朝日新聞デジタルの有料記事より。
記事の無料部分を以下に引用する。
「仕事が回らない」 厚労省が「キャリア官僚」募集 若手らの離職で
中村靖三郎 2022年11月11日 16時10分
「若い人が辞めて仕事が回らない」――。若手・中堅職員の離職が相次ぐ厚生労働省が11日、独自に総合職(キャリア)相当の職員の中途採用に乗り出すと発表した。民間企業や官公庁などで7年以上の経験がある人が条件。5人程度を想定し、2023年4月の採用を予定する。
募集するのは幹部候補の「キャリア官僚」と呼ばれる総合職相当の課長補佐級。30~40代が中心の役職で、省が独自に中途採用するのは初めてだという。12月8日まで応募を受け付け、論文試験や面接などで選考する。
募集に踏み切る背景には、若手や中堅職員の離職がある。同省は離職者数を明らかにしていないが、幹部の一人は「この3年ぐらいで顕著になっている」。元々、長時間勤務が指摘される中で、コロナ禍も重なり、若手だけでなく「最近は40歳ぐらいまでの中堅も辞めていて、大変痛い。やらなければならない、いろんな仕事を犠牲にしている」(幹部)という。
人事院が今年5月に公表した…
(朝日新聞デジタルより)
この件は端的にいって、公務員の人員や給与の押し下げ圧力があまりにも強まったため、官僚の仕事がノルマばかり多い一方、かなりの年齢にならなければ給与が低く抑えられているため、苛酷な労働環境に耐えられなくなった官僚が次々と辞めていき、残った官僚たちはより厳しい環境に置かれていると解するべきだ。
しかるに、公務員の給与を引き上げる法案に自民・公明・立民・共産は賛成したものの維新と零細新選組は反対した。新選組の反対理由は法案に書かれた給与の上げ幅が小さすぎるためという理由だが、政治は結果で評価されるため、「新選組は維新とともに公務員の給与を引き上げる法改正案に反対票を投じた」という結果だけが残る。
この記事を知ったのは、はてブのマイページに下記ブコメをみつけたからだ。
「仕事が回らない」 厚労省が「キャリア官僚」募集 若手らの離職で:朝日新聞デジタル
ブコメでここまで10年前での官僚バッシングの政治への言及が一言もないのは驚く。当時は世論の9割が官僚人件費削減を支持していたのに、厚労省の自業自得みたいな意見もあってひどすぎる。
2022/11/12 21:34
10年前は2012年だが、その数年前の政権交代の直前に当たる2008年頃から官僚バッシングは猖獗を極めていた。印象に残っている言い草として、「官僚主導から政治主導に転換することが『政権交代』の大きな意義だ」というのがある。2009年の政権交代はその潮流に乗ったものだ。
民主党政権が失敗した大きな原因の一つは、この「官僚主導から政治主導へ」の新自由主義的転換がうまくいかなかったことだと私は考えているが、それに対する反省はほとんどなされていないのではないかというのが弊ブログの見解だ。だからdongfang99氏のような観点からの批判がほとんど出てこない。
なお、泉健太が党代表になって以来維新に大きくすり寄っている立民は、かつて政権交代を実現させた頃の「夢をもう一度」と夢想しているようにしか私には見えない。そんなのは再現不可能な話だ。
現実の維新はというと、自公民共が賛成した公務員の給与引き上げ法改正案に零細新選組とともに反対する政党なのであって、自民党と比較してもより新自由主義(ネオリベ)的政党である点に関して、かつてと全く変わらない政党と見なければならない。
以下は蛇足。
上記の観点から大いに疑問を持ったのが、下記まことん氏(社民党員)のツイートだった。
立憲民主党が「維新」と急接近しているように見えるのも、情勢の変化なんですよね。選挙で立憲野党は負けているのに、「古証文」を叩きつけても、立憲も、その後ろに居る有権者も靡かないでしょう。「われわれ」がどう政治的な力を付けて、政局を動かすのか、じゃないですかね。問われているのは。 https://t.co/ZB8ORHPRhY
— まことん┃積立てる中年 (@makotonch) 2022年11月11日
それは果たして、情勢に変化によって立憲民主党が「維新」と急接近しているように見えるだけなのだろうか。新自由主義的傾向を強く有するメディア等の口車に乗って、泉健太が唱道する括弧付きの「現実路線」を選んでしまった立民に対する直接的な批判が今こそ必要なのではないだろうか、それはたとえ「政治的な力を付け」る前であっても堂々と意見を表明すべきものなのではないだろうか。そう思ってまことん氏のツイートをリンクしようとしたところに、氏のTwitterアカウントが社会新報にブロックされたらしいことを伝えるツイートに遭遇してしまった。そこから今日最初に公開した記事が生まれた。