やはりそうなったかとしか思えない。つい数か月前の岸田内閣支持率回復機に、私は上がり続けている内閣支持率も再び下落に転じ、そうなったら再浮上はしないと予測し、そのことを何度も弊ブログに書いたからだ。
現状に産経新聞が焦っているようだ。はてなブックマークの「マイページ」筆頭に下記記事が表示された。かつての産経にはほとんどなかった有料記事だ。
以下無料部分を引用する。
LGBT法で岩盤支持層離反か 自民党支持率下落
2023/7/25 19:56
奥原 慎平
報道各社の世論調査で自民党の政党支持率が落ち込んでいる。マイナンバーカードを巡る混乱などだけでなく、先の国会で成立したLGBTなど性的少数者への理解増進法の影響で「岩盤保守層」の離反を招いたとの見方が根強い。日本維新の会が保守色をアピールして勢力を伸ばす中、自民内で保守層の支持離れへの警戒感が高まっている。
「自民党の支持率が下がっているというより、『支持政党なし』が増えているのが全体の結果ではないか」。自民の茂木敏充幹事長は25日の記者会見で、世論調査について聞かれ、こう述べるにとどめた。
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が15、16両日に実施した合同世論調査で、自民の支持率は31・4%と前月から2・8ポイント下落。岸田文雄政権としては1月の31・4%に並ぶ最も低い水準となった。朝日新聞や毎日新聞が今月行った調査でも30%を割り込んでいる。(以後有料)
(産経ニュースより)
URL: https://www.sankei.com/article/20230725-OVLJTPTN2BOH7FONWO4NJ3MGYA/
肝心の
先の国会で成立したLGBTなど性的少数者への理解増進法の影響で「岩盤保守層」の離反を招いたとの見方が根強い。
とする部分の根拠が有料になっているようだが、こちらとしては大歓迎だ。現実離れした産経の妄論を目にしなくても済むからだ。
記事についたブコメを1件リンクする。
LGBT法で岩盤支持層離反か 自民党支持率下落
“LGBTなど性的少数者への理解増進法の影響で「岩盤保守層」の離反” あれ骨抜き法だと思うけど、あれが支持離れの原因だとしたら、自民の岩盤支持層は統一教会ですって言ってるようなもんでは笑
2023/07/26 19:34
実際には、ようやく日本国民のかなりの部分が「暮らしが全然良くならないのは長年の自民党政治のせいだ」と気づいたためではないかと私は考えている。
でも、長年の自民党的なものにすがる惰性力は今なお強い。だからこそ維新が「我こそは第2自民党なり」と力説するわけだ。わが党は「立憲共産党」なんかと違う、健全なオルタナティブ(代替)の選択肢ですよと国民にアピールしているわけだ。現在の30〜50代の人々の間では、維新のこの主張にもう結構長い間慣れ親しんできたから一定の説得力があると見えて、維新の政党支持率はこの世代で高い。しかしそれより下の年齢層では維新も見放されつつある。これはまずい、早いうちに野党第一党になって既成事実を作り上げ、若年層にもアピールしなければならないとみて、維新は立民に対する攻勢を強めているわけだ。その維新をアシストしたも同然の立民・泉執行部の責任は極めて重いと私は考えている。だからこそ泉執行部は一日も早く退陣すべきなのだ。
その第2自民党である維新と本家の第1自民党との違いは、第2自民党が新自由主義への傾斜が特に強いのに対して、第1自民党は統一教会(協会)を含む宗教右派が強い影響力を行使できる時代錯誤的な復古的極右政党色が強いところにある。
だが、そんなアナクロな特徴に惹かれるのは高年齢の人たちが多く、その数は確実に減りつつある。だからネットでもネトウヨはずいぶん減った。
だから、LGBTなど性的少数者への理解増進法の影響で「岩盤保守層」の離反を招いたとする産経や玉木雄一郎や弊ブログの某コメンテーターの主張は誤りだ。彼らは「そうであってほしい」という願望を語っているに過ぎない。とりわけ、一時首都圏などで支持を拡大していたらしい民民・玉木の政局音痴ぶりはどうしようもない。玉木は極右の積極財政派の人たち、たとえば山本太郎が高く評価していた新党くにもり(代表は「チャンネル桜」で悪名高いあの水島総)の安藤裕みたいな行き方で支持がつかめると思っていたのだろうが、そうはいきそうにない。民民代表選では「極右+大きな政府」路線をとりたいであろう玉木と、維新に非常に近い新自由主義一本槍の前原誠司との争いになるともみられているが、果たしてどうなるのだろうか。両人とも百害あって一利なしの政治家であることはいうまでもない。一時「来ていた」民民への流れもどうやら去りつつあるのではないだろうか。
そして、おそらく次に見限られるのは新自由主義だ。自民党が長年続けた新自由主義政策のせいで、日本は格差が大きい国となり、かつてあれほど猛威を振るった日本人海外旅行客がほとんどいなくなったとの話を昨日もYahoo! JAPANで見た。
はてブは配信元のオリジナルの方が多い。
大した記事ではないので引用はしないが、私の目を引いたのはヤフコメだった。そうだそうだ、というコメントが圧倒的に多かったのだ。
そりゃ日本では何十年も物価も上がらなかったが賃金も上がらず、その間日本社会の格差は拡大する一方だったからそうなるに決まってたじゃないかとしか私には思えない。
私は30年前に仕事でアメリカ西海岸に2か月間滞在していた。時期は9月初めから10月いっぱいまでで、蒸し蒸しした日本から湿度の低いカリフォルニアに移動して、夜はなんて快適なんだと思った。そりゃ大谷翔平がアナハイムを選んだのも道理だ。だいたい野球というのは投手の負担が野手と比較してアンバランスに重い競技で、だからこそ投手は何日かに一度しか試合に出られないのだが、湿度の低い西海岸だとそれだけ試合での疲労度も少なく回復も早いだろう。彼の「二刀流」が成功したのにも西海岸の気候が大きく寄与していると思う。だからかつて日本プロ野球で読売軍を応援していたであろう日本の年配の野球ファンたちが彼の某東部球団への移籍を熱心に望んでいるのを見ると「バッカじゃなかろかルンバ♪」としか思えないのである。大谷は日々「できるだけ余計な動きはしない」ことを心がけ、睡眠時間を長くとるようにしているという。彼はMLBのホームラン王という快挙の達成のためには生活の他の全てを犠牲にする求道者的な生き方をしているように私には見える。それが、たとえばニューヨークへの移籍にもなれば、引越しだけでもたいへんなストレスなのに、気候は悪いわファンやマスコミはうるさいわ、試合への出場スケジュールも希望通りにならないことが多いことが確実に予想されるわでは良いことは一つもないことは目に見えている。例の「ヒリヒリした9月」にしても、あの球団は2009年のワールドシリーズ優勝でMVPに輝いた松井秀喜をそのオフに放出して以来、一度もワールドシリーズに出場していない。あれを私は「ゴジラの呪い」だろうと思っている。以上のような状況だから、大谷には今のチームで勝とうとの思いが非常に強いであろうことは容易に推測できる。だから大谷は一時期、リードされた終盤になるとホームランを打った。それがあの球団を何年ぶりかで3タテしたことにもつながった。彼はよほど今のチームに残りたいんだろうなと思った次第。その大谷のシーズン中の移籍があるかどうかは来週確定する。
野球の話はともかく、1993年当時にはアメリカの物価はなんて安いんだろうと思った。でも30年も日本の物価も賃金も上がらなければ、そりゃ海外旅行にも行けなくなるだろう。当たり前のことだ。
ヤフコメの中にも時代錯誤なものもある。下記はその例だ。
1955年生まれ
ニュージーランドやタイに遊びでよく行くのですが、誰かが書いているように低所得層はファストフードしか食べられないという事象をNZでは強く感じます。NZの最低賃金が一律時給20$程度ですが、夜ご飯は最低でも20$以上・・日本円にすると最低でも1700円以上となります。
どうやら最低時給と夜ご飯の価格には相関があるのではないかと感じました。日本はせいぜい時給1000円でそれでも食事できるのですし
タイでは現地の方よりは高い飯を食べていますが、例えばダイブクルーズとか様々な遊びの価格が以前に比較して高くなったと感じます。これはNZも同じです。チョッとした遊覧ヘリの料金が1000$(=8.5万円)とか。もう利用は無理です。
いっぽうユーロ圏などからやってくる旅行者はそう感じていないようです。ここでも円の相対的な価値の下落を感じます。実際プーケットなどで見る日本人観光客はずいぶん減りました。
URL: https://news.yahoo.co.jp/profile/comments/16903395121508.185f.00046
この人は1955年生まれというから67歳か68歳なのだろうが、2007年に北九州で起きた「おにぎり食べたい餓死事件」を知らないのだろうか。
上記リンクは2007年8月の記事だが、餓死が報じられたのは同年7月11日だった。すでに今から16年前に、日本は「低所得者はおにぎりも食べられない」国になっていたのだ。ちなみに、2007年の7月末には参院選があって、小泉純一郎と竹中平蔵が推進した苛酷な新自由主義政策に対す有権者の怒りが、小泉政権を継承した安倍晋三を直撃し、安倍を同年9月の退陣に(一度は)追い込むきっかけになった。
そもそも日本はニュージーランドよりも格差の大きい国だ。
先々週の週末に買ったトマ・ピケティの『自然、文化、そして不平等』(文藝春秋2023)に載っている2022年の「上位10%の所得がその国の所得全体に占める比率別の世界地図」(同書19頁)を見ると、ニュージーランドはオーストラリアとともに、北欧やフランス、スペインなどと並んでもっとも比率の低い「21〜35%」に属していた。日本は5段階で3番目の「42〜47%」であり、これはアメリカやロシアと同じだ。韓国とも同じである。また「下位50%の所得がその国の所得全体に占める比率別の世界地図」(同書22頁)を見ても、ニュージーランドはオーストラリアとともに、北欧やフランス、スペインなどと並んでもっとも比率の高い「19〜29%」に属しているのに対し、日本はアメリカや韓国の「14〜16%」よりはマシとはいえ、こちらもロシアと同じ「16〜19%」に属する。つまり、日本が「平等な国」だというのは大昔のイメージに過ぎず、今の日本は堂々たる「格差大国」なのだ。そしてその格差をさらに拡大しようとする政党が日本維新の会だ。これでは2017年に労働党政権になったニュージーランドとの差は広がる一方だろう*1。
それにもかかわらず、こともあろうに「就職氷河期世代」の人たちが維新を野党第一党に押し上げて政権をもうかがわせようとしているかに見える。今は朝日も毎日もその世代の人たちが社の中心にいる。しかも(産経ならともかく)朝日新聞社に入社できたような人など「勝ち組」に決まっているから、今の朝日は2010年代初頭には考えられなかったような「維新びいき」になってしまっているようだ。
話が復古的極右志向の産経批判から、ネオリベ維新への迎合を強める朝日批判に変わってしまったが、今日も長くなったのでこれで終わりにする。