kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

安達正勝『物語 フランス革命』(中公新書)のあとがきに著者曰く「国民主権の原理が社会に浸透するのに三世代かかる。今(2008年)の学生諸君の子供が成人に達する頃には、日本は今よりもずっとまともな国になっているのではないか」

 読書・音楽ブログに下記記事を公開した。

 

kj-books-and-music.hatenablog.com

 

 記事の最後に、安達正勝著『物語 フランス革命』(中公新書, 2008=下記リンク)に言及し、

この本のあとがきに書かれた文章が結構印象的だったが、それはこちらのブログよりもメインブログに適していると思うので、そちらに書くことにする。

と書いた。

 それについて書く。

 

www.chuko.co.jp

 

 フランス文学者にして歴史家という著者の安達正勝氏(1944-)は本書のあとがきに下記のように書いた。以下に引用する。

 

 私は日本人なので、フランス革命について調べたり、書いたりするとき、いつも日本のことを思い浮かべる。封建社会から今のような社会に切り替わろうとするときに、フランス革命明治維新が起こるわけだが、その近代革命の様相は国によってさまざまである。徳川幕府時代には「百姓は生かさぬように、殺さぬように」と言われていた。日本も明治維新によって近代社会に移行し、戦後は「国民主権」の国に生まれ変わったはずであったが、政府や高級官僚諸君のやっていることを見ていると、今の日本で国民本位の政治が行われているとはとうてい思えない。国家権力に比べて国民の力(民力)がなお相対的に弱いわけだが、その理由の一端は近代化のあり方にあったのではないだろうか。

 

 たとえば「国民主権」にしても、私の見るところ、新しい原理が社会に浸透するのに三世代かかるようである。日本で「国民主権」の原則が打ち出されたのは戦後のことだから、今社会を担っている大人の方々は第一世代であり、若い人たちは第二世代にあたる。今の学生諸君の子供が成人に達する頃には、日本は今よりもずっとまともな国になっているのではないか、などと私は考えている。

 

安達正勝『物語 フランス革命』(中公新書, 2008)331頁))

 

 著者が上記の文章を書いた2008年から16年が経った。その間、2009年には政権交代があったが、政権与党になった民主党内の権力闘争が人々の大きな失望を招くなどして、2012年には自民党の政権復帰と9年間にも及ぶ「安倍菅」政権というどうしようもない反動の時代が続いた。しかし翌年の安倍晋三の射殺をきっかけに、再び時代が前に動き始めたのが現在ではないかと私は考えている。

 著者は、2040年頃の日本は2008年当時より「ずっとまともな国になっている」との見立てだったわけだが、実際には2012年からの安倍が射殺されるまでの10年間には、公文書の保存どころか隠蔽と改竄と捏造が進むなど(特に2018年以降がひどかった)、大いなる時代の逆行が起きた。しかしそうした反動が大きかった分だけ、それへのさらなる反作用も大きくなる。それが現在の日本における急速な時代の流れではないかと思う次第。

 それに再びストップをかけて反動の流れを取り戻そうとしているのが自公や小池百合子らであろう。むろん、どうやら都知事選には候補を立てなさそうな維新や日本保守党の同罪である。彼らが候補を立てないのは、それをやると先々月の衆院東京15区補選と同様に蓮舫を助けてしまうからである。つまり、維新や日本保守等も紛れもなく反動側にいる。

 

 

 申し訳ないけどこれはちょっと微妙かな。

 15区補選は右が分裂してくれたのに加え、小池百合子が立てた候補が乙武洋匡で、公明表のかなりの部分が寝てくれたので助かった。

 今回は公明がバリバリ動くし、このままだと維新や日本保守党の票はほとんどすべて小池に乗っかることになると思う。15区補選を見る限り、酒井菜摘か金沢結衣かで迷った有権者などほとんどいなかった。維新や日本保守党は、候補を立ててくれた方が助かるというのが私の意見だ。それが望めない都知事選は、やはり15区補選とは比べものにならないくらいほど厳しい。

 しかも、蓮舫上田令子を表敬訪問したようだけれども、上田令子一派で都知事選と同日に行われる都議補選に立候補を予定している三戸安弥は、都知事選ではどうやら石丸伸二を支持するようだ。

 

 

 さすがに上記Xには批判がかなりあったようだが、三戸は開き直っている。

 

 

 やはり三戸も新自由主義志向の人間であり、反動側に属する人士と見た方が良い。このXの調子だと、上田一派は石丸伸二に乗っかって反小池票をある程度削ってしまいそうだ。

 ただ、15区補選では小池百合子の電話がけ(実態は録音テープだろうが)や自らウグイスを務めるなどの「情に訴える」作戦が通用しなかったことも事実だ。また「小池=自民党」のネガティブなイメージをどれくらい有権者が持つかもわからない。

 だから都知事選の結果はまだまだわからないのだが、間違っても楽観できる情勢ではないとは思う。

 なお小池百合子自身の出馬は間違いない。ここまでお膳立てされて出ないということは考えられない。