大きな自然災害と人災*1で2024年が明けてしまった。
能登半島には1983年と2005年の二度、金沢にはその二度に加えて2006年に行ったことがあるが、能登半島が地震の巣であることは常識だろう。地震によってイレギュラーな隆起が度々あったからこそああいう地形になっている。それは四国・愛媛県の伊方原発がある佐田岬半島も同じで、同原発のすぐ近くには中央構造線活断層活断層帯があり、南海トラフによる巨大地震の想定震源域に含まれている。
能登半島にあり、今回の地震で唯一「震度7」と発表された志賀町(しかまち)には北陸電力の志賀原発がある。同原発1号機は1993年に運転を開始したが、1999年6月に国内初の臨界事故を起こした。また同2号機は2006年に運転を開始した。いずれも2011年の東日本大震災・東電原発事故以来一度も稼働していない。森喜朗の息がかかった御用新聞(極右紙)として悪名高い北國新聞にはそんな状況が不満らしく、昨年にも再稼働を求める地元財界の声を記事にしている。下記にリンクを張るが、「無断転載・複製を禁じます」などと書かれているので記事の引用はしない(したくもないが)。
経団連の十倉会長も昨年11月末に志賀原発の再稼働を求めていた。こちらの記事を引用する。
11月28日 19時00分
石川県を訪れている経団連の十倉会長が志賀原子力発電所を視察し、「早期の再稼働を期待したい」などと述べ、電力の安定供給に向けて原子力の活用は重要だという認識を示しました。
経団連の十倉会長は、28日、志賀町を訪れ、北陸電力が再稼働を目指している志賀原子力発電所2号機を視察しました。
十倉会長は、事故が発生した際に社員らが対応にあたる緊急対策棟に入り、津波の被害を受けないよう高い場所にあることや、独立した電源でテレビ会議を行えることなどについて説明を受けていました。
2号機の再稼働に向けた原子力規制委員会の審査をめぐっては、ことし3月の会合で、敷地内を通る断層が活断層ではないとする北陸電力の主張が妥当と判断され、次のステップに進んでいます。
視察を終えた十倉会長は記者団に対し「再稼働に向けた審査の途中ではあるが、志賀原発についての安全への意識や努力を直接みることができた」と述べました。
そのうえで十倉会長は「エネルギー安全保障の問題もあるので早期の再稼働を期待している。原子力のエネルギーは人類の英知であり、安全安心に科学の力を生かしていくことが大事だ」などと述べ、電力の安定供給に向けて、原子力の活用は重要だという認識を示しました。
(NHKニュースより)
URL: https://www3.nhk.or.jp/lnews/kanazawa/20231128/3020017144.html
今回の地震でその志賀原発はどうだったか。以下NHKニュースより。
志賀原発 外部電源一部使えず 安全上重要な機器の電源は確保
2024年1月2日 19時16分
北陸電力によりますと、1日に震度7の揺れを観測した石川県志賀町にある志賀原子力発電所では、外部から電気を受ける系統が現在も一部使えない状況が続いています。
ほかの系統で電気を受けるなどして安全上重要な機器の電源は確保されているということで、北陸電力が復旧の進め方を検討してます。
配管が壊れて絶縁や冷却のための油が漏れ出す
志賀原発では、1号機と2号機がいずれも長期間運転を停止していますが、2日に記者会見した北陸電力によりますと1日午後4時10分ごろの地震では、1号機の原子炉建屋地下2階で震度5強相当の揺れを観測したと発表しました。
揺れの大きさを示す加速度は水平方向で336.4ガル、鉛直方向で329.9ガルで、それぞれ東京電力福島第一原発の事故の前に想定していた水平方向で最大600ガル、鉛直方向で最大405ガルを下回っていました。
地震による影響で、1号機と2号機で外部から電気を受けるために使われている変圧器あわせて2台で、配管が壊れて絶縁や冷却のための油が漏れ出したということです。
漏れた油の量は1号機側が3600リットル、2号機側で3500リットルに上るということで、これらの変圧器を使う系統では、現在も、電気が受けられない状況が続いています。
1号機、2号機ともにほかの系統を使って外部からの電気を受けているほか、非常用のディーゼル発電機も7日分の燃料が確保されているということで、安全上重要な機器の電源は確保されていて、核燃料を貯蔵している使用済み燃料プールの冷却にも問題はないということです。北陸電力が復旧の進め方を検討してます。
使用済み燃料プール 水が一部床面にあふれ出る
また会見では、1号機と2号機の使用済み燃料プールで放射性物質を含む水が床面にあふれ出たことについて、あふれた量は1号機が95リットル、2号機は326リットルだったと明らかにしました。
いずれも建物内にとどまっていて外部への影響はないということです。
このほか、津波については水位の変化を監視していたものの、有意な変化は確認されなかったということです。
石川県志賀町にある志賀原子力発電所では、1日の地震の影響で外部からの電気が一部の系統で受けられなくなっていますが、北陸電力はトラブルの原因となった故障した変圧器の写真を公開しました。
このうち、1号機の変圧器を撮影した写真には、絶縁や冷却に使われた油の熱を放出する「放熱器」と呼ばれる設備から、大量の油が漏れて地面に流れ落ちている様子が写されています。
油は変圧器の周りの地面に広がっていて、北陸電力によりますと、1号機の変圧器からは3600リットルが漏れ出たということです。
また、2号機の変圧器本体と放熱器をつなぐ配管のつなぎ目が写っている写真では、油が漏れ出たあとが確認出来るほか、放熱器の全体が見える写真では、地面に漏れた油に設備の姿が反射しているのが確認出来ます。
2号機の変圧器からは3500リットルの油が漏れ出たということです。
電源確保の現状は「発電機の燃料は7日分確保」
原子力発電所では、運転を長期間停止している間も核燃料を貯蔵する使用済み燃料プールの冷却を維持するために電源が必要となります。
北陸電力の志賀原発も、50万ボルトの2回線と、27万5000ボルトの2回線、それに6万6000ボルトの1回線のあわせて3系統5回線の送電線で電気を受けられるようになっています。
送電線から電気を受ける際には、変圧器を通して高い電圧を発電所内で使える電圧に下げる必要があります。
しかし、志賀原発では1日の地震の影響で、27万5000ボルトの送電線から1号機に電気を送るための変圧器と、50万ボルト送電線から2号機に電気を送るための変圧器それぞれ1台が使えなくなっています。
いずれも配管が壊れて絶縁や冷却のための油が漏れ出したことが原因で、それぞれ1号機は6万6000ボルトの送電線から電気を受けているほか、2号機は27万5000ボルトの送電線から電気を受けているということです。
また、1号機、2号機それぞれに非常用のディーゼル発電機が3台ずつ備え付けられていて、このうち2号機では1台が点検中のため使えませんが、外部からの電気が受けられなくなった場合でも、1台が起動すれば安全上重要な機器を動かすのに必要な電源をまかなうことが出来るということです。
北陸電力によりますと、ディーゼル発電機の燃料は7日分確保されているということです。
志賀原発の歴史と核燃料の現状
能登半島の西側に位置する石川県志賀町にある北陸電力の志賀原子力発電所は2基の原子炉があり、1号機が1993年7月に2号機が2006年3月にそれぞれ運転を開始しました。
事故を起こした東京電力福島第一原発と同じ沸騰水型と呼ばれるタイプで、出力は1号機が54万キロワット、2号機が135万8000キロワットとなっています。
いずれも原発事故があった2011年に運転を停止し、その後、新たにつくられた規制基準への対応が求められたことから、現在も停止したままです。
このうち2号機は、2014年に再稼働の前提となる審査を申請しましたが、敷地内の断層が将来動くかどうかの評価に時間がかかったことなどから審査は長期化していました。
原子炉内に核燃料はありませんが、燃料プールには1号機に672体、2号機に200体の使用済み核燃料が貯蔵され、冷却されています。
ただ、運転の停止からは13年近くがたっていることから核燃料の発する熱は大幅に下がっていて、北陸電力によりますと、仮に冷却が停止した場合、プールの水が蒸発する温度に上がるまでには1号機が17日間、2号機は29日間かかると計算されているということです。
(NHKニュースより)
URL: https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240102/k10014306991000.html
上記NHKニュースについたはてなブックマークのコメント(ブコメ)より。
志賀原発 外部電源一部使えず 安全上重要な機器の電源は確保 | NHK
志賀原発は震災では全て通行止めになり逃げられないことがわかった。原発爆発なら半島の西側の道路は確実に通れず東側の道路だけになるから、交通は今回の震災よりかなり酷いことになる。避難経路何て絵に書いた餅だ
2024/01/02 14:21
志賀原発 外部電源一部使えず 安全上重要な機器の電源は確保 | NHK
地震が起これば電気は簡単に止まる。電気なしだと爆発したり放射能が噴出する原発は欠陥プラントそのものだ。事故が起これば地域が壊滅するのにそれを無視して原発を推進する人間の無神経さには只々呆れるばかりだ。
2024/01/02 15:48
志賀原発 外部電源一部使えず 安全上重要な機器の電源は確保 | NHK
3.11からほぼ13年間まったく発電してない上に、冷却のための電気が必要で火災まで発生って…/13年間にどれだけの費用と電力が使われてるのか知りたい。
2024/01/02 16:51
志賀原発 外部電源一部使えず 安全上重要な機器の電源は確保 | NHK
これで異常なしは虚偽発言だろう。外部電源喪失と言っても、周辺地域含めて停電していたのだと思っていた。変圧器の大破、避難路復旧路の道路不通、燃料プールからの水漏れが異常事態でなくて何なのか
2024/01/02 17:35
志賀原発 外部電源一部使えず 安全上重要な機器の電源は確保 | NHK
志賀原発は使用済み燃料くらいしかないのであまり心配してないけど、同じことが若狭湾で起きたらゾッとするよね。ちなみに地震加速度のギネス記録は岩手県の4022ガル。あらゆる建造物が瞬殺される。
2024/01/02 14:38
周知の通り日本海側は大地震が多く、しかもひとたびある地域で大地震が起きたら、短い間隔で他の地域にも大地震が起きるケースは少なくない。20世紀では1943年に鳥取地震が起き、その5年後の1948年には福井地震が起きた。いずれも4桁の死者数を記録した。
ところで昨夜、私としては例外的にNHKニュースを見ていたら、この地震に乗じてネットのSNSなどで虚偽情報が流れているとの報道があった。特に問題だったのは例によってXで「人工地震」の偽情報を垂れ流した輩が少なからずいたらしいことだ。以下、三たびNHKニュースより。
2024年1月2日 19時27分
今回の地震や津波に関連して、旧ツイッターのXで偽情報が拡散されていますが、NHKの取材班が確認したところ、地震の原因が「人工地震」だと主張して不安をあおる根拠のない情報や、原子力発電所や避難所の状況などについての誤った情報が広がっています。安易に拡散すると、被災地での救助活動や避難の際に混乱が起きるおそれもあるため、冷静な対応が必要です。
1日に石川県の能登地方で、最大で震度7の揺れを観測した地震の直後から、Xでは実際の被害に関する情報や救助要請が投稿された一方、誤った情報や偽情報も広がりました。
今回の地震が人工的に起こされたと主張する根拠のない投稿も広がっていて、NHKで分析したところ、2日午後5時半までに、否定するものも含めて「人工地震」に関して、およそ25万件の投稿があり、850万回近く閲覧されたものもありました。
中には、過去に北朝鮮が核実験をした際の気象庁の会見の動画など、今回の地震と関係がない動画を用いて主張する偽情報も出ていて、100万回以上閲覧されていました。
今回の地震について気象庁は、地下の岩盤が割れて片側が乗り上げる「逆断層型」の地震だと解析しているほか、今回観測されたマグニチュード7.6の規模の地震は、核実験でも引き起こすことができないレベルのエネルギーで引き起こされていて、「人工地震」という主張は科学的根拠が全くない偽情報です。
ほかにも、Xでは、原子力発電所の状況に関する偽情報や、避難所の状況について、過去の画像を流用するなどして、みずからの政治的主張に結び付ける投稿なども出ています。
多くの人が不安を感じて情報を求める災害時には、誤った情報や偽情報が広がりやすく、被災地での救助活動や、避難の際に混乱が起きるおそれもあるため、感情を揺さぶられるような情報や動画を見かけても、安易に拡散せず、情報源を確認したり、行政や報道機関の情報を調べたりするなど冷静な対応が必要です。
専門家「人工地震であることは考えられない」
今回の地震や津波に関連して旧ツイッター、Xで地震の原因を「人工地震」だと主張する根拠のない情報が投稿されていることについて地震のメカニズムに詳しい京都大学防災研究所の西村卓也教授は「今回の地震が人工地震であることは考えられない。地震波や地震に伴う地殻変動を見ても一般的な自然の地震と何ら変わらない特徴を持っている。地震は深さは15キロぐらいで起こっているが、例えばその深さまで人間が例えば穴を掘って何かをするのは到底難しく、マグニチュードからみても人間が作り出せるエネルギー量ではない。人工地震では無いと断言できる」と話した上で、「自然に起こる地震なので予測は難しく、引き続き備えを続けてほしい」と話しています。
(NHKニュースより)
URL: https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240102/k10014307161000.html
「人工地震」といえば反射的に思い出されるのが某元号新選組の組長だが、相変わらず例の現Xのポストを消さずに残していることを確認した。
人工地震
— れいわ 山本太郎 消費税廃止!住まいは権利! (@yamamototaro0) 2013年10月1日
この人が代表を務める政党の支持者の中には真面目な人も少なからずいて、地方選などでは他の野党と共闘を普通にやってもいるが(昨年12月、つまり先月行われた江東区長選もその例の一つ)、支持者が党首を批判することが憚られる体質は相変わらずに違いあるまい。本当なら今春で結党5年を迎える政党なのだから、そろそろ支持層が党首を乗り越えようとする動きが起きても不思議はない時期だが、党首による独裁的性格が極めて強い同党ではそうはならないのだろう。
私はXから疎外(排除)されているので直接は確認できないが、同党の「信者」たちは相変わらずらしい。
多くのれいわ支持者が「人口地震」などの陰謀説を唱えてたことは指摘しておく。
— ヒルコ 蛭義 (@damdamj) 2024年1月2日
SNSで地震や津波の偽情報が拡散 冷静な対応を | NHK https://t.co/oo7Qf2ZyfH
山本太郎はせめて11年前の「人工地震」のXを消すくらいのことはすべきだろう。そんなことすらもできないようでは、この人を信頼することなど全くできない。