最近、小沢一郎側近の平野貞夫が「日本一新の会」を発足させ、メルマガの配信も始めた。もちろん私はそんなものは購読していないが、ネット検索をかけると、転載したあちこちのサイトが表示されるので、すぐに内容を知ることができる。
要は、平野貞夫は小沢一郎が自由党時代に掲げた、新自由主義色の強い主張を改めて打ち出しているのだが、小沢一郎は民主党に移ると同時に旧社会党系の横路グループと政策協定を結び、以降、それまでの新自由主義色および新保守主義色を抑えるようになったと思っていた。
しかし、『小沢一郎ウェブサイト』に今なお自由党時代の「日本一新11基本法案」が掲げられていることに今日気がついた。
http://www.ozawa-ichiro.jp/policy/11hoan.htm
この中の6番目の法案は、「税制改革基本法案」となっている。
http://www.ozawa-ichiro.jp/policy/11hoan06.htm
ここで小沢は、所得税率と法人税率を引き下げ、消費税の収入の全額を、基礎年金、老人医療及び介護に要する費用の財源に充てるとしている。これだと、今後高齢化社会が進むにつれ、消費税率は引き上げられる。
要するに小沢一郎が目指している(た)のは、基本的には誰かさん流の「良い小さな政府」である*1が、その割には間接税への依存度の高い税制だということになる。自民党との隔たりは、さして大きくない。
また、8番目の法案は、「市場経済確立基本法案」であり、ここでは規制緩和による経済の活性化をうたっている。
http://www.ozawa-ichiro.jp/policy/11hoan08.htm
もちろんこれは、自由党時代に示されたものだが、今も『小沢一郎ウェブサイト』に掲載されており、側近の平野貞夫が、これらの理念に基づいて「日本一新の会」を発足させたことは、横路グループとの政策協定とは裏腹に、小沢一郎自身、自由党時代の理念を捨てていないのではないかとの疑念が強まる。
これでは、「小沢一郎は今なお新自由主義者だ」と言われても仕方ないのではなかろうか。
ただ一点だけ評価できるのは、小沢一郎がこのウェブサイトで、自身の名前を "Ozawa Ichiro" と、「姓−名」の順で表記していることだ。たとえばクラシック音楽の世界では、「バルトーク・ベラ」、「馬友友(マ・ヨーヨー)」と表記すべきところを、「ベラ・バルトーク」、「ヨーヨー・マ」などと表記する植民地根性が未だにまかり通っているが、小沢一郎はそんな愚は犯していない。
もっとも、本多勝一だったら、なぜ日本式(訓令式)ローマ字を使わないのかと注文をつけるところだろうけれど。そういえば本多勝一は数年前(10年近く前?)に『週刊金曜日』で小沢一郎と対談して意気投合していたのだった。