新春のネットの記事では、三春充希氏の下記「note」の記事が良かった。以下にリンクのみ示す。
2022年最初に公開するのは、めでたくもない新型コロナの記事だ。昨年の正月休みの期間は検査数が少なかったため新規陽性者数が少なめに出て、その反動で正月休み明けに急増したが、今年は正月休みにもかかわらず新規陽性者数が急増した。以下にNHKのデータに基づく新規陽性者数と死亡者数の7日間移動平均値の対数グラフを示す。
昨年12月28日から今年1月3日までの新規陽性者数の7日間移動平均値は539人で、これはその1週間前の271人のほぼ2倍だ。昨年1月3日には7日間移動平均値が3417人で今年の6倍以上だったが、前週比は1.08倍に過ぎなかった。しかしその反動で昨年1月10日には前週比1.84倍を記録し、これが第3波でもっとも前週比新規陽性者数の増加率が高い日になった。第6波は昨日で1.99倍を記録したから、昨冬の第3波よりも感染力が強いことは早くも証明された。
過去の他の波と比較すると、一昨年夏の第2波が2020年7月4日に新規陽性者数前週比2.28倍を記録している。これに次ぐのが昨年夏の第5波で、2021年8月1日に新規陽性者数前週比2.26倍を記録した。第2波は感染力は強いが毒性は弱かった。第5波(デルタ株)はワクチンの接種があったためにそれまでの波と比較しての毒性はよくわからないが、この時には毒性そのものよりも東京五輪の開催強行が感染拡大後押ししたと思われる。どちらの場合も感染のピークは倍加速度が最大になった時期よりもずっと遅く、第2波の場合は倍加速度最大値の36日後の2020年8月9日、第5波の場合は同24日後の2021年8月25日にそれぞれ新規陽性者数の最大値を記録した。
今回の第6波は今後もまだ倍加速度の最大値を更新する可能性が高い。これまでの5回の波でPCR検査のキャパシティが増えたことや、コロナの側に立つ悪性を強行していた菅義偉が退陣した好影響もあって、現在では無症状の人のPCR検査が行われるようになり、それで東京や大阪での検査数が昨年より増えたために正月休みの検査数減少が昨年ほどではなかったとも考えられるが、神奈川県などでは年末年始に新規陽性者数が少なめに出ていた。つまり全国的にはやはり年末年始の休みの期間に検査数がかなりの程度減っていたと思われる。従って、倍加率は今日(1/4)の検査結果が反映される明日以降、さらに急増して第2波や第5波の記録を更新することはほぼ確実と思われる。そして新規陽性者数のピークはその1か月ほどあとになると考えるべきだから、2月頃に来ると思われる第6波のピーク時の新規陽性者数が、1か月ほど前の「底」の数値からは想像もできない多さになっても不思議はない。
問題はオミクロン株の毒性であり、低い可能性が強いといわれているが現時点では何もいえない。感染の波の初期には死亡者がほとんど出ないので楽観論が出やすい。過去には強毒株だったアルファ株による第4波で医療崩壊が起きた大阪で、その第4波が立ち上がった頃に「死者数の伸びが以前と違って全然伸びてない」と書いた下記のツイートを発信して大恥をかいた人間がいた。
感染者数と死亡者数の乖離を見て。
— 佐藤(差等補助)亜美 (@qmFvxJEhEZ6IoHg) 2021年4月11日
死亡者数の伸びが以前と違って全然伸びてないのに、なんで緊急事態宣言が必要なん❓
ウイルスは変異を繰り返して弱毒化するのは定説中の定説。
大阪の飲食店や経済を破壊するのは維新の望み通り❗
何を一番恐れるべきか、よく考えてみて🙏😭❗
上記ツイートへの批判は、昨年4月11日に公開した下記記事に書いた。
その後大阪で実際に起きたのは医療崩壊であり、首都圏では第3波よりも大きくならなかったこの時の第4波によって大阪では多数の死者を出し、新型コロナの死亡率が全国最悪になった。それにもかかわらず秋の衆院選で日本維新の会が躍進するという不可解な結果になり、そのせいでが日本の政治の前途に暗雲が立ちこめているのが現状だ。
オミクロン株の毒性は、アルファ株やデルタ株よりも弱い可能性があるとされてはいるがはっきりした結論はまだ出せないし、毒性が弱くとも感染力が強いために医療崩壊が起きる可能性もある。
新規陽性者数急増を伝えるYahoo! ニュースなどを見ると、またぞろ「コロナはただの風邪」系の論者たちが幅を利かせているが、何度同じ目に遭ってもいっこうに学習しようとしない人たちだなあと呆れる他はない。
また日本でワクチンのブースター接種が遅れていることも問題だ。もっと早く動くチャンスはあったが「正常化バイアス」によって遅れてしまうのはいつも見られることだ。岸田文雄政権のコロナ対応は最低最悪だった菅義偉政権はいくらかマシかもしれないものの、決してほめられたものではない。