kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「新自由主義・夜警国家主義・反福祉国家主義の一大ムーブメントを左ないしは左寄りの人たちが後押ししている」現状にあって、なぜ塩村文夏参院議員は「減税主義」になびかないのか

 気がつけば野田佳彦がすっかり減税派の立場から減税に消極的な石破茂内閣を批判するようになった。さすがは「民のかまど」信者の野田である。あの「民のかまど」の神話を2010年にFC2ブログで批判した時、私が「民のかまど」信者として槍玉に挙げた政治家は、河村たかし小沢一郎に加えて、この野田佳彦だった。野田の地金が出た、馬脚を露わしたと思った。

 かつて戦前及び戦時中の東大経済学部では、狂信的な右翼国際主義派と、リベラリズムに立つ河合栄治郎ら(1891-1944)と、マルクス主義労農派系の3派に分かれ、極右と労農派とが手を組んで河合らを迫害したことを、2013年*1立花隆(間違っても「孝志」ではない)の『天皇と東大』全4冊(文春文庫)を読んで知った。

 

books.bunshun.jp

 

 その河合栄治郎や河合の弟子に当たる木村健康(1909-1973)を敬愛したのが後期の宇沢弘文(1928-2014)だった。宇沢は最初マルクス主義経済学を志したものの入門を断られ、のちに主流派経済学者として名を成したが、最後には主流派経済学からも離れて河合栄治郎木村健康の流れに連なる学者として後期の業績を残した。これが私の理解だ。

 その構図とはずいぶん違うかもしれないが、現在も「再分配派」の左右に「減税派」がいる構図になっているように見える。マルクスは確かに再分配を言わなかったが、それは「分配」そのものを変える革命思想家だったからだろう。革命によらずに議会制民主主義によって現在の資本主義社会を変えて富の不平等を減らす立場に立つのであれば、まず「減税」という言葉自体を疑ってかかるのは当然だろうと私は考えるが、おそらく人々の多くは、何もしなければ資本主義によって大きな富の不平等が生じることを理解していないか、さもなければそういう社会の方が良いと思っているのだろう。

 下記記事にいただいたabcdefgさんのコメントを読んで、そんなことを思った。

 

 abcdefg

今の日本における減税ムーブメントは、ポピュリズムというよりは新自由主義夜警国家主義、反福祉国家主義の一大ムーブメントだと思います。右派系の人達の多くは、大なり小なりそれを自覚して今の減税ムーブメントに乗っかっています。問題なのは左乃至は左寄りの人達もそのムーブメントを後押ししている点です。今はテレビや新聞よりもYouTubeTikTokの方が世論形成に対して大きな影響力を持っていますが、右派系のみならず左派系のYouTubeチャンネルもどこも減税真理教ですからね。左右両方が減税真理教であれば、そりゃあ日本の世論全体も減税真理教になるでしょう

このまま減税ムーブメントが定着するようだと、近い将来、日本はアメリカ並みかそれ以上の格差貧困大国になると思います。アメリカが良い例ですが、経済政策・経済成長だけで格差貧困を是正することなどできないです。アメリカは日本とは異なり、ずっと右肩上がりの経済成長を続けていますが、相対的貧困率絶対的貧困率は日本よりも高く、それがアメリカの治安の悪さにも繋がっていると思います

 

 「新自由主義夜警国家主義・反福祉国家主義の一大ムーブメントを左ないしは左寄りの人たちが後押ししている」、「左右両方が減税真理教であれば、日本の世論全体も減税真理教になる」、「このままだと近い将来、日本はアメリカ並みかそれ以上の格差貧困大国になる」。

 これは全部その通りだと思う。

 特に痛いのは、立民の党員や支持者たちが選んだ党代表の野田佳彦自身が「民のかまど」信者だという事実だ*2。その野田の当選を後押ししたのが、記事の最初に「民のかまど」信者仲間として名前を挙げた小沢一郎だった。

 ところでその流れに竿をさす(流れを加速させる)かのような「参院選情勢調査」を出してきたのが、私が激しく嫌う大濱崎卓真と「グリーン・シップ」社だが、大濱崎は調査の質問文等を公開しているのだろうか、質問文中に減税主義への賛成を煽るような文章が盛り込まれてはいなかっただろうか、などと疑問に思う。しかし、世論調査の分析には定評がある三春充希氏はまだXで大濱崎の怪しげな調査結果については何もポストしていない。

 Xから漏れ聞こえてくる話では、大濱崎は調査結果の生の順位を「公式LINE」で明らかにしているらしい。

 

 

 なるほど、それで塩村文夏参院議員が焦っているわけか。多分、というより間違いなく6位までに塩村議員の名前がなかったのだろう。なお塩村議員も私が東京選挙区で投票するかもしれない候補の中には入っているが残念ながら筆頭候補ではない。なんといっても塩村議員には東京都議時代に「みんなの党」に所属し、のちには旧国民民主党(民民)に属していた時期がある*3から容易には全幅の信頼は寄せられない。今後の立民両候補の訴えを見て決める(比例区社民党に入れるが、これはここ数回の参院選で変化はない)。

 なおその塩村議員のXも興味深かった。たとえば下記のXに対するレスポンス。

 

 

 

 このレスから推測されるのは、大濱崎らの調査では「立民から共産(吉良佳子参院議員)に票が流れている」という結果になっているらしいことだ。しかし、たとえば弊ブログが何度も紹介した朝日新聞が2〜4月に行った電話調査その他において、立民から共産への票の流れが起きているなどという話は全くなかった。それどころか昨年の衆院選では共産から立民及び民民(!)への票の流れがあったらしいことが「公益財団法人明るい選挙推進協会」のデータからうかがわれた(但しn=47で母数が少ないけれども)。ただ東京選挙区の吉良佳子参院議員は非改選の山添拓参院議員ともども「得票率の高い共産党候補」だから*4、そういう票の流れがあっても不思議はないかもしれないけれど。

 しかしながら、候補者の順位などの生情報を小出しにするとは、大濱崎という人間の姑息なやり方はやはり好きにはなれない。そうではなく、大濱崎さんは堂々と調査の全容を公開してますよ、という情報をお持ちの方がおられるなら、是非とも弊ブログのコメント欄にて指摘をお願いします。なお「はてなブックマーク」のコメント(ブコメ)は見に行かないことにしているので情報提供にはなりません。悪しからず。

 上記塩村氏のXに下記のコメントがあった。

 

 

 そんなことないですよ。自民党安倍は支持層からの流れと同じくらいかあるいはそれ以上に立民支持層から民民への流出が起きていることを、下記朝日新聞世論調査のグラフ*5は示しています。

 

 

 塩村議員のXに戻る。

 

 

 埋め込みリンクでは全文が表示されないので以下に全文を示す。

 

国民4割のブルーオーシャンを総取りにきている。それでも裏金問題のマイナスを払拭しきれないとは思うが、参院選で消費税減税のデメリットの大きさがメディアで報道されてくれば自民支持で踏みとどまる支持層が一定数でてくるはず。「この点においては」、国民の未来に責任ある選択でもあると思う。

 

問題は我が党。一人区は野党が統一されていれば野党vs.自公で戦えるが、4人区以上で野党が複数出ている場合。よほど強い北海道や愛知を除き、我が党の綱領や独自性を否定しかねない政策なので苦戦するのではないか。

 

より実効的な物価高対策や、社会保障や福祉を大切にした政策を給付付き税額控除(消費税バック法)とセットで訴えていくしかない。

 

URL: https://x.com/shiomura/status/1920691565896626659

 

 塩村議員は「我が党の綱領や独自性を否定しかねない政策」とまで書いた。野田佳彦が受け入れた「減税」路線を明確に批判しているといえる。このあたりは大いに買える。

 

 

 もっともその石破茂自身が率先して「減税」に舵を切ろうとしていると報じた週刊誌もあった(週刊新潮など)。石破自身は確たる経済政策の信念を持っていないようだ。事態は、野田佳彦が「民のかまど」信者としての地金を出して、石破よりも先に「減税」へと舵を切った(=「バスに乗り遅れるな」根性を露呈した)ために、石破政権と自民が踏みとどまりつつあるといったところだろう。もちろん自民党内でも高市早苗や安倍派の多くは「減税派」である。これは福田赳夫の頃からの伝統を引き継いでいる。大平正芳よりも早く「財政健全化」を言い出したのが1970年の福田赳夫だ。自民党では伝統的に清和会と宏池会が「小さな政府」志向の派閥だった。それに対する積極財政派が田中角栄系の経世会だったが、小沢一郎はその経世会にあって異色の過激な「小さな政府」論者だった。まとめると、清和会、宏池会、それに小沢一郎一派が新自由主義色の強い政治集団ということになる。

 塩村文夏議員に対しては、自らも「みんなの党」という過激な新自由主義政党に属していた経歴があるのに、なぜ現在のような立場に変わったのかを説明していただきたいと思う。たとえば枝野幸男は2000年代に考えを変えたことを明らかにしている。塩村議員はいつが「その時」だったのだろうか。

 下記は尾中香尚里氏のPresidet Onlineの記事についての塩村議員のX。

 

 

 そう書くならなおさらのこと。

 元「みんなの党」で、のちには旧国民民主党に属したこともある政治家であるなら、それこそ江田憲司のように「減税主義」に走るのが当たり前のはずだと私は思うのに、なぜ塩村議員はそうしないのか。そのあたりが是非とも知りたい。

*1:私がつけている読書記録を見ると、2013年3月2日から同17日まで、約半月かけて読んでいた。

*2:それが証拠に、野田は1年の時限付きの食品への消費税ゼロ課税案を受け入れることを発表した会見での質疑で、決断した理由の説明に「民のかまど」の神話を持ち出した。

*3:なぜそのような経緯があるのに塩村議員が江田憲司に靡いていないのか、それには主義主張や思想信条以外の理由もあるのではないかとも私は疑っているが、よくわからない。

*4:というより東京都は今や沖縄県に次いで共産党が強い自治体として残っている、と書くべきかもしれないが。

*5:https://www.asahi.com/articles/photo/AS20250426001883.html