kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「長周新聞を参考文献に挙げるとそれだけで信用性をなくしますよ」(宮武嶺氏)/『長周新聞』の記事はなぜ信用できないか

 松本清張の作品に、登場人物全員が極悪人という小説がある。『わるいやつら』という作品はその典型例だが、それにとどまらずいくつもある。

 週初めの日曜日に放送されたサンデーモーニング(TBS)の冒頭で、プーチンプリゴジン、それにベラルーシのルカシェンコが出てくる醜悪なニュースを見て思い出したのは、そうした清張作品の数々であって、ニュースの原稿を読み上げさせられた杉浦みずきに同情してしまうほど、プーチンプリゴジン、ルカシェンコの3人は醜悪だった。

 周知の通り、プリゴジンプーチンの「汚れ仕事」を引き受けていた。プリゴジン自信が強盗などの前科を持ち、長い刑務所暮らしを経験した上に、自らの軍事会社(それはロシア国内でさえ違法の存在だ)にヒトラーが信奉した反ユダヤ主義のドイツ民族主義者だった大作曲家・ワーグナーの名前を冠したネオナチだが、アフリカ各地でロシアの正規軍にはできない悪事をやってきたので、プーチンプリゴジンを切ろうにも切れないのものと思われる。まさに究極の「絶対悪」。辻政信の比ではない極悪人、それがプーチンの正体だろう。しかしなぜかそんなプーチン山下泰裕森喜朗橋下徹鈴木宗男山本太郎らは敬愛する。間もなく没後1年になる安倍晋三プーチンに心酔していた。彼ら「力の信奉者」たちにとってプーチンは憧れの人なのかもしれない。

 ウクライナ戦争については、宮武嶺氏のエブリワンブログの記事が注目される。最新の記事は下記。

 

blog.goo.ne.jp

 

 ロシアの前大統領・メドベージェフはプーチン直系のこれまた極悪人だが、そのメドベージェフが発した核兵器使用の脅しに、1945年にアメリカが広島と長崎に原爆を投下したことを引き合いに出した。これに宮武氏が激怒した。

 その少し前の下記記事については、弊ブログに取り上げようと思いながらなかなか時間がとれなかった。

 

blog.goo.ne.jp

 

 6月29日に公開された下記記事には18件のコメントがあり、そこではなんとブログ主の宮武氏とコメンテーター氏の意見が激突している。

 その中で注目したのは、コメンテーター氏がリンクした『長周新聞』の記事について、ブログ主が

長周新聞を参考文献に挙げるとそれだけで信用性をなくしますよ

と書いたことだ。これにコメンテーター氏が強硬に反論したが、私は当然ながら宮武氏に軍配を上げる。

 理由は大きく言って2つある。

 まず、なんといっても『長周新聞』が「日本共産党(左派)」を名乗る、日本共産党から今年話題になった「分派」の認定を受けた新左翼セクトの事実上の機関紙であることが挙げられる。

 日本共産党(左派) - Wikipedia には、そのリファレンスとして、『自主独立の旗のもとに - 山口県における毛沢東盲従反党分派との闘争二十五周年にあたっての思い出』 (記録集刊行委員会編 日本共産党山口県小郡町)1991年9月)が挙げられている。逆算すると分派認定は1966年に行われたことになる。「毛沢東盲従反党分派」とのことだからマオイストの集団、中国では「毛左」と呼ばれる極左であると認められる。連中がウクライナ戦争で親露のスタンスを明確にするのは、おそらく最大の政敵である日本共産党ウクライナ戦争で反露の立場をとっているために、その「逆張り」をしているからだろう。そんな長周新聞が山本太郎新選組と親和性が高いのも道理だ。

 共産党の方もそんな分派の機関誌に応援された山本太郎元号政党に2019年に志位和夫がすり寄るなど、問題の大きな行動をとったことがあるから手放しで礼賛はできないが、少なくとも長周新聞の記事がバイアスが大きくかかった立場から発信されていることは大きな問題だ。だから私も、長周新聞の記事を論拠にするような人間は最初から「全く信頼できない論者だ」とみなす。コメンテーター氏は朝日や産経についての右翼と左翼の言い合いを引き合いに出すが、その議論も無理筋であって、朝日には駒木明義氏(論説委員)というモスクワ特派員を長年務めたその道の第一人者がいる。産経に駒木氏と張り合える人がいるかどうかは知らないが、少なくともコメンテーター氏の主張は朝日及び駒木記者に失礼にあたるだろう。

 長周新聞の記事が信用できないもう一つの理由は、長周新聞社はおそらくウクライナにもロシアにも、それどころかヨーロッパにも特派員を置いたりはしていないだろうと思われるから、当然海外について報じる長周新聞の記事は「二次ソース」に過ぎず、然るべき一次ソースがあるはずだと思われるにも関わらず、同紙の記事の多くはそれを明示していないことだ。これでは信頼せよと言う方が無理で、単なるアジビラとしか認められない。

 ウクライナ戦争の記事でもっとも悩ましいのは、信頼できるソースか否かをなかなか判別できないことだ。そんな中で私が小泉悠氏を買うのは「ミリオタ」から出発してロシア人の妻を持つが故に、ミリオタならではの事実重視の態度に加えて、バランスのとれた視点を持っていると思われるからだ。

 宮武氏のブログ記事に小泉氏の著書のサイトへのリンクが張られていることも心強い限りだ。