昨日(9/9)はかつての(というか私が生まれた頃の)元号がそのまま今も続いていればゾロ目の日だったとかいうのが一部で話題になっていたらしいが、私は普段元号を使わないのでネットで目にするまで気づかなかった。しかし昨日は昨夜遅くに公開した記事に書いた元民民衆院候補予定者・高橋茉莉氏の自死や、自民党総裁選への高市早苗の出馬表明及び高市を持ち上げる森永卓郎の醜悪なコメント*1などがあって気分が滅入った。それで「苦」のゾロ目の日だけのことはあるかな、などと思わず元号に迎合するようなことも一瞬頭に浮かんでしまい、そのせいで自己嫌悪までしてしまったというおまけつきだ。
高橋茉莉氏の件に相通じていて、かつさらにずっと悪質なのが兵庫県知事の斎藤元彦で、この人の問題では「おねだり」もさることながら兵庫県職員の二氏を自死に追い込んだことを私は重視している。しかし斎藤の件に関しては宮武嶺さんのブログ記事(たとえば現時点では最新の下記記事)が詳しいので、斎藤批判は宮武さんにお任せしたい。
ただ、斎藤の件に関して私が非常に失望したのは、東京スポーツが下記記事で報じているテニスの沢松奈生子の反応だ。
以下、記事の一部を引用する。
(前略)県議会の調査特別委員会(百条委員会)はこの日、県職員アンケートの中間報告を公表。パワハラに関しては「高揚車内で知事が激怒し前方座席を蹴った」「『お前はエレベーターのボタンも押せないのか』と罵倒された」などと書かれていた。
(中略)
兵庫県出身に沢松氏は、このニュースに「兵庫県は生まれ育った県ですから、一番愛着のある県ですし、そういうところでこういう問題が起きてるというのは悲しいことではあります」と沈痛な面持ち。
沢松氏はスポーツに関する専門会議で斎藤知事と何度か会談する機会があったといい「この1年以内にも何度かお会いしてますけども、私がお会いした印象は非常に腰の低い、私が失礼なことに数分お待たせすることになってしまったんですけども、決してアンケートにあるように怒ったりすることもなく接してくださってるので、私の印象はこのアンケートとは全く逆なんです」と戸惑いを隠さなかった。
その上で「ただ実際にこういう話が職員の方、つまり内部の方から出てきてるということは非常に重たいことでありますし、これもし本当だとしたら、ものすごいショックです、私」と感想を語っていた。
(東スポWeb 2024年8月23日)
URL: https://news.yahoo.co.jp/articles/ba6ef6880999e3d072c00e0478b8f9995711167f
沢松氏は私が育った阪神間では有名な大金持ちの一家に育った元テニスプレーヤーで、そんな経歴で今もテニス界の大物であるに違いない沢松氏に対して斎藤が媚びるような態度をとるのは当たり前だろう。そんな斎藤に沢松氏がいとも簡単に好感を持ってしまったらしいことが残念だった。
氏に限らず、権力者に容易に気を許したり好感を持ったり、極端な場合には「信者」になってしまう人たちが多すぎるのである。
先月のパリ五輪の頃は仕事が特に忙しかったので描き損ねたが、パリ五輪開会式で、自らの首を手にしたマリー・アントワネットの演出があったらしく、私は開会式を見なかったのでその映像は知らないのだが、日本のXでは「フランス革命の反省をしていない」などというポストがあったらしい。
私が何より呆れたのは、括弧付きの「リベラル・左派」の間で今も大人気を誇っているらしい「Dr.ナイフ」の下記ポストだ。
パリ五輪の開会式みた。
— Dr.ナイフ (@knife900) 2024年7月27日
流血のフランス革命が演出されていて嫌悪感が残った。普段は日本の政治批判ばかりしてるけど、一度も革命らしき革命がなかった日本は誇りに思ってます。
五輪の開会式はロンドンのこれが好き。 pic.twitter.com/uL8DJQZ54p
私はこれを見て、Dr.ナイフは唾棄すべき人間だと思って、改めて心底軽蔑した。しかし、久しぶりにこの人のフォロワー数を見ると、いまや11万人に達していたorz
ナイフの関連ポストを以下に挙げる。
→このポストで「日本は革命を経験していないから、民主主義を実感してない」というコメントがあって、そういう側面はあるけど、その反面、革命のあった国のような大量の流血や虐殺も少ない。皇室も保持されている。
— Dr.ナイフ (@knife900) 2024年7月27日
戦争に負けて多数の犠牲があったけど「日本国憲法」とう法による主権交代がおきた。
世界で一番歴史のある国のひとつです。皇室も1000年以上続いている
— Dr.ナイフ (@knife900) 2024年7月27日
日本が「世界で一番歴史のある国のひとつ」なんて歴史捏造の極致だが(日本の「建国神話」が史実であるとみない限り、そんな妄論は出てきようがない)、「皇室も1000年以上続いている」とはその割に控えめな表現ではある。しかしナイフが天皇及び天皇制の信者であることは間違いなく、現にこのポストであけすけに自ら認めている。
なんかネトウヨみたいですよ。ひょっとして乗っ取られてる?
— 小畑幸三郎 (@batayanF3) 2024年7月27日
「ネトウヨみたい」どころではではなく、ナイフはネトウヨそのものだ。
そんなナイフが発した下記Xが、立民支持層の一部から反発を買っている。
立憲民主党代表選、各候補者の政策比較
— Dr.ナイフ (@knife900) 2024年9月7日
※現状の印象。更新していきます pic.twitter.com/Fctqa4Mmku
その後、野田佳彦は共産との連携にやや消極的だとしてナイフは下記のように改めた。
→少し改定。野田さんは共産党との共闘は消極的。 pic.twitter.com/bkJc0nl2Kg
— Dr.ナイフ (@knife900) 2024年9月7日
ナイフによる4人の評価を総合すると、吉田>野田>泉>枝野になる。
私が直ちに連想したのが、かつての共産主義者の一部に見られた「社民主要打撃論」だ。
吉田晴美が票を集めるために障害になるのは、他の3人の中ではなんといっても枝野幸男が一番の敵になる。だから枝野を貶めたい。そういう権力闘争の発想から出たのがナイフの採点だといえる。権力主義的な思考が身に染みついた人間にありがちな発想だ。
こういうナイフのような権威主義的な輩が出てくることが目に見えていたので、私は吉田晴美が立候補できたことは喜びながらも、吉田の枝野との比較であれば枝野を推すという立場を鮮明にした。
SNSの立民リベラル系支持層の動きを見ても、一丸となって吉田出馬を応援していた人たちも吉田出馬が決まると、ある人たちはその勢いのまま吉田を熱烈に応援しているが、別の人たちは枝野推しに傾いた。私は当然ながら後者の人たちにより共感する次第。
この分類でいえば宮武嶺さんは前者に属することになるが、いつも書く通り人間の考えは一人一人で違って当たり前なので、それで気を悪くしたりするということはあり得ない。
その宮武さんのブログ記事の中で、辻元清美や西村智奈美が吉田晴美の推薦人にならなかったのはどういうことかと書かれた記事があった。これに反応しておく。
立憲民主党の中でもリベラル派の急先鋒で古寺多見さんも褒めておられた石垣のり子議員や衆院補選東京15区で当選したばかりの酒井なつみ議員が推薦人に入っているのはさすがですが、辻元清美さんや西村ちなみさんが入っていないのには非常に落胆しました。
というか、この二人は誰の推薦人にもなっていないんですよ。そしたらなぜ吉田氏を推さない?!
ベテラン女性議員が推薦人に入ってあげないから、吉田さんは告示日当日の締め切り1分前にスニーカーで走ってきて届け出を出すようなことになったわけで(笑)、立民から一人でも女性候補を出そうと動かなかった辻元議員と西村議員は女を下げましたね。
西村氏に出馬を要請していた菅直人元首相らのグループがこぞって吉田さんの推薦人になっているのにそこに加わらない西村さんもどうかと思いますし、辻元氏は参院から衆院への鞍替えを考えているという噂ですから、誰が代表になっても恨まれないように保身を図ったとしか考えようがありません。
URL: https://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/583340c029ee4559d7145c2645de18e2
辻元清美についてはよくわからないが、弊ブログは2022年に辻元の参院選への転出が出た時にこれを批判したことがある。2022年1月のことだ。
以下に上記リンクの記事から一部を引用する。
(前略)そもそも日本第2の大都市で維新にも自民にも歯が立たない野党第一党など存在意義はないと言っても過言ではない。
選挙区のせいで当選が難しいというのは、大阪よりも山口がもっと極端なところで、かつては平岡秀夫が山口2区で踏ん張っていたけれども、その2区も陥落して久しい。また、山口や大阪までの惨状には遠く及ばないが、私の住む東京東部も野党第一党の不毛の地だ。
選挙区のせいで比例復活が難しいというなら、比例名簿を見直せば良い。(中略)その煽りを食う候補者も出てくるが止むを得ない。同様のことは、選挙区のせいで国会からの早期の退場を強いられた平岡秀夫のケースにも当てはまったのではないか。
与党を見ても、東京15区の柿沢未途や同16区の大西英男など、ろくでもない候補者でも当選できる選挙区があるかと思えば*1、選挙区によってはなかなか当選できない候補者が少なくない。同率一位の見直しはあって然るべきだろう。
なんといっても「大阪を捨てる野党第一党」は全くいただけない。泉健太は「維新との棲み分け」でも目論んでやがるではないかとの邪推もしたくなるが、そんな陰謀論は別にしても、党の足腰を弱らせることにしかなるまい。
URL: https://kojitaken.hatenablog.com/entry/2022/01/26/074701
まだ柿沢未途が東京15区で威張っていた頃の記事だが、当時衆院選に落選したてのほやほやだった辻元は、自らが衆院選に敗れた原因として維新を甘く見ていたことを挙げ、「維新主要打撃論」とでもいうべき立論をしようとしていた。それに同調したのが菅直人だったが、辻元と菅といえばそれでなくてもネトウヨの攻撃の対象だし、それになtんといっても当時の維新は飛ぶ鳥を落とす勢いだったので、特に菅などネットでは失笑の対象になるばかりだった。私は、当時の泉は辻元や菅らが発する維新批判が気に食わなくて、それで辻元を参院に転出させるつもりなのではないかと疑っていた。
それから2年間が経ち、先見の明があったのは山陰への転出を決める前の辻元や、失笑を受けても維新批判を止めなかった菅の方だったことが今になっては明らかだろう。
辻元の衆院選への再転出があるのかどうかは知らないが、辻元に関しては次期代表が誰になっても(ことに野田か泉になった場合でも)余計な波風を立てたくないという計算があっても不思議ではない。
西村智奈美の場合はもっと深刻だ。というのは、立民執行部の間では、執行部の人間が泉健太を裏切って他の候補者を応援するようなことがあってはならないとする同調圧力が、どうやら非常に強く働いているようなのだ。だから、一時枝野の推薦人になるのではないかとの噂が出ていた逢坂誠二を、泉支持の立民右派支持層たちは口をきわめて罵っていた。その理屈は、長老たちが一度の衆院選も経ていない泉健太を下ろすのは怪しからんというように拡大解釈されて、その論拠によって最初は枝野幸男、そのあとには野田佳彦が泉信者系立民右派支持層から罵倒の嵐を浴びた。
こういう党のあり方を、弊ブログは「スターリン主義」(権威主義)とみなしている。泉はこのスターリン主義で代表選を乗り切ろうともくろんでいて、というかそれで乗り切れると計算していたから推薦人集めをろくにしていなかったに違いないとみているが、その計算は枝野幸男の出馬表明で脆くも崩れ去ったわけだ。
ただ、枝野は泉に戦いを挑んだまでは良かったが、野田に挑戦されて明らかに劣勢に立っている。私は吉田晴美の推薦人名簿を見て、菅直人系以外は決選投票で野田か、仮に決戦に残るなら泉に流れる可能性がきわめて高いとみた。だから、もはや立民代表選の結果に楽観は全くしていない。それどころか、野田と泉の決選投票になることさえ覚悟している。
でも、仮にそのような最悪の事態になったとしても、枝野が泉に挑んだことと、吉田が枝野、野田、泉の3人に挑んだことの意義は十分あると思う。
なおフランス革命の話は、音楽史の話(というよりモツだのベトだのの話)にからめてじっくりブログ記事を書きたいとずっと思っているが、こちらのブログ向きの話ではないので、読書・音楽ブログで長期連載をやる構想を持っている。書くのはもう少し先になりそうだが。