kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

立民支持層が嫌々固まるのは1議席を争う衆院選くらい。自民は嫌だから。でも、都議選など中選挙区制だと離反します/維新支持層は減税志向。当たり前ですね、税金をそれほど払っていない人には減税効果ないですから。たくさん払う人が望むものです。(立民・高野勇斗区議のnoteより)

 あーあ、またこんなこと書いてるよ、と思ってしまった。

 コメント欄より。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 HRK-Unidon

経済的自由(減税) vs 富の不平等(再分配) による対立はものすごく深刻、私もそう思います。
また、江東区は東京都内では生産年齢人口の割合が比較的多く、減税需要が多い事は認識しています。
立民や共産の支持層から三戸への流出が無くても、三戸は減税志向者によって当選していたでしょう。その場合は千葉候補や大嵩崎候補が敗北した理由としては薄くなります(定数4なので、立民支持層の地盤を固めれば勝てるチャンスはある)。

問題は、何故「立民や共産の支持層から三戸への流出」が起きたのかになります。
2024衆院選では酒井氏が6.6万票、小堤氏が1.5万票獲得していましたが、今回の都議選では千葉氏が1.8万票、大嵩崎氏が2.0万票の獲得にとどまっています。(共産票は増えたので共産から三戸への流出はあまり無さそうに見えるが…)
酒井氏の4.8万票は何処に消えたのか、これを「経済的自由」だけで語るのは無理があるのではないかと思います。経済的自由主義者衆院選の段階で須藤氏(6.5万票)や金沢氏(3.2万票)を選択していたわけですし、酒井氏は吉田晴美→江田憲司の減税ルートが若干あったとしても小沢一派や憂国連合のようなゴリゴリの減税派ではありませんでしたし、減税アピールはしていなかったように見えます。

AFEEという組織自体はそこまで知名度は無いかもしれません。しかし、「不健全図書」の問題と、その問題解決に立憲や共産(東京共産は権威主義傾向が薄いんです!)が関わってきた事は東京西部なら知っている人が多いように見受けられました(石原慎太郎土屋正忠など表現規制派が明確に居たので、立ち向かう為の意思形成が松原仁氏や松下玲子氏などを中心に纏まった)。

続きます。

 

 衆院選と都議選の得票を比較するのは端的に言って誤りです。

 特に、下記の認識は決定的に間違っています。

 

2024衆院選では酒井氏が6.6万票、小堤氏が1.5万票獲得していましたが、今回の都議選では千葉氏が1.8万票、大嵩崎氏が2.0万票の獲得にとどまっています。(共産票は増えたので共産から三戸への流出はあまり無さそうに見えるが…)

 

 比較の対象は過去の都議選でなければなりません。

 2013年、2017年、2021年の都議選での共産党候補の得票数及び得票率は下記の通りです(いずれも畔上三和子前都議の得票)。

  • 2013年 25,918票(得票率 14.7%)
  • 2017年 29.804票(得票率 13.7%)
  • 2021年 29,136票(得票率 16.2%)

 これに対し、今回は下記の結果でした。

  • 2025年 20,519票(得票率 10.1%)

 つまり得票数にして9千票、得票率にして5.1ポイントも落としています。

 たまたま畔上都議が引退しての代替わりではありますが、昨年の都議選候補で、現職の畔上議員がいるのに大嵩崎氏が立候補しました。これは、今回の代替わりを見越したお披露目のようなものでした。しかも大嵩崎氏は共産党区議の中でも区議選での集票率が特に高い「エース区議」でした。

 昨年の衆院補選と都議選候補で、立民と共産は「衆院補選は立民、都議補選は共産」のバーター取引を行ったことは確実で、その代わり衆院選と都議選のそれぞれの本選では双方とも候補を出して戦うことになっていたと思われます(事実そうなった)。だから衆院補選では小堤東氏が酒井菜摘氏の、都議補選では酒井氏が大嵩崎氏の応援演説をそれぞれ行いました。しかし衆院本選では、せっかく補選で当選した酒井氏を本選でも通してやりたいと思った共産党支持者が少なからずいたために、小堤氏は得票数15,049票、得票率6.2%にとどまったのです。比例ブロックの共産党票をご確認いただけれれば簡単にわかりますが、比例で共産党を選んだ15区の有権者の相当数が「戦略的投票」によって酒井候補に投票したための、ポテンシャルと比較して低すぎる数字なのです。この点を見誤ってはなりません。

 似たような議論として、昨年の衆院補選と衆院本選で酒井菜摘候補(現衆院議員)の陣営に加わって活動された立民の元学生党員さん(現在は社会人1年生と認識しています)の下記Xもありますが、この方も同様の勘違いをしています。

 

 

 こうした意見に釈然としない思いで、上記の反論のほかにもっと言うべきことはないかと思っていたところに、タイミング良くというべきか江東区の高野勇斗区議の下記note記事が目に飛び込んできました。

 

note.com

 

 以下一部を引用します。

 

9:20あたりから、グッズを少しずつ片付ける準備をしていると別の出口で演説していた豊洲住民である維新の音喜多さんが現れ、はじめて話かけられました。私と音喜多さんは、早稲田大学のおそらく同期にあたります。はじめて話した印象から、スマートでキレ者だという印象です。一つ気になったのが、めちゃくちゃ早口。倍速再生のような。メンタリストDaiGoと同じくらいかな。これは意識してなのかどうか。立憲民主党というのは、データにも出ている通り、支持者に高齢者が多いのは否めません。しかも、いわゆるエリート社員や学者、教員など賢い人が多いです。なので、候補者のパーソナリティや経歴、選挙制度によっては支持を固められません。嫌々固まるのは1議席を争う衆院選くらい。自民は嫌だから。でも、都議選など中選挙区制だと離反します。だって賢いから。二元代表制により候補者と政策を吟味するから。その代わり一度理解すると移ろいづらい。

 

維新のターゲットは、コアは20-40代の現役世代。特に、都市に住む人々で比較的裕福なミドルより上の層。海外経験もあり、友人にLGBTQもいて、異性にも同性にも配慮できる層。価値はリベラルで、経済は自身が優秀なこともあり、自由や競争を重視。減税思考。当たり前ですね、税金をそれほど払っていない人には減税効果ないですから。たくさん払う人が望むものです。音喜多さんの早口でわかるとおり、時短、タイパ、倍速を望む人と相性が良い。ちなみに私も受け手としては、タイパ思考。動画もほぼ倍速オンリーです。忙しいから。

 

でも、この層は、基本移ろいやすい。政党も動かしやすいとわかっているから、第3極としてどんどん参入してくる。古くは、みんなの党、維新、都ファ、再生、国民もシフト、無所属など枚挙にいとまがありません。引き剥がしやすい。でも、メディアの感度も高く、メディアの報道量に左右されるからすぐ飽きられる。レッドオーシャン。また、小選挙区制度とも相性が悪い。資本主義における二元論、2つの大きな塊からはどちらかに飲み込まれやすい。特に地方での成長が難しい。

 

URL: https://note.com/takano_hayato38/n/n90f91fe7bdaa

 

 上記引用文にはヒントが満載です。

 昨年の衆院選で酒井菜摘氏は6万6千票超の得票でした。でも今回の都議選で千葉早希恵氏は1万8千票。それなら酒井氏は千葉氏の3.5倍以上の集票力があるのか。そんなことはありません。小選挙区で「自民に負けるのが嫌だから」「嫌々固まった」票が6万6千票だったということです。

 本当に比較すべきは前回の都議選との得票差。立民は前回の高野勇斗氏の時より得票率を減らしていますが微減。より多くの票を減らしているのは共産党でした。それには最近問題になっている共産党のガバナンスの問題もあるかもしれませんが、選挙ドットコムが指摘したように、三戸安弥候補に票を削られた要因が大きい可能性が高いと思います。

 上記noteの引用分後半で、「減税」とは「たくさん払う人が望むもの」との指摘も重要です。

 NHKの候補者アンケートにおいて、物価高対策への対策を問う5番目の質問に対して「都民税の減税」という選択肢を選んだのは三戸安弥候補でした。4人の候補(白戸候補、高橋候補、大嵩崎候補、千葉候補)が「賃上げ環境の整備」を選びましたが、当選したのは民民公認の高橋候補だけでした。いってみれば「賃上げよりも減税」という新自由主義的スタンスを明確にした三戸候補がダントツの1位になったわけです。寒心に堪えません。なお江戸川区では上田令子候補に加えて、立民が推薦した無所属の田之上郁子候補が「都民税の減税」を選んでいました(他に維新候補と諸派の候補が「都民税の減税」を選択)。これを見て、私が江戸川区民だったら田之上候補には絶対に投票しなかっただろうなと思いました。おそらく共産の原純子候補に投票したに違いありません。しかし衆院選なら当選した世襲二世の自民候補を落とすために迷わず立民候補に入れていたでしょう。

 つまり、私もまた高野区議が指摘したような、衆院選で立民候補に「嫌々固まる」けれども、「都議選など中選挙区制では離反する」こともある人間だということです。現に、だからこそ2023年の区議選では生活者ネット公認の千葉早希恵候補に投票し、酒井候補や高野候補は(もちろん三戸候補も)選びませんでした。そういう人間の票も含めての6万6千票強だったわけです。

 何が言いたいかというと、東京15区や16区に限らず、選挙区選出の代議士に対してあまりに甘い支持者のあり方は問題含みだということです。私は酒井代議士の支持者ではありますが、最近の酒井代議士には「危うい」ところが出始めているのではないかと危惧しています。だから都議選後のブログ記事で「激励の喝」を入れた次第です。私の危惧が杞憂に終われば良いのですが。

 前記「りっけんカジュアル党員」さんのXに対するいくつかのコメントが示唆的でした。

 

 

 酒井候補は衆院補選では共産党の支援を受けましたが、前述の通り本選では共産党候補も立ちました。しかし前述の通り共産党支持者の一部が酒井候補に投票した上、木村家が酒井候補支援に回ったために酒井候補が無事再選されました。このネットワークを築いた中心人物こそ高野区議だったと私も認識しています。今回の都議選は、共産党にとっては議席死守を賭けた重大な選挙だった上、木村家までもが民民から公認候補を立てたのですから、立民の千葉候補にとっては最初から勝算がほとんどない困難極まりない選挙戦でした。

 

 

 16区の立民も15区と同じような問題を抱えていますか。気がかりなところです。

 長くなりましたが、Unidonさんのコメントの続きと、それを受けたPontarou0608さんのコメントを以下に紹介します。

 

 HRK-Unidon


三戸安弥が三多摩の選挙区から出ていたら、今回の江東区選挙区と同じような選挙結果にはならなかったと思います。減税志向も江東区ほど強くありません(東京西部では民民の候補が苦戦傾向)が、それ以上に「立憲や共産が国家からの自由を守ってきた成果」があったからだと思います。実際、東京西部は立憲と共産がかなり議席をとっています。

表現の自由を守る」ことは立憲民主党の専売特許ではありません。むしろ報道の自由まで含めると、「東京共産」の貢献度は物凄いものになります。そのほか、維新の橋下派(石原派は表現規制派なので)、都ファの一部(小池も不健全図書指定を増やすなど表現規制傾向はあるものの、荻野稔など表現規制反対派も多数所属)、自民の一部(親山田太郎の人々)などの貢献もありました。
反対解釈をすると、「表現の自由」という思想を持っていない権威主義者は「右」方向に物凄く沢山いるのでは?と考えていました。自民安倍派、自民二階派(土屋系)、参政党、維新石原派、民民の新規支持層、都ファの右半分…
それこそ山崎が典型例でしょうか。秋元司も似たような傾向あります(民主党でも東祥三はSEALDsに対しジェシカ論法を用いる、右の権威主義傾向あり)。
https://m-dojo.hatenadiary.com/entry/20160116/p1
右の表現規制派を見ると「女性の人権」や「見たく無いものを見ない積極的自由」などではなく「秩序」あるいは「モラル」または「子どもに見"せ"たく無い」が理由となっている傾向があります。これは最早「表現の自由」が人権の侵害などとバッティングする場合以前の論点です。

表現の自由を守る」ことは立憲民主党のアピールポイントの1つにはなると思います(これだけで山崎は吹っ飛ぶ)。その上で、白戸候補や高橋候補を相手に「政治による自由(社会福祉)」をアピールできれば良かったのですが…。

 

 私は三戸安弥というモンスター的な減税主義ネオリベ政治家が白戸候補ら保守ないし中道系の候補の票もリベラルの千葉候補の票も左派の大嵩崎候補の票も片っ端から削りまくった結果、山崎家、木村家といった地域ボス一族が築いてきた固定票(柿沢家系の票は今回も「寝ていた」と私はみています)と公明党の票が残り、新保守の三戸氏と「古層」の3候補が当選したとみています。「表現の自由」のワンイシューで山崎一輝を吹っ飛ばすなんて夢のまた夢。ナンセンスな議論だと思いますよ。

 

 Pontarou0608

>HRK-Unidonさん

横から失礼いたします。

ブログ主さんの仰る通り、経済的自由をめぐる対立軸と表現の自由をめぐる対立軸はひとまずわけて整理するのが適当と考えます。

現実政治の動向をみつつ、2つの対立軸がどのように交錯するのか論ずることは、kojitakenさんが作ってくださった別ブログで大いに為すべきことのように思います。

>右の表現規制派を見ると「女性の人権」や「見たく無いものを見ない積極的自由」などではなく「秩序」あるいは「モラル」または「子どもに見"せ"たく無い」が理由となっている傾向があります。これは最早「表現の自由」が人権の侵害などとバッティングする場合以前の論点です。

この論点は国家主権か国民主権かという観点のもとで論じた方が良いと思います。国民主権が広く受け入れられているようにみえる現在では、とくにリベラル・左派野党間の議論においては主たる論点にはならないのではないか、というのがブログ主さんの読みの背景にあるのだと私は理解しております。

 

 私の意図を汲んでいただきありがとうございます。その通り、こうした議論を思いっ切り展開していただく場を設けようと考えて設立したのが「討論会ブログ」でした。その討論会ブログにおいて、私が誘導の記事を公開しなくとも新規記事が次々に公開されているのを見て、新規共有ブログを開設して良かったと思いますし、投稿者の方々には感謝しています。お礼を申し上げます。はてなIDをお持ちの方の参加をお待ちしています。何しろ参加者即編集者(ブログの進展によってはブログの共同管理も視野に入れている)という、私としては新しい試みの共有ブログです。

 なのでコメントの紹介はここまでで止めます。今日は(たぶん明日もですが)特に時間がない日なので記事もここまでにします。