昨日(2/11)から3連休に入り、今日は前日が休日だったために(祝いたくもない日だったが)新型コロナの陽性者数は少な目に出るだろう。そのために「ピークアウト」をメディア等が言い出すかもしれない。しかし、現実に見られるのは検査のサチり、つまり飽和であって、嘆かわしいことに、メディア等が画面に映し出すリニア(線形)グラフまで富士山の頂上状の形が見られるようになった。NHKのデータ*1に基づいてプロットした下記グラフから確認できる。
上記のグラフは7日間移動平均値を3日分前にずらしてある。2月11日に計算される移動平均値は2月5日から11日までの平均であって、本来2月8日の値とみなされるべき値だからである。上記グラフの青線が2月8日で切れているのはそのためだ。
2月2日あたり以降、火曜日から土曜日までの5日間は新規陽性者数が増えも減りもしない状態が続いているが、これは本当の「高止まり」ではなく、検査が飽和してしまった影響とみられる。「高止まり」しているかに見える期間のうち前半には新規陽性者数は増え続けており、後半には減り始める。しかしピークがいつなのかは、グラフが明確な減少トレンドを描くようになるまでわからない。そして昨日の時点では減少トレンドはまだ見られない。昨日発表された新規陽性者数は先週の金曜日(2/4)より多かった。
問題は今日は前日が祝日だったために実際よりも少ない値になる可能性が高いことだ。その分来週の土曜日は前週比の数字が高くなる。もちろんこれらはあくまでも見かけ上の話だ。しかしテレビ報道等はこれをピークアウトに短絡しかねない。紛らわしいことに、そろそろピークアウトしそうな時期ではある。実にいやらしい。
一昨日、神奈川県の陽性率が8割を超えて同県が検査数と陽性率の数値の公表を止めたというニュースがあった。実は昨日、それに関するブログ記事を書き始めたものの中断していた。それを以下にくっつける。
以下朝日新聞デジタルより。
神奈川で陽性率8割超え、公表停止に 業務逼迫、検査数の報告遅れ
野口憲太 2022年2月10日 10時11分
神奈川県が9日、新型コロナウイルスの検査を受けた人のうち、陽性の結果が出た人の割合を示す「陽性率」の公表を一時停止した。分母にあたる検査数の報告が遅れ、陽性率が80%を超す異常事態となっていた。陽性率は全国的にも上がっている。
「検査数の把握が困難となっていますので、一旦(いったん)、検査数・陽性率の公表を停止します」
神奈川県は県内の感染状況を公表するウェブサイトで、8日付の通知を出した。9日夜には県のサイトで陽性率のグラフが確認できなくなっていた。
1カ月前は2%
県の陽性率は、7日時点の1週間平均で84・93%。100人が検査を受けたら約85人が陽性という数字だ。1カ月前の1月7日時点では2%だった。
県内では介護施設などでのクラスターや家庭内感染が増えているという。感染している可能性が高い人が検査を多く受けるため、陽性率が上がりやすい面もある。
ただ、昨夏「第5波」のピーク時でも、県内の陽性率は30%を超えることはなかった。
県の担当者は「医療機関などでの業務が逼迫(ひっぱく)していて、検査数の報告が滞っている」と話す。
県は、濃厚接触者や症状のある人が公費で検査を受ける行政検査と、陰性証明をもらうために症状のない人などが受ける自費検査の両方について検査数の報告を受けている。
陽性率はこの合計を分母、その日に報告された陽性者数を分子にして計算している。
だが、医療機関などでの検査業務が逼迫し、検査数の報告が遅れ、分母の数が実態よりも少なくなっているという。
■別の要因も…
(朝日新聞デジタルより)
引用文中青字ボールドにした部分が、見かけ上陽性率が上がったことに対する神奈川県の説明だ。簡単にいえば、陽性者数はすぐに漏れなく報告されるが検査を行ったという報告が遅れ、そのため分母の数字が小さくなって実際よりも大きな数字になってしまうということらしい。報告の遅れについてはテレビのニュースなどでも言っていた。
有料記事なので続きは読めないが、はてブコメントでその内容の一部を推測することができる。
神奈川で陽性率8割超え、公表停止に 業務逼迫、検査数の報告遅れ:朝日新聞デジタル
本文読めばわかるが、検査出来てないんじゃなくて検査数の把握が出来ないという事なので、実際に8割超えてるわけではない。そして検査キット数がボトルネックというわけでも無いことがわかる
2022/02/10 12:07
神奈川で陽性率8割超え、公表停止に 業務逼迫、検査数の報告遅れ:朝日新聞デジタル
北海道で5割越え、大阪でも5割弱の陽性率あるのでまるきりありえない数字でもないでしょ、、、。それに20%ぐらい差し引いても神奈川がヤバいことに変わりない。
2022/02/10 13:28
神奈川で陽性率8割超え、公表停止に 業務逼迫、検査数の報告遅れ:朝日新聞デジタル
計算不可なだけだった。分母が遅れて意味のない割り算になってるので、ゴミデータとして履歴に残すより、揃うまで計算しないのは当たり前だわ
2022/02/10 12:50
最後のブコメには感心できない。神奈川県の言い分に丸め込まれてしまってはダメだ。
検査数の集計が陽性者数の集計より遅れることや、それを補正した結果の本当の陽性率が60%程度だというのはおそらく事実だろう。
だが、そこから推測できることがある。それは、少なくとも検査数と陽性率の公表を止めた時点では、神奈川県の新規陽性者数は増加トレンドにあったということだ。
検査数の集計には定常的な遅れがあることは、東京都のサイト等で調べたことがあるので私も知っている。しかし、定常的な遅れはずっとあるから、新規陽性者数が増えも減りもしない時には実際の値とそう変わらないはずだ。それが20%もずれるというのは、移動平均を計算する時期の初めの方よりも終わりの方で、検査数の報告遅れが深刻になっていることを意味する。つまり、新規陽性者数が増加トレンドにある時に陽性率は見かけ上大きくなりやすい。従って、2月9日の集計分(検査自体は2月7日分と8日分が中心だろう)で見掛けの陽性率(7日間移動平均値)が8割を超えたことは、神奈川県の新規陽性者数がなお増加トレンドにあったことを示すものだといえる。
これが期間の初めより終わりの方が検査数の遅れが改善されている時、つまり感染のピークを越えて新規陽性者数が減少しつつある局面であれば、むしろ見掛けの陽性率は実際よりも低めに出るはずだ。なぜならこの場合、前の週の分としてカウントされるべき検査数が当週の7日間移動平均値の分母に加えられるからだ。
しかし神奈川県では見掛けの陽性率が急増した。これは、取りも直さず本当の新規陽性者数も相当の高率で増加していたと推測するほかない。
東京都の隣の神奈川県がこの状態なのだから、東京都で3日連続新規陽性者数が前週より少なかったからといって「ピークアウトした」とは判断できないと思うのだがいかがか。もっとも三浦なんとかという某電波芸者の場合、一昨年の宮沢孝幸と同様に既にゴールを何度も動かしたあげくに「的中させた」と言っている、との都ファ・尾島都議の指摘を考慮すれば最初から論外だろうけれども。
以上から、神奈川県がデータの公表を止めたことは全く感心できない。グラフや生データにはアクセスできる状態を保ちつつ、陽性率の数字は2日か3日遅れで出すようにすれば良いだけの話だ。
最後になったが、日本全体の2月の陽性者数は昨日で早くも先月の陽性者数を上回り、2か月連続で100万人を超えた。つまり今年に入ってからだけで200万人を超えた。また第6波による死亡者数の累計が第5波の半分を超えた。以下に前記NHKのデータに基づく新規陽性者数と死亡者数の月間値の対数グラフを示す。2月は11日間分のデータしか含まれないことに注意されたい。「惨状」の一語に尽きる。
今月の死亡者数は昨年5月に記録した2817人を上回って過去最多を記録することはほぼ確実だ。岸田政権、吉村維新府政(大阪)、黒岩県政(神奈川)、小池都政(東京)等は厳しく批判されるべきだろう。