kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

週刊文春1/18号掲載「JAL機炎上 全真相」が指摘する「安倍&菅の “改革”」と「人事が趣味の岸田」の大罪

 1月3日に公開した下記記事にコメントをいただいた。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 管見

羽田の事故はコミュニケーションの失敗のようですね。
ただし、「英語を使うから、誤解が生じるのだ」という意見には同意できません。
英語といっても、基本的には英語の専門用語を使ってるだけらしいですし、他の機体の様々な言語話者のパイロットが交信を聞いて理解できるように、今のスタイルがあるのでしょう。

アメリカで、地上管制官パイロットもアメリカ人なのに、滑走路で旅客機同士がぶつかる事故がありました。デトロイトの空港で1990年のことです。
濃霧で誘導路を間違えた機体が滑走路に迷い込んで、離陸中の他機の翼で引き裂かれた事故でした。
誘導路の標識や案内のラインが、分かりにくく消えかかってたことが重大な原因と認識されて、改善されたそうです。

さて今回は、過密スケジュールの空港で離陸と着陸とが混在して滑走路を運用してるのに、「要所ごとに各人が気をつける」という安全対策だったことが問題だと思います。
どこかで読みましたが、信号機でもつけて赤信号では止まって待つくらいにした方が、良さそうです。
誤解や不注意が起きても事故らないシステムにするべきでしょう。
離着陸の自動操縦同様、地上の移動も自動運転にすると良いかもしれませんね。

 

 上記記事には公開直後に下記のコメントをもらっていた。

 

 柵

普通に海保のパイロットの管制官の英語の聞き間違いだと。日本語か、霧にしか使わない誘導ライトを夜には常時使用すると良いかも

 

 それに対して管見人さんが

「英語を使うから、誤解が生じるのだ」という意見には同意できません。

とコメントされた。これにはもちろん私も強く同意する。

 

さて今回は、過密スケジュールの空港で離陸と着陸とが混在して滑走路を運用してるのに、「要所ごとに各人が気をつける」という安全対策だったことが問題だと思います。

 

 そうだったらしいことを私も知って驚き呆れた。もっと何重もの安全対策が施されているとばかり思っていたからだ。

 しかも、過密スケジュールを招いた一因は安倍晋三菅義偉による新自由主義政策があった。それを伝えたのが『週刊文春』1月18日号だった。

 

bunshun.jp

 

 残念ながら上記リンク先は有料記事なので記事の引用はできない。

 ただ、リードと見出し、それに記事のリードの部分は無料で読めるので以下に引用する。

 

 羽田空港の滑走路に大きな炎が広がった。JAL機の乗員乗客379人が脱出を果たした一方、海保機の乗員5人が犠牲となった衝突事故。なぜ、このような事態が起きてしまったのか。徹底取材で見えてきたのは――。

 

▶現役管制官が緊急告発「離陸も着陸も」C滑走路の異常

▶安倍&菅“改革”羽田便数6割増なのに管制官数は横ばい

▶岸田ゴリ押し 背広組海保長官で重大事故が急増していた

▶海保担当 岸田派副大臣が消した事故直後の“鏡割り写真”

▶新人CA、訓練中副操縦士…奇跡を生んだJALの12人

▶海保機6人履歴「不時着の過去」「上司より博識な整備員」

 

「今回の衝突炎上事故で、5人の犠牲者が出たことは本当に悔やまれます。ただ、“なぜ海保機の滑走路進入を見過ごしたのか”と責められるのは、同じ管制官としてやるせない。当然ながら、管制の現場では人為的ミスを極力排除するようにしていますが、今の羽田空港の在り方ではいつか、こうした事態が起きてしまうと強く危惧していました」

 

URL: https://bunshun.jp/denshiban/articles/b7750

 

 ただでさえ「要所ごとに各人が気をつける」という安全対策だったところに、安倍と菅の「改革」によって管制官の負担が増したことが挙げられる。その契機は東京五輪だった。

 私は『週刊文春』の現物を持っているので、以下その一部を手打ちで引用する。

 

(前略)焦点の一つは、管制官の指示「ナンバーワン」をめぐる解釈だ。

(中略)なぜ、こうした「認識の違い」が生まれてしまったのか。単に、管制官と海保機長のコミュニケーション齟齬や、人為的ミスで結論付けられる問題なのか。

国交省の平岡成哲航空局長が会見で『羽田は日本で一番忙しい空港。当日は客量一杯で使われていた』と語っていましたが、この事実は無視できません。羽田では2010年に4本目のD滑走路を新設し、国際便が就航。便数が一気に拡大しました」国交相関係者)

 そこから、さらなる大幅拡大を目論んだのが、安倍政権だった。13年の東京五輪招致決定を受け、掲げた目標は30年の訪日外国人旅行者数6千万人。観光政策を仕切る菅義偉官房長官(当時)の号令で、これまで実現不可能とされた新ルートを解禁したのだ。

「それまでは海側から着陸するルートのみでしたが、都心上空を飛ぶ『都心上空飛行ルート』新設に動いたのです。騒音問題から長らく新ルートに消極的だった国交相を官邸が押し切り、14年に計画を発表。20年3月から運用が開始されました」(同前)

 年間最大6万回だった国際線発着数を9.9万回に引き上げ、便数は6割増。(中略)安倍&菅の “改革” で、超過密状態となった羽田空港の “番人” を担うのが、管制官にほかならない。

(中略)問題は、それだけではない。羽田空港にはAからDまで4本の滑走路が設けられているが、現役管制官が「特に事故が起きたC滑走路は……」という冒頭の言葉に続けて証言する。

「事故当時は北風が吹いていましたが、この場合は、B滑走路は使用せず、A滑走路が着陸、D滑走路が離陸専用となる。ところが、C滑走路だけは常に『離着陸兼用』の運用なのです」(後略)

 

(『週刊文春』2024年1月18日号より)

 

 事故は日没後に起きたが、夜間は海保機のような小型機は本当に見づらいとの元管制官のコメントなども掲載されている。さらに、従来旧運輸省キャリアに占められていた海保庁長官のポストを菅義偉が現場叩き上げの海上保安官を充てるように変更していたのを、菅を嫌う岸田文雄が「背広組」の長官に戻したところ海保機の事故が急増したとの指摘もされている。菅と岸田の悪いところが重なり合って事故を引き起こしたといえるかもしれない。

 いずれにせよ、五輪にかこつけた安倍と菅の新自由主義的な政治や「趣味は人事」という岸田の人事が事故の遠因となったとはいえそうだ。

 しかし、このような記事を掲載するのが昔から保守系出版社として知られる文春のメディアだという現状もお寒い限り。いわゆる「リベラル系」大新聞なども編集者たちが維新シンパだったりしてすっかり牙を抜かれてしまったのだろうか。

 なお、週刊文春の当該号が発売された時点では弊ブログ運営者の仕事が忙しかったためにブログで紹介することができなかった。それを残念に思っていたのだが、管見人さんのコメントをきっかけに、やはりこれはブログに取り上げた方が良いと思って記事を書くことにした。雑誌の発売からすでにかなりの日数が経ってしまったが、記事を公開するきっかけを作ってくださった管見人さんには感謝したい。