東京都知事・小池百合子が新型コロナウイルス感染症の「第5類」への引き下げを政府に求め、国民民主党(民民)代表の玉木雄一郎も小池の尻馬に乗っかった。また、日経新聞も同様の要求を社説に載せた。
ところが、まさにその日に新型コロナの死亡者11人が発表され、NHKのデータ*1に基づく7日間移動平均値のグラフでも死亡者数の急増が始まったことがはっきり確認できるようになった。それを以下に示す。
上記は(片)対数グラフなので、死亡者数の急増がはっきり確認できるが、テレビのニュース番組で日々示されているのはリニア(線形)プロットのグラフなので、1月8日から1月14までの7日間移動平均値3.9人、あるいは14日だけの11人という数字では、過去最大だった第4波の100人超えと比較して非常に小さいために「微々たるもの」との印象を視聴者に植えつけている。そんな背景もあって、「コロナはただの風邪」論者に安倍晋三・小池百合子・玉木雄一郎らに加えて日経までもが乗っかった、右翼と新自由主義者どもが大同団結して要求する「5類引き下げ」の圧力が強まっているのだが、彼らは過去2年のコロナ禍から何も学んでいないに等しい。彼らは指数関数的な増加の観念を未だに持っていないうえ、重症者数*2や死亡者数が新規陽性者数より遅れて増えることさえ頭に入っていないのである。どうしようもない。現時点での分類変更は考えないと既に明言している首相・岸田文雄は、こんな馬鹿者たちが発する理不尽な圧力に屈してはならない。
なお14日の新規陽性者数は22045人で、過去最多だった昨年8月20日(第5波)の25992人を超えるのは時間の問題となった。新規陽性者数7日間移動平均値の前週比は5.09倍(倍加速度2.99日)であり、これまでで最速だった1月9日、10日両日の10.0倍(倍加速度2.11日)と比較するとかなり遅くなったものの*3、まだしばらくは新規陽性者数の増加が続くことは確実だからだ。
既に菅義偉や吉村洋文らが新型コロナを甘く見て失敗した悪例を示している。GOTOキャンペーン(第3波=菅)、大阪での医療崩壊による死者続出(第4波=吉村)、東京五輪強行による感染爆発(第5波=菅)などだ。東京五輪強行には小池百合子も一枚噛んだ。岸田は彼らを反面教師とすべきであって、彼らと同じ誤りを繰り返してはならない。