kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

国内の新型コロナウイルス感染症の新規陽性者数が過去最多を更新して9576人。今年7月の死亡者数は昨年7月の10倍で、昨年は8月に前月比7.4倍の死亡者数を記録した。首都圏1都3県の「医療崩壊」はもう目前だ

 昨日(7/28)、日本国内の新型コロナウイルス感染症の新規陽性者数が9576人、うち東京都が3177人を数え、いずれもこれまでの最多を記録した。現在は、過去のどの時期と比較しても新型コロナウイルスの脅威がもっとも大きいといえる。

 陽性者数の増え方は、第3波や第4波よりはるかに激しい。下記に、NHKのデータ*1に基づく新規陽性者数と死亡者数の対数及び線形グラフを示す。

 

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国内のCOVID-19新規陽性者数及び死亡者数 (2020/3-2021/7, 7日間移動平均対数=NHK)

 

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国内のCOVID-19新規陽性者数及び死亡者数 (2020/3-2021/5, 7日間移動平均線形=NHK)

 

 しかし、政府(菅義偉)や東京都(小池百合子)は、陽性者数ではなく重症者数や死亡者数で見るべきだと強弁し、国民や都民に現状を過小評価させようと躍起になっている。やれ、1月と比較して重症者数や死亡者数が何分の1だというのである。

 だが、この論法は間違っている。新規陽性者数で表される感染の波がピークに到達するまでの期間においては、重症者数及び死亡者数は、新規陽性者数に対して常に小さな数値を示すものだからである。

 今年1月は第3波で陽性者数のピークを記録した月だが、第3波は実際には2つに分かれていて、私の大嫌いな宮沢孝幸はそれを第3-1波、第3-2波と呼んでいた。宮沢は嘘ばかりテレビで言い放つ悪印象がきわめて強いが、第3波を2つに分けるのは奴にしては珍しく正しい。そして今年1月は第3-2波の感染初期から中期だったが、第3-1波の感染後期に当たっていたから、第3-1波による死亡者数が多かったのである。

 本当に現状と比較すべきは第2波の感染初期から中期にさしかかっていた昨年7月だ。

 昨年7月の国内新規陽性者数は17651人、死亡者数は39人で、見かけの致死率は0.22%だった。これに対して、今年7月は28日までで国内新規陽性者数は92837人、死亡者数は377人で、見かけの致死率は0.41%を記録している。昨年夏の第2波より今年夏の第5波の方が見かけの致死率が高いのである。

 感染の波の初期には陽性者数と比較して重症者数や死亡者数が少ないのはいつものことであって、大阪で医療崩壊が起きた第4波でも感染初期には「死者数はこんなに少ないではないか」と言い募る人士がいた。弊ブログはその実例を4月11日の記事で記録していた。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 当時、安全理論を唱えていた人間があてにしていたのは「ウイルスの弱毒化」理論だった。これは長期的には正しいが、その前にウイルスの強毒変異株がウイルスへの耐性の低い人々(や他の動物)を殺して、ウイルス自身が生き残れなくなる過程が存在したことを無視している。つまりウイルスが流行した(する)時期には「弱毒化理論」は当てはまらないのである。

 現在、安全理論を唱えている人間があてにしているのはmRNAワクチンであって、これには確かに一定の効果があるが、残念ながらその効果は長続きしない。持続は半年程度ともいわれる。つまり、新型コロナとの戦いはまだまだ続く。

 さらに大問題なのは、感染が初期から中期へと進むにつれ、重症者数や死亡者数が激増することだ。昨年8月の数字を示すと、新規陽性者数が32129人、死亡者数が287人で、死亡者数は昨年7月の7倍以上に達した。来月はそこまでは増えないのではないかと思うが、それでも今月の数倍に達するだろうし、重症者数も増えて東京都や神奈川県、埼玉県、千葉県の首都圏1都3県で医療崩壊が起きることはほぼ確実だろう。

 そして、それを助長したのは東京五輪の開催強行だった。現在の新規陽性者数は2週間前の感染の反映だから、五輪開催による人出とは直接の関係はないが、五輪開催自体が「人の流れを止めなくても大丈夫だ」とのメッセージになっている。

 その結果がこれから表れる。早ければ五輪開催期間中にも。