昨日(8/13)、日本国内の新型コロナ新規陽性者数がついに1日で2万人を超えた。そればかりか重症者数の急増が続き、死亡者数の増加も7日間移動平均値が極小値を記録した7月28日に8.4人だったのが17.6人に倍増した。この事実は、下記竹中平蔵のツイートがとんでもない暴論であることをよく示している。
分科会が人流5割削減を求めた。しかしこれは、経済悪化による自殺者を増やす。感染が増えてもワクチン効果で死者は増えてない。病床を増やすことこそ重要。厚労大臣は3月に病床を2倍にするよう述べたが、実際には1.2倍程度。分科会は本来の役割を果たしていない。提言は、事態をさらに悪くする。
— 竹中平蔵 (@HeizoTakenaka) 2021年8月13日
上記竹中の主張が明らかな誤りであり、死亡者数が既に急増の局面に入っていることは、以下に掲載するグラフではっきり確認できる。特に一番上の対数グラフに注目されたい。感染症は拡大期にも縮小期にもともに指数関数的に振る舞うので、現象をグラフで見ようと思ったら(片)対数グラフを見るしかない。一方、現在の第5波の規模がいかに大きいかは通常の線形グラフを見ればわかる。
このような見え透いた嘘を堂々とツイートする竹中*1が菅義偉のブレーンを勤めていることは由々しき問題だ。この事実一つをとっても菅義偉内閣は可及的速やかに総辞職すべきである理由になる。
下記グラフは、NHKのデータ*2に基づく。上から順に、昨年3月以降の国内の新規陽性者数及び死亡者数の7日間移動平均値の片対数グラフ、同線形グラフ、昨年10月(第3波)以降の同週間値の線形グラフである。
一番上の対数グラフから、今回の第5波がそう遠くない先にピークアウトするであろうことが予測できる。もっとも、第3波の時にように、第3-1波のすぐあとに第3-2波が襲いかかってきて、双耳峰にはならないまでも肩を形成してさらなる大きなピークを迎えることもあるから油断はならない。しかし現段階では、8月1日に前週比2.25倍増まで行った新規陽性者数の7日間移動平均値が、8月13日には前週比1.23倍増まで落ち着いてきた。
問題は遅行指標である重症者数と死亡者数であり、こちらが頭打ちになるまでにはもう少し時間がかかる。今でさえ首都圏で事実上医療崩壊が起きているのに、今後はそれがさらに深刻化する。その状況は第4波の時の大阪府より深刻になる可能性があり、その大きな責任はIOC会長のバッハから「最高勲章」とやらを授けられたらしい日本国首相・菅義偉と東京都知事・小池百合子が負わなければならないはずだ。何しろ日頃体制寄りが目立つスポーツ紙でさえ菅と小池を痛烈に批判していたくらいだ。どういうわけか一部の「リベラル」ないし都会保守は未だに小池百合子に対して異様に甘いけれども。
先週土曜日から昨日までの新規陽性者数及び死亡者数の状況は下記の通り。
8月7日(土)から8月13日(金)までの1週間の新規陽性者数は107,920人(前週比22.7%増)、死亡者数は123人(同60%増)だった。週間の新規陽性者数は7週連続で増加し、新規陽性者数の週間値が初めて10万人を超えた。しかし、新規陽性者数の増加率は前週の69.6%から22.7%に急減した。新規陽性者数についてはピークに近づいてきたと思われる。死亡者数は2週連続で増加し、今週は先週の1.6倍の死亡者が出た。急増といえる。第5波の感染のステージは中期の前半(ピークを過ぎると中期の後半に入ると定義する)。医療崩壊の危機は特に首都圏で深刻化の度合いを強めた。
*1:竹中はむろん、自分が嘘をついていることを十分自覚しているはずだ。竹中とは、そのくらい面の皮の厚い人間なのである。
*2:https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data-all/