kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

岸田文雄は衆議院を解散しないらしいが‥‥

 岸田文雄はどうやら衆議院を解散しないらしい。

 永田町では自民党が220議席しかとれない惨敗になるとかいう怪文書だか怪情報だかが流れたらしいが、数字を見る限り明らかなガセネタであって、選挙をやれば間違いなく野党票分散による「漁父(ぎょほ)*1の利」を自民党が得る結果になったに違いないが、それは回避された。私が思い出すのは2008年秋に麻生太郎自民党内に「羽交い締めにされて」解散を阻止されたことだ。党内の強烈な反対に阻止されたと思われる点では酷似している。但し自民党議員たちの思惑は2008年とは異なる。2008年には衆院選をやれば必ず負けると思ってそれを先送りしたものだったが、その結果はさらに極端な大惨敗になった。今回は、岸田に勝たせて政権を長続きさせたくないから「党内世論調査」結果をでっち上げてまで無理矢理に岸田を説得したのだろう。岸田はもともと安倍晋三の靴を舐め続けた小心者だから、周囲の圧力に抗しきれなかったものに相違ない。

 いずれにせよ、まずはほっと一息つける。右バネがますます強まったことが明らかになった立民と、家父長主義とも呼びたくなるくらい権威主義が極端に強まりつつある共産の両党には「変わる」チャンスが残された。だが共産については24・25両日に開かれる8中総(第8回中央委員会総会)で何かがあるとは思えないから何も期待できないだろう。

 立民も、泉体制のままでは全く期待できないし、中長期的には泉のような「希望の党」系の代表を据え続けた場合には岸田が連立の相手を公明から立民に切り替える「大連立」の誘いをかけた時に乗りかねないから、早く旧立民系の新執行部に代えるに限る。しかし泉支持を強めるインフルエンサーなどもいるから *2泉体制を崩すのは非常に困難だろう。

 わずかに救いを見出すとすれば、昨日も菅直人引退の話に関連したツイートを取り上げた、立民リベラル系の山岸一生衆院議員に非常に近いらしいもんくま氏の下記のツイートくらいだろうか。

 

 

 共産党との連携については泉健太が「各県連、各選挙区の総支部長の判断を尊重する」と言えば良いだけ。それが言えないのであれば泉は代表を下りよ。もんくま氏はそう言っている。

 その通りだと私も思う。そして泉にはそれが言えないに決まっているから一日も早く立民代表を退けと弊ブログは書き続けている。

 しかし、泉の擁護に固執するインフルエンサー氏は「共産党東京18区菅直人に刺客を立てるのか」といきり立っている。私には全く理解できない。

 兵庫県在住のバファローズ*3ファンであるぷろもはん氏もインフルエンサー氏には大いに困惑しているようだ。

 

 

 

 

 もちろん私はぷろもはん氏が正しく、インフルエンサー氏が間違っていると思う。

 上記連ツイから派生した氏のいくつかのツイートから、問題の核心を突いた下記ツイートをピックアップする。

 

 

 そう、それに尽きる。そして、泉健太はその芯を持っているのかが問われなければならない。私の答えは「否」だ。なぜなら泉は少し前に維新にすり寄った時、維新の政策は立民とそんなに差はないと言っていた。そんな泉に新自由主義との訣別の意思があるとは私には思えない。そういえば、上記のように泉にすり寄られた維新の馬場は「その通りですよね」などとは決して言わなかったんじゃなかろうか。馬場は内心、鴨がネギ背負ってやってきやがったな、とほくそ笑んでいたに違いない。

 このところ、立民のサイトの「総支部長」のページで各選挙区の総支部長の名前が増えていくのを見ていたが、大阪府は3区以外誰もいない。あと二十何区だかに比例復活した議員が1人いるが、その2つの区以外は相変わらず総支部長不在なのだ。これは泉が未だに維新との「共闘」に未練タラタラであることの反映ではないかと私は勘繰っている。

 また私の地元である東京15区も決まっていない。最近また原武史の本を読んだが、原氏は前回の参院選東陽町近くの西友に井戸まさえ氏の応援に来たらしい。その時の印象を「(地下鉄の駅は)地上駅のように、駅前が人々を集める公共空間になりにくい」「地上の駅前に相当する公共空間があればよいのにと思った」*4と書いている。

 

publications.asahi.com

 

 井戸氏は東京女子大関西学院大の非常勤講師も務めているそうだが、そのどちらかでかはわからないけれども、つい先日も「政治とジェンダー」の講義に原氏を呼んで「天皇制・皇后」の観点から特別講義をしてもらったようだ。

 

 

 おそらく原氏は貞明皇后をはじめとする皇后について熱弁をふるわれたものだろう。氏の大著『皇后』(講談社学術文庫)を読んだのは4年前だったが、皇室に迎え入れられた時には「産む機械」扱いしかされていなかった貞明皇后が、長男である昭和天皇の頭が上がらないまでの皇室内権力者に実力でのし上がった生涯の印象はまことに強烈で、それまで好戦的な人物としてネガティブな心証しか持っていなかった貞明皇后への印象を一変させるとともに、微温的だった私の天皇制観*5をも明確な反天皇制へと転換させた。

 

bookclub.kodansha.co.jp

 

 その原氏も東京15区の立民公認候補が誰になるかを大いに気にしているのではないだろうか。

 東京15区といえば自民党柿沢未途議席を持っているが萩生田光一の受けが非常に悪く、柿沢もまた総支部長に未だに任命されていないらしい。萩生田は東京15区に現参院議員の丸川珠代を送り込むぞ、などの恫喝もしたらしいが、自民党はどうでも良い。

 共産は既に34歳の若手・小堤東の公認を既に決めている。もともと2021年の衆院選に立候補を予定していたが、東京4区共産党候補を野党統一候補にするために小堤氏が降り、井戸氏が4区から野党統一候補として15区に移ってきたという経緯だ。柿沢は無所属で立候補し、ポスターに谷垣禎一の推薦文を載せるなどして自民党入りの野望をぎらつかせていた。そして衆院選に圧勝して自民党入りを果たしたものの萩生田から睨まれたわけだ。なにしろ都連が応援したのは愛知県から引っ張ってきた極右の今村洋史で、この人選は間違いなく萩生田の差金だったのだろうが、柿沢に全く歯が立たなかった。そしてこの柿沢こそ泉健太に近い立ち位置の人間なのだ。なにしろ二人とも元希望の党の人間である。

 そんな経緯があるから私は定期的に立民の総支部長の一覧をチェックしている。しかし、以前泉支持者のnaoko氏が希望的観測を下記Twitterに書いたような進捗は今のところ見られない。もう5か月以上にもなるのだが。

 

 

 私には泉は「冷遇するような人にしか見えない」のだが、果たしてどうなるか。

 なお私は立民が井戸氏を公認するなら井戸氏に投票しようと思っているが、立民が候補を差し替えるようであれば、止むなく小堤東にでも投票するしかないかと思っている。

*1:「漁夫(ぎょふ)の利」ではなく「漁父の利」が本来正しいが、現在では「漁夫の利」がすっかり定着してしまった。https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1189019651

*2:ネットのあの人などがそうだ。実名でTwitterをやっている左派系の学者が泉を支えているのだから、その影響力は決して無視できない。弊ブログを含む匿名の発信者たちとは全く違う。

*3:昨夜の阪神戦での9回表の逆転劇は痛快、おみごとだった。一昨年、昨年と敵地で連続3タテを食わせたソフトバンクに本拠地で3タテされたスワローズとの地力の大差を感じた。

*4:『歴史のダイヤグラム』〈2号車〉』(朝日新書2023)124,125頁

*5:私は天皇制を「必要悪」とみなして妥協していたのだった。