politics/articles/lastweek/49191.html" target="_blank" rel="noopener nofollow">https://www.nhk.or.jp/politics/articles/lastweek/49191.html ) なのに、1万件/日に留まってる。五輪にリソース取られてるとしか思えないんだけど……
2021/07/31 18:19
7月26日までの1週間で、五輪関係者が1日あたり3万3千件のPCR検査を受けたとのブコメもある。
東京都内のクリニック 患者増加に危機感 陽性率も上昇 | 新型コロナウイルス | NHKニュース
※オリンピック関係者は、7月26日までの7日間で、1日あたり平均3万3000件を検査しています。
2021/07/31 21:01
以上の事実からまともな人間であれば直ちに判断できることは、東京五輪は即刻中断して後半戦の競技を中止することと、東京都と沖縄県のロックダウンを検討することであるのは火を見るよりも明らかだ。これ以外に現実的な選択肢はない。
だが、正常性バイアスにとらわれた菅義偉や小池百合子には、そのような判断はできない。
いや、自公政権やポピュリスト的ネオリベの首長(小池のほか吉村洋文など)ばかりではない。つい最近「東京五輪の中止は現実的でない」と抜かしやがった間抜けな枝野幸男も同罪だ。また、「リベラル」ないし都会保守のブログは、今日はさすがに決まり文句だった「ガンバ!」は使わなかったようだが、相変わらずブログ記事の冒頭部分が東京五輪の結果で占められている。このように、与野党やその支持者やシンパたちがこぞって正常性バイアスにとらわれ*2、現実を直視できないでいる。
これが1945年の敗戦に対応する「崩壊の時代」の破局なのかもしれない。東京五輪は中止するよりも強行する方が破局を直接招く災厄だったのだ。
以下は付録。昨日で7月が終わったので、新規陽性者数と死亡者数の月間値の推移を示した対数グラフを載せる。
2021年7月の国内新規陽性者数は126,614人、死亡者数は409人だった。月間陽性者数は過去3番目の多さだったが、月間死亡者数は382人だった2020年11月以来、7か月ぶりに3桁に減った。
月間の「見かけの致死率」は結局0.32%にまで下がったが、2020年7月も月間陽性者数17,651人に対して死亡者数39人で、見かけの致死率は0.22%だった。つまり、真夏は人体の免疫力が強くて死亡率がもともと低いのだ。もちろんワクチンの効果は高いけれども、現在のデルタ株は昨年の第2波の時の変異株より毒性が強いことは間違いなく、そのために今年7月の見かけの致死率が昨年7月よりも高くなったのではないか。今年7月は、昨年7月の10倍以上の死亡者を出したのだ。
問題は、現在のような感染爆発がいつまで続くかだ。少なくとも現時点では全くわからない。
一つだけ間違いないのは、繰り返しになるけれども東京五輪の即時中止とロックダウンの検討を可及的速やかに始める必要があることだ。一日遅れるだけでも、回復に要する日数はその数十倍も長くなる。