kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

国内の新型コロナウイルス感染症週間新規陽性者数51,925人、死亡者数68人 (2021/7/24-30)/第5波の感染状況で世界を「リードする」日本の惨状orz

 菅義偉政権が新型コロナ禍の最中に東京五輪開催を強行したせいで、ついにリニアプロットのグラフのスケールが変わってしまった。下手したら、というよりかなり高い確率で対数グラフのスケールも変わってしまうかもしれない。下記は昨年3月以降の日本国内新規陽性者数と死亡者数のグラフで上がリニアプロット、下が対数プロット。データはNHK*1による。

 

f:id:kojitaken:20210731083144p:plain

国内のCOVID-19新規陽性者数及び死亡者数 (2020/3-2021/7, 7日間移動平均線形=NHK)

 

f:id:kojitaken:20210731083420p:plain

国内のCOVID-19新規陽性者数及び死亡者数 (2020/3-2021/7, 7日間移動平均対数=NHK)

 

 今回の波を、NHKを初めとするマスメディアがなかなか「第5波」と呼ばないことを私はずっと訝っていたのだが、下記リンクの日経の記事を参照すると、世界的にはやっと第5波が立ち上がりつつあることがはっきりしてきた段階らしい。記事は引用しないが、記事に掲載されているグラフに注目されたい。第5波(と弊ブログは括弧なしでずっと呼んでいる)は世界平均では、まだ第3波や第4波のピークの高さには全然達していない。

 日経記事に見る世界全体のグラフと日本の感染状況を比較すると、冬に世界の感染状況を(悪い意味で)リードしたアメリカ、春にリードしたインドに変わって、夏には日本がリードしてしまう可能性があるかもしれない。もちろん新規陽性者数の7日平均値では、昨日(7/30)に7千4百人強だった日本に対し、日経記事によればアメリカは29日に約6万7千人であって日本の方が一桁少ないのだが、日米の人口比を考慮すると日本の人口あたりの新規陽性者数はアメリカの3分の1近くにまで達している。何より、日本では第5波の高さが既に第3波及び第4波を超えている。東京五輪開催を強行した首相・菅義偉東京都知事小池百合子らの責任はきわめて重大だ。中には、某括弧付きの「リベラル」あるいは都会保守氏*2のように、東京五輪の開催権はIOCにあって日本政府や東京都にはないのだと力説し、菅と小池の責任を免責する向きもあるが、普通に考えれば、開催国に住む人々の生命や健康が脅かされるような非常事態において、一民間機関であるIOCの開催権を差し止める権限が政府や東京都に全くないとは考えられないだろう。このところの菅や小池の冷淡きわまりないコメントに接すると、彼らにとっては日本国民や東京都民、あるいは日本(東京)にいる人々の生命や健康よりも東京五輪の方がずっと大事なんだな、とつくづく思う。ことに菅義偉など、ここ数か月は東京五輪のことしか頭になかったようだから、五輪が終わったら「燃え尽き症候群」にでもなってしまうのではないかと思わされる。

 前回は確か4日前だったが、今回はきっちり週間データを報告する。下記は昨年10月以降の国内新規陽性者数及び死亡者数の週間グラフ(リニアプロット)。こちらもスケールが前回までと変わった。もっとも、先週後半の五輪開催前日及び当日に東京都がPCR検査数を抑え込むなどした影響で、先週の新規陽性者数は過少な数値に、今週のそれは過大な数値になったと考えられるので、実際にはグラフに示されたよりはやや緩やかな変化だったに違いない。

 

f:id:kojitaken:20210731090003p:plain

日本国内のCOVID-19の週間新規陽性者数と週間死亡者数 (2020/10/3-2021/7/30, NHK)

 

 724日(土)から730日(金)までの1週間の新規陽性者数は51,925人(前週比87.9%増)、死亡者数は68人(同21%減)だった。週間の新規陽性者数は5週連続で増加した。増加率は先週の50.0%を大きく上回って90%近くに達したが、前述の通り先週の人為的なPCR検査数抑え込みによって今週の増加率が水増しされている。一方、死亡者数は11週連続で減少した。感染のステージは、引き続き第5波の初期とみられる。今週の見かけの致死率はなんと0.13%の低率だったが、これは第2波の初期だった昨年7月11日から17日の週に記録した0.10%以来の低い数字だ。昨年の第2波は弱毒株によるとの研究結果があったはずで、それに対して今回のデルタ株はむしろ強毒性の変異株とのことだが*3、両変異株の毒性の差とワクチンの効果とが相殺されて、昨年7月と今年7月で「似たような見かけの致死率」*4になったと考えるのが合理的だろう。その他に、やはり夏は人体の免疫力が強いということなんだろうなと思わされる。

 夏の暑さはちょうど今頃がピークで、今後暑さが収まる時期に感染中期に入ると、重症者数や死亡者数が目立って増えるはずだ。つまり医療崩壊の危機はこれからなのだ。この現象は春に大阪で見られた通りだが、それにもかかわらず「ワクチンが効いて重症者や死亡者が少ないから大丈夫」などという無責任が言説が横行していることに対して強い憤りを禁じ得ない。

*1:https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data-all/

*2:氏は現在東京五輪にとても熱中しておられるようで、ブログ記事はたいてい東京五輪の話題から始まって「ガンバ!」などと書かれており、そのあとにやおら政治の話題に移るのがいつものパターンだ。

*3:これははっきりしない。デルタ株は感染力の強さはわかっているが、強毒性かどうかについては異説があるようだ。

*4:厳密には、見かけの致死率は昨年7月の方が今年7月よりもさらに低かった。